第10話 魂の目的
マグダラは長い廊下を行きながら話した。
地球に住まう命もその他惑星に住まう命も、元を辿れば全ては一つの場所から来たと。
それは魂の故郷で、青年も自分も、その他の全てに魂は宿っていると。
「魂という名くらいは知っているな?」
「…まあ、そりゃ。
けど本当に…魂があんの?」
「あるとも。でなければ貴様は生まれていない。」
「…そう…なの?」
「ああ。全ては魂から始まるのだ。
貴様も魂だけの存在であった頃に、地球という惑星を選び、生まれてきたのだ。」
「…え、じゃあ、皆そうだっての…?
人間は皆、…魂の頃に?、生まれてくるのを望んだ…?」
「そうだとも。正確には人間だけではない。
石も花も植物も、動物もだ。
勿論ファンタジナの生命も等しくな。」
マグダラが言うには、大昔の人間はその魂の故郷をちゃんと認識していたらしい。
その場所に名は無く、そこには大いなる魂の母が居て、人間はそれを『神様』と呼んでいたそうだ。
「!」 (…神様。)
「そして、何を目的に地球に生まれるのを望むのか…だが、」
「!!」
ドクン!と大きく心臓が鳴った。
それこそ、その答えこそが青年の全てだからだ。
「その目的は…、各々違う。」
「…!」
「魂にとっては死すら経験だ。
魂の一番の望みは『体感すること』なのだ。
魂の世界には苦痛は存在しない。だが、喜びの実感も無い。
全てが平坦で充たされている。
…これは、言い換えれば無なのだ。
我々のように肉体に宿り生きることを望んだ魂というのは、無ではなく有を選んだ魂なのだ。
だが魂の世界に居てはそれは手に入らない。
だから我々は『生まれ』、そして『経験し』、『死んでいく』のだ。
それこそが大いなる経験であり、その経験こそが宝なのだ。」
「……」
「…故に、ただの石となろうがそれも幸福なのだ。
ただ雨に打たれ、ただ水に流され…。
それだけでも魂には刺激的な体験なのだよ。」
「……」
不思議な話を聞かされながら、青年は落胆していた。
やっと何故生まれてきたのかの疑問が解かれると期待したのに、『皆それぞれ目的は違う』と言われてしまったのだから。
そんな場合ではないのに、青年の胸は酷い焦燥感に苛まれてしまった。
『まだ見付からないのか』…と。
そのまま二人は城を出た。
大きな黒い扉をくぐると、おどろおどろしい花々の咲く大地を歩んだ。
木のような物も多く生えていたが、やはり地球の樹木とは見た目から違った。
(グニャグニャと。…アートみたいだ。
それにあの…空。じっと見ていたら酔いそうだ。)
辺りは薄暗く、まるで夜明け前か日の落ちる直前のようだった。
そして少し歩くと、何やら不思議な場所に出た。
見渡す限りを埋め尽くす程の広大な黒紫の湖の中に、ポツンと島がある場所だった。
その湖の広さにも驚かされたが、何よりも驚いたのはそんな広大な土地を策が覆っていた事だった。
まるで巨大なホールやドームのように、紫の骨組みのような策が湖をすっぽりと覆っていた。
「…ここは?」
「此処こそがファンタジナの命の源であり…」
「……」
「貴様等人間の夢が、現実となる場所だ。」
「!!」
『ここが…?』と眉を寄せてしまった青年。
その場所は夢が現実になる…と言うには余りにも禍々しく見えた。
湖の水はゴポゴポと、まるでアニメの溶岩のように気泡を吐き出して見えるし、湖の辺り一体には枯れ葉しか存在しないのだから。
◯ここまで呼んで下さりありがとうございます!
少々頭のこんがらがる回でしたが大丈夫…ですよね…?
次はいよいよファンタジナの世界構造となります。
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