プロローグ2 :チヌーク

 その後、俺達は無線機で迎えを要請した。


 要請を出してから10分後、来た時と同じAH-60LBLACKHAWKブラックホークかと予想しているとCH-47CHINOOKチヌークが1機やって来た。思考を巡らせていると中の乗員が訳を話してくれた。


 どうやら、別の戦場に出向いたために急遽きゅうきょの判断で来たらしい。まぁ、そういう事なら仕方が無い。


 機体に揺られる事、10分後。何とか前線基地に帰還した。戦果はイリアが13キルで、俺が09キルだった。無理もない。今回の戦場バトルフィールドは、砂漠を含めた場所だったので必然的に中距離戦闘か長距離戦闘になってしまう。


 基本だが、俺の持つHK416は近距離から中距離までの射程しかない。それに対して、イリアの愛銃であるM14EBRは中距離から長距離を得意とする。


 ・・・おっと、説明不足だった。読者の皆に簡単にセミオートの意味を教えるとするならば単発射撃という意味だ。 え?「マークスマンでは無いのか?」って? 全然、違う意味だ。精鋭の兵士向けに開発されたのがマークスマンで、連続射撃フルオート単発射撃セミオートのどちらにも状況によって変えることができるという事だ。


 3000メートルもある滑走路を、横断歩道を活用しながら横断し終えると、格納庫内に入って行き併設している施設へ続く扉を開けて中に二人で入った。そして、個室になっている魔導シャワー室で汗や泥で汚れた体を洗った。


・・・・・


 午後18時。基地内の陸戦用演習場内で、10ヒトマル式戦車やM1A1エイブラムス、96式装輪装甲車などが夜戦演習を行う中、俺は自室でくつろいでいた。


「――ゕっはぁ~・・・。 やっぱり、風呂上がりのエールは体に――いや、五臓六腑に染み渡るほどの格別な旨さがあるなぁ~!」


 ジョッキが空になりお替わりを注いでからふと、設立時に魔道具で撮った一枚の写真に目を向けた。写真の中には俺を中心として顔を真っ赤にしてぎこちない笑顔をしているイリアの姿が写っていた。


「・・・そういえば、今のこの多用途傭兵軍が在るのって、イリアや他の皆と出会ったのが始まりだっけ。 そう考えたら、奇跡だな・・・」


 俺は瞼を閉じ、前世を思い出し始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る