エピソード1 :魔法創造
俺が死ぬ寸前に覚えている光景は、角を曲がったら飲酒アンド居眠りのトラックだ。「何故、死んだのか?」って聞かれたら、答えないという選択はない。なに、当時16歳になったばかりの中学3年生が寝坊して自転車で立ち漕ぎしながら角を曲がっただけだ。
普通なら、天国で白装束と三角頭巾をかぶって犯人の枕元にでて「うらめしや~」って言うのだろうけど、死んで気が付いたら鬼火のような存在になっていた。
そのまま、あれよあれよという間に、異世界に転生した――いや、してしまったのである。
・・・・・
次に目を覚ましたら、真っ白な天井が視界に入って来た。
「(ここは・・・、どこだ・・・?)」
陽の光が差し込んでいる右側を見ると、バルコニーが見えその奥に広大な庭が広がっていた。
「(病院・・・では、ないよな)」
起き上がろうとしたが、上手くいかない。――アレェ、おかしいな。
恐る恐る、右手を見て見た。赤子の手だ、左も同じ。
「(え・・・。 俺、死んで転生したの?)」
真っ青な顔色で両手を上げて絶望していると、そこにメイド服を着た女性と薄桃色のドレスを着た若い女性が戸を開けて入って来た。
「――奥様、子供は良く寝ています」
「そう。 って、あらあら」
そして、薄桃色のドレスを着た若い女性が真っ青な顔色をして両手を見ている俺の方にやって来て抱き上げた。
「まぁ、エルデイル。どうしたの?怖い夢でも見たの?」
「・・・奥様?」
「替えのオムツを、――ェ?」
「――!」
俺が気付いた時には、この世界で世話になる母が短刀を持ったメイドに刺されていた。
「クフッ・・・」
背後から刺された母がベビーベッドに倒れ込む中、悦に顔をゆがめて身体をくねられながら血濡れた短刀の刀身を舌先で味わい舐めながら、固まっている赤子姿の俺に近づいて来る。
赤子だから言葉も分からないと侮っている俺の前で嬉しそうに「――
「・・・。(・・・)」
「お? その顔は、絶望だね?へぇ、赤ちゃんでも絶望するのね~」
「・・・(何が、絶望だ? 俺は今――、腹の奥が煮えている・・・!)」
俺は両手を強く握りしめ発達していなかった両脚の筋肉をどうやったのか覚えていないが、急速に発達させて立ち上がった反動を活かしながら赤子とは思えない強烈な右足蹴りを放った。
当然、赤子ではない常人離れした蹴りを予想していなかった相手は左頬を骨格が見えるまで凹ませて壁まで飛ばされた。
「――ガハッ!」
「・・・(このクソ野郎がぁぁ!)」
「な、なんだ。 い、一体、何をされた・・・? ッ、あの構えは・・・、まさか、蹴り!?」
頭を強く打ちながらも未だに立ち上がろうとしていた相手に、俺は怒りに身を任せて相手の顔目がけて飛び掛かり無数の引っかき傷などを耳や目、鼻を重点的に繰り出した。
「や、やめっ!――ぎ、ぎゃあぁぁぁぁ!! イ、痛い!痛いよぉぉぉ!!!!」
「おぎゃあぁぁぁぁっぁ!!!!(ころす、コロス、殺す・・・!)」
そして、相手がピクリとも動かなくなった頃になると俺はベビーベッドで背中から血を流して倒れているこの世界の母親にハイハイで歩み寄り、転生する時に得たスキル――〈魔法創造〉で
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