第3話

その後から、桐谷さんがいつもの場所(会社の前の柱)にいる事が増えた気がする。

〔おう!お疲れさん〕

「お疲れ様です。」


私が素通りするが、その前に必ず見つけてくる

だから会話を終わらせて帰ろうとするのだが、同じペースで歩いて話しかけてくる。


〔そう!きいてや!同僚のプレゼント!!成功したわ〜〕

「それは、良かったですね。」

〔ほんまに村瀬さんのお陰やわ、ありがとう〕

「…その方は、喜んでいらしたんですか?」

〔おう!最初に言ってたバスボム?セット上げたら喜んでたわ〜〕

「あ、あれにしたんですね。」

〔おん!まぁ、俺には、理解できへんけどなww〕

「アクセサリーとか小物じゃなくて、良かったんですか?」

〔え?なんで?〕

「…いえ、なんでもありません。」

てっきり付き合うのかと思ってました。

なんて言う必要ないか


〔こないだ、皆で飲み会行った時、いい店見つけてん!!今から行かへん?〕

「いえ、結構です。」

〔ちぇ〜〕

こどもみたいにいじけてる


「…」

〔折角、村瀬さんと仲良くなれたと思ったのに〜〕

「交流は、してますよ?」

〔もっと親密なってことぉ~!!〕

「あ、大丈夫です。」

〔なんでな〜ん?!飲みに行こうや〜〕

「いえ、遠慮させていただきます。」

〔なんか用事でもあんの?〕

「いえ、ないです。帰るだけです。」

〔なら、お酒が苦手とか?〕

「そんな事は、ないです。」

〔え?!飲めんの?!〕

「…嗜む程度です」

このままだとペースに呑まれるな

話しすぎて、飲みに連れていかれそう


〔ならええやん、行こうや〜〕

「会食としてまたお誘い下さい。」

〔なんで〜〜〕

私は、軽く頭を下げて家に帰った。



そんなある日


〔おう、お疲れさん。〕

「お疲れ様です。」

いつもの様に

〔それで先輩な~〕

彼の話に軽い相槌を返していると

多分、今までも気になっていたのだろう


〔村瀬さんは、なんでいつもスニーカーなん?〕

「え?変ですか?」

〔あ、ちゃうちゃう、そーゆー事やなくて〕

「?」

〔仕事の時、カッチリした格好してんのに、帰りに会うと、めっちゃラフな格好でいはるから最初びっくりやってんw〕

「あー、なるほど」

〔でも村瀬さんやったら、ヒールとかも似合いそうやけど?〕

「行き帰りだけなので、後、距離があって歩くのでスニーカーにしてます。」

〔え〜、じゃあ、履かへんの?〕

「はい」

〔見てみたかったな〜〕

「…仕事の時は、履いてますよね?」

〔そーゆーのとは、ちゃうねんな〜〕

「どういう事ですか?」

〔私服としてみたいねん〕

「私は、興味無いです。」

〔まぁ、でも今日こそ、飲みに!〕

「行きません。」

〔もーなんで〜〕

「また、お仕事で、それでは、失礼します。」

〔ちぇ~、おつかれさん、またね~〕


そう、軽い感じで手を振って言ってきた。

いつものように

 

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