第56話 視聴者さんからの質問にたくさん答えました。


 私は光学モニターを流れる数多の質問から、チョイスしていく。



【湊本四葉という名前は本名ですか?】


 やっぱり来たか、その質問。


「さ、さすがに違ぃますよー。本名っぽいぇすけどね。名前の由来は、大好きなアニメの登場人物からきてぃます。2人いるんぇすけど、苗字と名前を合体させちゃぃました」



【舌足らずは演技ですか?】


 えーっ、そんな風に思われていたなんて!


「演技じゃないぇす演技じゃないぇすっ。これ、普通に喋ってこうなっちゃうんです。子供っぽくて嫌だったんぇすけど、なんか最近肯定してくれる人が多ぃので、今はそこまで嫌じゃなぃです」



【高校は行ってないの?】


 そこ気になる人もいますよね、はい。


「最初は考えていたんぇすけど、中途半端にダンチューバーをやりたくなくて、だから高校には行ってなぃです。それに私、勉強苦手なもので。あ、でもでも、ダンジョン語の勉強はしてぃますよ?」



【エンドラさんとはまだお付き合いがあるのですか?】


 エンドラさんとか親しみこめて言ってるから、ありそうに見えたのかな?


「それは残念ながらないぇすね。今頃お空の上から、私がちゃんとエンシェントシリーズを身に着けてダンチューバーしているか、チェックしているかもぇすね。仮に使ってなかったら返せって来たかもしれませんね」



【彼氏とかはいるの?】


 想定の範囲内!


「いません。今はダンチューバーに夢中でそぅいった色恋とかはいぃかなって。全然興味がないとかじゃないぇすからね。いつかそういった人がいたらいいなくらぃは思ってますよ?」



【どうしてそんなに可愛いんですか?】


 無視するには多すぎる質問数っ。


「こ、この質問はどう答えていぃのか分かりませんっ。そう思ってくれるのは嬉しいぇすけど、私はそんなこと全然思ってぃなくて、だから、その…………ありがとぅございますっっ」



【モンスターとのバトルは怖くないですか?】


 そう思いますよね。分かりますっ。


「はい。怖ぃです。特級武具を装備していても怖ぃです。でも不思議なんぇすよね。それでもダンジョンに潜らないっていう選択肢はなぃんです。うまく言えないぇすけど、ダンジョンってそれだけ人を引き付ける魅力があるんだと思ぃます」



【ホーリーヴァレスティはまた使う?】


 そういえば、ケルベロス戦以来使ってませんね。


「うーん。どうだろ。気力減退に対する耐性は上がってきたと思うんぇすけど、今のところ使う予定はないぇすね。なんかトラウマに近ぃものがありますね。あのときのとてつもない倦怠感に対する恐怖と言ぃますか。でもいつかは絶対使ぃますっ。だってあれ、カッコイイぇすもんね。まずはエナジルの実、集めなぃとですね」



【好きな食べ物は何?】


 こういうシンプルなのいいですね。

 だから私もシンプルに。


「ハンバーグですっ」



【嫌いな食べ物は何?】


 好きとくれば嫌いもきますよねっ。


「ピーマンですっ」



【趣味は?】


 シンプル第2弾!


「ダンジョンに潜ることですっ」



【特技は?】


 シンプル第3弾!


「両手の手の平を合わせて、おならみたぃな音を色々出すことができますっ。プゥゥゥ、ぷっ、ブシュルルル、プォンッ、ぷぴっ、ぷすぅぅぅ~、ボフンッ。……いかかだったぇしょうか?」



【今、実際にしたおならを誤魔化しましたよね?】


 ええええええっ!?


「ご、誤魔化してませんっ。あ、あれは全部、私の手でやったんですぅぅっ」



【そうやって剥きになるところが怪しいですね】


 ひいいいいいいっ。


「む、剥きになんてなってませんっ。ただ、誤解を解きたくて声が大きくなっただけぇすっ。あ、あ、じゃあ、もう一回やりますからちゃんと見ててくださぃね。プゥゥゥ、ぷっ、ブシュルルル、プォンッ、ぷぴっ、ぷすぅぅぅ~、ボフンッ。……ほら、全部手でやってますよね!?」



【今は・ですよね? さっきは、ぷぴっのところが怪しかったです】


 どうしたらいいのおおおおお!?


「じ、じゃあどうしたらいいぇすか……?」



【可愛いおならだったので許します】


 良かった。可愛いおならのおかげで許し


「って、おならしてませんからっ!!」


 はい、次々っ。次の質問っ。



【座右の銘は?】


 座右の銘!

 座右の銘。

 座右の銘……。


「座右の銘ってなんでしたっけ? え? 自分への励ましや戒めのために、日頃から心に留めてぉく言葉、のことぇすか。えっと、えっとぉぉぉ……、次のライブ配信まで考えておきますっ」



【本当は13歳じゃないんですか?】


 そんなに幼く見えます!?


「正真正銘の16歳ですっ」



【昨今の経済状況の不安要素として、ダンジョン事業に対する国家の過剰な介入も、その一つとしてあると思うのですが、そこはどう感じていますか?】


 難しい質問っ!

 なのでスルー。ごめんなさいっ。



【よっちゃんグッズはいつ販売されますか?】


 ここできたか、グッズの質問。


「それはちょっと分からないぇすね。実はいうと私自身はぁんまり関与してなくて、社長さんが勝手にやってるんです。なのでどぅいったグッズなのかも不明です。……あのぉ、この際だから聞いておきたいんぇすけど、私のグッズなんて欲しぃです、かね?」



【コメント】

 ・欲しい

 ・欲しい

 ・欲しいでしょ!

 ・欲しすぎてやばい

 ・欲しいとしか言いようがない

 ・欲しくない人、おる?

 

 

 えっ、ほぼほぼみんな欲しがってるっ!

 ライブ配信まで視聴してくれているみなさんだからっていうのもあるけれど、これは喜んでいいんだよね??


 でも、みんなどんなグッズが欲しいんだろ。

 売上に貢献するためにも、これは聞いておいたほうがいいよね。


「あの、グッズなんぇすけど参考までに、みなさんはどんなのが欲しぃんですか」



【コメント】

・等身大の抱き枕

・等身大の抱き枕

・等身大の抱き枕

・等身大の抱き枕

・等身大の抱き枕

・等身大の抱き枕

・アクリルスタンド

・等身大の抱き枕

・等身大の抱き枕

・ボイス

・等身大の抱き枕



 等身大抱き枕の需要たかっ!

 星波ちゃんみたいな人、いっぱいいる!?


「わ、分かりましたっ。社長さんにはこの結果のこと伝えてぉきます。で、では次の質問はどれにしよぅかな……」



【星波様のことはどう思っていますか?】


 多くの質問の中で、それがひと際目に付いたのはなぜだろう。

 その質問にはちゃんと答えないといけないような気がした。


「憧れの人。そして尊敬できる人。それは同じ事務所に入って一緒にダンジョン潜っても全く変わらなぃです。だから、そこはこの先も変わらなくていいんぇすけど――」


 脳裏を過る、星波ちゃんと出会ってから別れるまでのあの濃密な一日。

 私の知らなかった彼女の一面を、いっぱい知ることのできたあの日。

 でも――。


「でも、もっともっと星波ちゃんと仲良くなって、もっともっともっと、星波ちゃんのことを知りたぃなって思ってますっ」


 質問コーナーは続いていく。

 終わったときライブ配信の時間を確認したら、1時間43分となっていた。


 本当に楽しい時間だった。

 また絶対、雑談/質問コーナーをやるって決めた。

 

 そのときまでに雑談のネタも集めておかないとなぁ、と思う私だった。

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