2. 雪山のユフリッズ
日記に文字を書いていく。
鉛筆もノートに挟まれていた物だ。ノートを忘れた登山家はフリゼルス雪山で何かを書こうとしていたのだろうか。ノートと同様に鉛筆も勝手に使わせてもらっている。
「今日も晴れ。やっぱり、今日も誰もフリゼルス雪山に登らない。……変わらない一日」
文字を書いていた右手を止める。
「誰かが来てくれたら……僕に外の風景を教えてほしいなぁ」
真っ白な雪が積もっている山の光景を見ながら、いつもフリゼルス雪山の外の事を考えていた。
この世界"パノアケル"に存在する"
フリゼルス雪山の山頂に視線を向ける。山頂は雲に隠れてしまっていて見えない。
〈僕は氷の全元晶しか見たことがないけど、凄く綺麗で宝石みたいなんだよね。前に四人の山賊が山頂へ全元晶を盗りに登ろうとしていたようだけど……〉
自分は山賊達の気配に気付いていた。慌ててフリゼルス雪山から出るように言おうと思い、必死に四人を捜していた。だが、山道の途中で見つけた時には、既に四人は凍死していたのだ。
フリゼルス雪山の近辺は気温が一気に氷点下へと変わる。フリゼルス雪山の山道の気温は人間には耐えられない程の極寒だ。寒さを防ぐ為の防寒着や防寒具でも数分も持たないだろう。自分の服装は、水色の半袖のシャツを着て黒色のチノパンツを穿いているが凍死していない。それは何故か……。
氷の魂が宿る全元晶に"
六大始源の魂が再び全元晶に宿った時、
微かに覚えている記憶。
〈お前の名前は……"ユフリッズ"というんだね〉
自分の名前が聞こえ閉じていた目を開けた。自分が倒れている地面は雪が積もっているようだが、身体に冷たい感覚は無い。
顔を少し上げると、ぼやけていく目の前に四角形で綺麗なライトブルーの小さな水晶が浮かんでいた。
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