第10話 スキルの力とやらを

次の日の朝、僕は昨日のように昼まで寝坊することは無かった。


しっかりと朝に・・朝ごはんを食べて、学校のダンジョンに向かうことにした。



「…あの子、外国人なのかな…」

「…綺麗な髪…」

今日は走る必要が無いので、歩いて向かっている。すれ違う人には、何かとこちらをチラチラ見る人が多い。これは自分でもわかる、男子高校生として持っていた服を適当にコーディネートしたこの格好が原因だろう。

※もっと大きな理由があることに気づこう。


そんなこともあってやっと辿り着いた学校の周辺に、何やら迷彩柄の服を着て、武器を持った人たちがいるのは決して見間違えなどではない。

いま、あの人たちに気づかれないようにすこし離れた場所にいるわけだが、しっかりと確認できる。


「こりゃダメだ。とてもでは無いけど近づけない。誰だ、連絡を出した人は。」

と小声でブツクサ言う。

※発見した人は、この主人公を反面教師にして、しっかりと通報しよう。



ということで素直に帰って来たわけだが、

今日という一日はまだある。

あちらでやろうかなと思っていたことは、

自分の家でやろう。

ズバリそれは、

スキルを使ってみるということだ!


昨日はスキルのことを思いっきり忘れていたが、今日始めて使ってみよう。

自分の部屋に直行した。

「君は歴史の目撃者となる。」

誰に言っているのかもわからない独り言を吐いたところで、さっそく使ってみる。


「時よ〜、とまれ!!」

…何も起こらない。しかし、部屋が時間が止まったかのようにシーンと静まり返ったことだけはよーくわかった。



あれからというもの、

「時間!とまれ!」

「とまれ!とまれ!」

「動くな!」

「ザ・◯ールド!」

「刻よ、我が命に答えよっっ」

「見せて貰おう、新しいスキルの性能とやらを。」

「…(瞑想)」

…独りで迷走を続けたが、ついに答えを得た。


「スキル、時間因子操作」

…どんな音すらも聞こえなくなった。

決して比喩ではない。

怪行動を前にして、空気さんが凍りついたわけでも無い。


ついに時間を止めて、全てのものが動かなく

 「違うだろ〜!そうなったらもう死んでるから!」

なったわけではなさそうだ。


とりあえず、呼吸はできる。

よく考えていなかったが、もし空気が止まったら死んでいただろう。

慎重な人だったら、よもやこんなにも軽率な行動は取らないだろう。

室内でやって、自分の部屋から出れなくなるようなおバカなことにはならないだろう。


…そう、「扉が開かなくなってる!?窓も動かない!?」

何が止まって、何が止められないのかはわからないが、時計は止まっていることも分かった。


とりあえずこの状態を解除したら時間は動き始めるかな。

「スキル、時間因子操作!」


何故か声に出さないとスキルが使えないので、

独り言を大きく言った。

そうすると秒針が動き始める。

よかった。このままずっと閉じ込められたままだったらどうしようと少し焦っていたところだったのだ。


他にも、

「スキル、時間因子操作!」

心で「加速」と思っていると、

秒針の動きが遅くなった。


ほんの一瞬、加速と真反対のことが起こった!

と思ったのは秘密にしておこう。

僕が加速したから、周りを遅く感じるだけだ。


「減速」はその反対だった。

これはいつ使えばいいのかな?(ニコニコ)



時計はまだ昼前を表していた。

今日改めて理解したことは一つ。

「スキルはヤベー。」

だが一つ残念なのは、時間を止めてもできることは限られているということだ。

時間が止まった世界では、僕だけしか動けないからだ。他の人、物、はうんともすんとも言わない。

例外をいうのなら、空気とか、自分がその時身につけていた物とかだろう。


とにかく、ダンジョンで使うのなら、加速が一番強いと思われる。

そう思いながら昼ごはんを食べた。

「いやー、美味しい。さすが僕。」

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