第9話 大きな決断
世の中には、お風呂にするといっても、
シャワーだけで済ませる人と
湯船にしっかり浸かる人がいる。
ちなみにこの国の人は、湯船に浸かる人が多いそうだ。僕もその1人である。
でも、今の姿で入るのはちょっと…と思った。
この姿になってからという物、まだ一度もトイレを済ましてもいない。行きたいとも思わない。
これに関して言えば、何か別の理由もあると思う。いくらなんでも、行きたくないからという理由だけで、ずっと尿意が来ないのはおかしいからだ。
だか、お風呂に入りたいという気持ちもある。
うわー!どうすればいいのだ!
なお、その後も、悩み続けて、その可愛い顔も
百面相にも変化したころ、ついに決心がついた。
「僕はお風呂に入る!!」
多種多様な表情を見せてくれたその顔も、今では何か大きなとこを成し遂げたような、凛々しい顔になっていた。
脱衣所にきたのだが、すこし試したいことがある。それは、服をストレージに入れることで一気に服を脱がないか?ということだった。
「今着ている服全てを、ストレージ!」
声なぞ、1dBたりとも出さないでいいのだが、なんか声に出したい気分だったからいいよね。
声を出した後、すぐに服がなくなる感覚がした。感覚はしたが、視覚には入れない。
そのまま浴室に入る。僕は髪、身体を洗ってから湯船に浸かるので、まずは髪の毛を洗っていこうと思う。
ちなみに、浴室にも鏡があるのだが、ぼくの家の鏡はすぐに曇ってしまい、視覚で僕のいまの姿をはっきりと感じることはできない。
こういう、身体の特徴が変わった系の物語の身体を洗う話で、身体の洗い方が分からないというのが出てくる。
僕は今まで、そんな馬鹿な、洗い方なんて別に同じだろう、何をそんなに難しいと、と思っていたのだか、少し言っていることがわかった。
髪の毛は、いつもより思いっきり長くなっているので、頭皮を洗いにくいし、なにより、その長い髪をどうすればいいのか誰か教えてくれ!
という気持ちになる。
身体を見ないまま洗おうとしているのだが、普段の体とは違うので、それを簡単に行うことは許されない。
しかも、普段通りの洗う動かし方だと、身体がヒリヒリするのだ。
そんな困難を乗り越えて、湯船に浸かる。
いつもより身長が低くなっているので、入るのにも苦労するのだが、これも乗り越える。
「はぁ〜。暖けえ湯は気持ちいぞい。」
ふざける余裕も出てくる。
それにしても、やましい気持ちは出て来なかったな。まぁ、あんまり見ないように頑張ったし、そもそも自分にやましい気持ちなど生まれないというものだ。
困ったなー、替えの着替えがないぞー。
どうしようー、この体に合うような服を集める趣味はないー。
普翔 心の一句 真心込めて
の一句に表される通り、子供のような服はこの家にはない。
パンツは、ストレージに入れてあるやつでいいだろう。他の服は…
とりあえずバスタオルにくるまって、クローゼットに向かうことにした。
この際、サイズなど合わなくてもよい。
とりあえず、持っていた適当なシャツやズボンを履いてみた。するとどうだろう。
服のサイズがみるみるうちに僕の今の姿に合うように縮んでいくではないか。
「…世界のシステムが変わるというやつは、
どんなサイズでも、服を量産しておけば、
服側から勝手にサイズを合わせてくれること
を言っているのか?」
まさかそんなしょうもないことを言っているわけではないだろう。
だが、これで今日の服問題は解決できたと言えるだろう。
ということで、他いろいろとやることを済ませて寝た。
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