第3話 双子魔女との再会

 ホテルのロビーに響く聞き覚えのある声。すると、凄い勢いで二人の少女が成行に迫ってきた。


「「わーーーっ!!お兄ちゃんーーー!!」」

 なんと成行の前に現れたのは、今日、彼をさらった双子魔女・棗姉妹だった。

 二人とも凄まじい勢いで成行に抱きつく。

「お兄ちゃん、また会えて嬉しいわ!!」と、オーバーな反応で抱きつく黒髪ショートボブの少女・なつめ沙織さおり

「お兄ちゃん、無事でよかったわ」と、控えめな態度で抱きついてきたセミロングヘア少女・なつめ資織しおり


 そして、それを目にし、顔を真っ赤にして怒る見事。

「コラ!!!何でアンタたちがいるのよ!!!」

 見事の特大カミナリが落ちる。


「「きゃっ!!!」」

 すぐさま、成行を盾がわりに背後へ隠れた棗姉妹。


「沙織ちゃん、恐いわ・・・」と、涙目で怯える資織。

「大丈夫や、ウチがおるから!こんな乱暴大魔神魔女に、浪花の魔女っ子は負けへんで!」と、怯えつつも強がる沙織。


「誰が乱暴大魔神ですって・・・!!!」

 見事は目から波動砲を発射しそうな勢いで、双子魔女を睨む。


「ちょっと!僕を盾にしないで!見事さんも落ち着いて!」

 盾がわりにされて、成行も双子魔女と同じ恐怖を味わう。


「三文芝居もそこまでだ」

 そう言いながらホテルのロビーに現れたのは、見事の母・静所おとなし雷鳴らいめい。彼女は赤髪のポニーテールの少女を伴い、現れた。


「ママ!何で棗姉妹こいつらがいるのよ!何で送り返さなかったの!」と、な様子の見事。

「そんなに怒るな。こいつらは、まあオマケみたいなものだ」

 怒る見事に対し、冷静に答える雷鳴。いや、若干、激おこな見事に呆れているようにもみえる。

「何がオマケよ!私と成行君のゴールデンウィークを台無しにしようとしたのよ!?オマケじゃなくて不良債権みたいなものでしょう!」

 見事は敵意剝き出しで棗姉妹を睨む。


「何やて!誰が不良債権じゃ!失礼にもほどがあるわ!」と、すぐさま反発する沙織。

「ウチら、お邪魔虫なん?」と、涙目で成行に尋ねる資織。


「ええと・・・」

 反応に困る成行。『不良債権』呼ばわりされるのは気の毒だが、双子魔女を庇えば自分に恐ろしい火の粉が降り注ぎそうだ。


「成行君、どいて。二人を狙えない・・・」

 攻撃モードに移行する見事。


「もう、よさんか見事!ほら、双子魔女もユッキーを盾に使うな」

 雷鳴の一言で、棗姉妹は大人しく成行の背後から離れた。すると、すぐさま見事が成行に駆け寄る。そして、双子魔女に向かってこう言い放つ。

「残念だったわね。双子魔女、破れたり!」

 ドヤ顔で言う見事。あまり見かけない彼女の子どもっぽい反応だった。


「ふん!アホアホ魔女!」と、透かさず言い返した沙織。

 すると、見事の鋭い眼光が再び双子姉妹に向く。


「恐いわ、沙織ちゃん・・・」

「大丈夫や!ウチがおるかぎり、手出しはさせへんで」

 今度は雷鳴の背後に退避した棗姉妹。


「ママ、どいて!やっぱり、私のお仕置きが必要みたいだから」

 雷鳴の背後へ狙いを定める見事。

「もういい加減にしろ、見事。それに双子魔女も」

 うんざりした様子で話す雷鳴。


「そうそう。この茶番劇にいつまで付き合えばいいの?」

 そう言ったのは赤髪のポニーテール少女だった。


 そう言えば、この子は誰なのだろう?歳は僕らと同じくらいか?成行はそう思いながら、赤髪のポニーテール少女に目を向ける。


「久しぶりね、稲盾いだてさん」

 見事が赤髪のポニーテール少女へ声をかける。


 おやっと思った成行。知り合いなのかなと、思わず見事に視線が向く。すると、見事と視線が合った。

 ムスっとした表情で成行を見つめる見事。

 何か変な勘違いをされているかもしれない。とりあえず成行は見事に問う。

「見事さん、あの子を知っているの?」

「ええ。一応ね」と、腕組みをしてくる見事。それに思わずドキッとした成行。


「キミとは初めましてね、岩濱成行君」

 赤髪のポニーテール少女がニコッと微笑んできた。

「そうですね、こんばんは―」

 成行もニコッとしようとしたが、すぐに見事の視線に気づき、ヒヤッとする。


「見事さん。こちらの方を紹介していただければ嬉しいんだけど―」

 成行のお願いに、見事は少し不機嫌そうな表情で答える。

稲盾いだてりんさんよ。九州は福岡の魔法使い。私たちと同じで、高校一年生よ」

「そういうこと。初めまして」と、赤髪のポニーテール少女は手を振りながら愛想良く答えた。



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