第13話 パレードを告げるファンファーレ

「政府によりますと、発見された洞窟に危険性はないが念のために全国すべての洞窟の捜査を行う、としており・・・」


朝一のニュースでそんなことを言っていた。

だがそれは嘘じゃないか、洞窟で確かにモンスターを見た、と思った。

危険性がないのなら、そういうモンスターがいないということを言っていることになる。自衛隊側の戦力が強かったから危険性がないとでも抜かしているのだろうか?だが、モンスターのような謎の生命体に関しての話題は一切上がってこない。

SNSを見て、アビリティやスキルといった話題は検索してみてもヒットしない。


つまり、ステータスボー・・・ドもかわいいこの姿も全部僕の妄想なんだろうかと、出てきたステータスボードを即座にとじながら思った。それだと、僕は自分が可愛くなったと思い込んでいるやばい人ということになるが、“ゆうと”がどこに行ってしまったのかということにもなる。


「とりあえず、今日はやろうと決めていたことがあるんだよな。」

そう、それは・・・


 ましな服を買うことである!


あのダンジョンに行けなくなったけど行った日、周りからとても視線を浴びた。なぜなら、河野普翔の姿に合う服を、今の姿に無理やり合わせたからな。

ましなというのは、今の姿に合うような服を一枚でもいいから買ってこようということである。なぜか勝手に変わるサイズの話は置いておこう。


ということで、恥ずかしいがダンジョンに潜入した時の、あのステータスのところに入っていた服を着ていこうと、また勝手に出てきたステータスボードを閉じながら思った。あの~、ステータスって考えたらすぐステータスを表示するの、やめてもらえませんか、とまたまた勝手に出て(以下略)。



最寄りの駅から電車に乗る。

今日の目的地は夜谷というこの地域で一番栄えているところだ。

ということで降りる駅は「夜谷駅」ということになる。

僕が住んでいるところは、いわゆるベッドタウンというやつで、人がたくさんいる。

今日の車内は少し人が少なかったみたいだが、ほとんどいつもと変わらない。

それは休日と比べて、だけどさ。


道中も、車内でも、人の視線をちらほらと感じる。

そんな僕は、変な服を着ていけば誰でも「他人の視線ホイホイ」になれるという発見をした。

なりたい人はぜひやっていただきたい。


そこから少し時間が経った。

ほかの人たちが降りていく流れに沿って、僕も降りていく。

やっとついたぞ。

早速駅ビルにでも探しに行ってみよう。

と、いうことで、


・全国にチェーン店を展開する某アパレルショップでは、

 シンプルなもの、女性もののコーナに行ってみた。

 「別に使えればいいや。」と、おかしくなけさえすれば買った。


・おしゃれな店では、

 かっこいい雰囲気の服が合ったので買った。

 あとシンプルそうなやつも。


まだ2店にしか言っていないが、服が4着もあれば十分だろうと、少し休みたくなった。

もうお昼時である。

ということで、屋外の中庭のような広場で少し足を休めることに。


「これだけあれば十分だな。

  やっぱりこのフード付きの服は顔を隠すのに使えそうだ。」

と、今日の成果物を見ながら満足した。


「それにしてもどんな催し物をやっているのやら、すごく歓声が聞こえてくるな。」

柵から下を覗いてみると、人がたくさん集まり何か楽しそうにしていた。

歓声のような声も聞こえてくる。


「ま、僕には関係ないけど・・・あっ、もう12時になったのか。う~ん、食べて帰ろうかな?」

鐘の音が聞こえ後ろを振り返ると、この広場にある時計は12時を示していた。


そして今は立ち上がっていったん中に入ろうとしているとき。

「キャー!?」一筋のファンファーレが空いっぱいに高々と鳴り響く刻。

振り向いたその一瞬とき


「なんだ?」



「ぎゃー!?」

「っっきっきゃーー!?」

「ぎやーー!?」

後に夜谷パレード災厄と呼ばれるそれの開始を告げる悲鳴ファンファーレは周囲にこだました。


だが、は足を止めることはない。

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