第16話 気持ちを入れ替えて
「……よし!」
パン!
気合いを入れよう。
もう泣くだけ泣いた。嘆くだけ嘆いたし、俺の怒りはガッツリ伝えてやった!
頬を叩いて、気持ちを切り替えよう。
とにもかくにもまだ俺は生きているんだから。
彼方だったら『足掻くのは生者の特権さ?』って笑うだろう!
「よろしくアップル。」
「いらっしゃいなのー!」
「「あ~ヨワッチだ~!」」
どうやらこの城で働いているのは三人で、リーダーはアップルなようだ。
皆喋り方こそ似ているが、見た目はまったく似ていない。
先ずは城勤めの先輩についてしっかりと覚えなくては!
「どもっす!、……えっと?」
「ワタシね、チェリー!」
(顔半分に鱗が生えてるのがチェリーね。
『ワタシ』?、女の子なのかな?
でもオッパイないな。……ある筈ないか??
肌色は薄紫…か。これも汚染の影響なのか?
…手首と足首から先にも鱗みたいのが生えてる。
でも胴体は生身だな。胸も股間もない。
ここの住民には生殖器が無いって感じなのか…?
……でもちょっと目のやり場に困る💧)
「僕はメロン~。」
(で、ちっさなコウモリみたいな翼で飛ぶちっさいのがメロンね。
…この子本当に小さいな。身長40センチなくないか…?
なんかこう…段ボールに入ってたら猫だと思いそうな。なんか全身がフワフワの白紫の体毛?、毛?に包まれてて……触りたくなる。
ちっさくてパタパタしてて可愛い~!
あー!?、尻尾まである!
なんかこう…デフォルトの悪魔にありそうな黒くて長くて先が三角の尻尾で。……かっわい。
そんでやっぱり顔は薄紫色の肌なんだな。…あ、この子は手先がちゃんと人型だ。
…てか、服着てるのはマグダラだけなのか。)
「よろしく。俺はヨワッチでいいよ?」
「「「知ってる~!」」」
「はは!」
俺は二つの目標を掲げた。
一つ、とにかく生き延びて帰ること。
二つ、マグダラに人類皆殺しを止めさせること。
だって、どちらも死活問題だろ?
俺が殺されてしまったならマグダラの唯一の驚異が消え、奴はあっさりと人類を滅亡させるだろう。
だから俺はとにかく生き延びねばならない。
そして、帰るんだ。俺の世界に。
生まれてきた目的とかは…この際置いとく!
…ってかそうでもしなきゃ何重苦で身と心がもたん。
で!、先ずは城仕事を頑張ってみることにした。
アップル達と仲良くなることはここの情報収集に繋がるし、マグダラを説得する材料も探せるかもしれない。
あともう一つ!、あわよくばの狙いもあった。
それはこのファンタジナの王様に謁見することだ。
マグダラは自身を『城主』と名乗った。
だったら王様も居るんじゃね?…という安易な想像からの超希望推測的な目標だったが、よくよく考えてみればアリな気がした。
だってもし会えたなら『この城主に誘拐されたんだけど!?』って文句が言える。
マグダラの言うように宇宙に唯一必要なのが愛だってんなら、普通に考えて人間の俺は地球に返されるだろ?
因みにだが、今しがたのモーニングで俺はマグダラに確認していた。『ここに王様は居るのか』と。
『…!』
『…どうなんだよ。』
『……何故だ。』
『だってほら、王様なんだから国で一番偉い人だろ?、挨拶しなきゃ失礼じゃん。』
取って付けた理由にしては上出来だったと思う。
だがマグダラはこう返した。
『…… …ファンタジナに王は居ない。』
『………』
『下らん質問をしている暇があるのならとっとと馴染む努力をしたらどうだ?
こちらの仕事など器用な人間には朝飯前だろう?』
…あーイライラする。
いちいちつっかかってくんだよあのクソ魔王。
半笑いしてくんのがマジでイラつく。
…誰だよあいつが絶世のイケメンとかほざいてたの。
…はいはい俺ですよ。
マグダラはああ言っていたが、正直嘘だと思う。
普通に真実なんて言う筈ないよな分かってましたよなんで普通に訊いちゃったんだ俺。
「…ねえねえ!」
「ん?」
「あのね、アップルから聞いたんだけど!
ヨワッチって古き夢の末裔なんでしょ!?」
「…うん。」
「じゃあさっ!、じゃあさっ!?
その見た目って…人間と同じなのっ!?」
「!」
…そうかこの子達は人間を見たことがないから。
見たことすらないのに好き…なんて。
俺からすれば想像も付かない感覚だな。
…っと、質問に答えないと。
誰も人間を見たことがないなら、『俺は人間です』って暴露しなきゃ正体露見はまず無いような気がするな。
マグダラは俺を『古き夢の末裔』と皆に説明した。
今までの話から推測するに、それは彼らがまだ人の形をしていた頃、核が爆発する前の姿を差しているんだろう。
…世界の端で拾ってきたとも言ってたか。
ってことは泉の傍は汚染地区だが、汚染されてない場所もある。……ってこと…だよな??
もしそんな場所の話をねだられたらどうすりゃいいんだよ。
あの魔王め。適当な事言いやがって。
「うん、似てるってあいつは言ってたよ?」
「あいつなんて言っちゃ駄目でしょ~!」
「……マグダラ様がそう仰られてマシタ。」
「やっぱりそうなんだ~!」
…はあ。人生初めての様付けがあいつとか。
…まあこれも経験と思おう。
普通に生きてたら誰かを様付けする機会なんてなかったろうし。
◯ おお前向きになりましたね!
人生初の様付けおめでとう青年(笑)!
今回はアップル達の容姿説明が主となりました。
簡単に纏めますと…、アップルは水色のタコさんの人魚みたいなイメージですね。
顔は長い前髪で目が隠れてて見えませんし、肩から先もタコ手ですが。
で、チェリーちゃんは一人称がワタシです。…が、女の子ではありません。
鼻から上が逆立った鱗に覆われているので、見えるのはアップル同様口だけです。
全体的には人間に近い体ですが、手は手首から先に、足も足首から先に鱗が生えております。
最後にメロン君なんですが、手先と足先と顔以外はモフモフの毛に覆われてます。そして尻尾が生えていて、小さなコウモリ翼も生えてます。
三名の中では唯一顔がちゃんと見えていて、手足も普通の人と同じです。…が、二歳児よりも小さいです。
毛が本当にモフモフなので、遠目に彼が飛んでいるのを見ると丸い毛が飛んでいるようにしか見えません。
……触ってみたいですね~。
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