ブッコローと八方塞がり

 あれから、同じ1週間を何度何度も繰り返した。


 10周目までは、間仁田さんと岡崎さんに再び協力を仰ぎ、他に怪しい人物や原因はないかを調べた。が、一向に特定できない。


 15周目までは、誰かから恨みを買っているのかもしれないと思い善行を積むようにした。佐藤さんのプロレス雑誌が勝手に捨てられないようする、岡崎さんが欲しがっていたインクをプレゼントする、雅代姐さんの特訓に付き合う。


 20周目までは、自信にいきなり能力が芽生えた可能性を考え、書籍や専門家の力を借りてコントロールできないか試行錯誤したが無理だった。


 そして21周目、心身ともに限界を迎えつつあった。

 

 月換算すると5ヶ月間同じ週を繰り返していたことになる。ここまでよく頑張ったと思う。ふと、真面目に出社しなくてもループするため問題ないことに気づいた。


 休む理由もつっこまれたくなかったため、無断欠勤ではなく、ループによって消化されないだろう有給休暇を消化しようとスケジュール管理を開いた。


 その時、ブッコローは、ガツンと衝撃を受けたような直感が働いた。


――もしかすると、タイムリープを終わらせられるかもしれない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る