夏のプールの忘れ物

うたた寝

第1話

 夏休み。小学校という名の社会の檻から束の間の一カ月ではあるが解放された彼女はご機嫌のあまり家の中でスキップしていた。なお、夏休みの宿題は夏休み終了一週間前までは考えないものとする。

 夏と言えばイベント盛りだくさんのわけだが、残念だが小学生である彼女が一人で熟せるイベントなんて限られている。山にしろ海にしろ子供の経済力や移動力には限界があるのである。なので、どちらの条件も満たしている公立のプール(入場料100円、自転車で10分)へと出かけることにした彼女は必要な荷物をバッグへと詰めていた。

 必要な物、とは言っても入れるものなどそう無い。体を拭くタオルがあれば最低限何とかなる。後は一応水中メガネも持っていけば万全である。え? 一番大事な水着が無いって? ああ、大丈夫。それは荷物には含まない。何故ならば、

「よっと」

 部屋の真ん中で彼女は突如して服を脱ぎだす。夏の日差しにやられて頭がおかしくなったわけではない。向こうで着替えるのが面倒だから、家から着て行こうという話である。

 この夏のために買ったおニューの水着、というわけではない。個人でそんなものを買う財政力は無い。親に買ってもらおうにもサイズ的に着られない、という問題が起こるまでは新しいものなど買ってもらえるハズもない。正直に言うと既にサイズ的に少しキツイのだが、着られるか、着られないかで聞かれてしまうと着られてしまうため、かれこれもう3,4年は着古している水着を頑張って着ていく。

 ちなみに、着ている水着がスクール水着なのもそういうフェチズムを狙っているわけではない。スクール水着があるのに他の水着など買ってもらえるわけがないのである。まぁ後別に、泳ぐ、ということに重きを置くのであれば、一番適しているとは言えるので、泳ぐメインの彼女としてはさほどそれを気にしたことなど無い。

 水着の上から服を着て、準備万端になった彼女はふと忘れ物を思い出した。その忘れ物を受け取りに、彼女は荷物を入れたリュックを背負い、部屋を出る。

 そんな広い家でもないので、目的の人物はすぐに見つかった。台所でご飯の準備だろうか? 食材を切っているところであった。が、気のせいか、まな板に包丁が当たる音に怒りが混ざっているような気がする。またパパが何かやったのか? やれやれ、と思いつつ、彼女はそーっと背後から近づくと最大限可愛く聞こえる声を作り、

「お母さま、お母さま、私めにプールの帰りに食べるアイス代をお恵みくださいませんか?」

 するとピタリ、と。お母さまの包丁の音が止まった。分かりやすくゴゴゴゴゴォォォォッ!! と不機嫌オーラ全開の様子で包丁を持ったままこちらを振り返ると、

「貴方、また成績下がったわよね」

「………………」

 しまった。怒りの矛先はこっちであった。怒るくらいなら通知表など見なければいいと思うのだが、この家に黙秘権などなく、隣町まで追いかけっこをした挙句、捕まって逆さに吊られてランドセルの中身を全部取り出され、無理やり提出させられた通知表のことをまだ根に持っていらっしゃるご様子だ。

 自分に対して怒りを持っている人間が刃物を持っているこの状況。極めて危険である。ただでさえこの母親は武闘派で有名。以前パパを一本背負いしてテーブルを叩き壊したことを彼女は未だに覚えている。以来、反抗しまいと心に決めているので、きっと彼女に反抗期は来ないだろう。

 じりじりと距離を詰めてくるので、じりじりと距離を取っていく。が、やがてその背中が壁へと近付く。距離を取れなくなり、相手の間合いに一度入ってしまえば最後、逃げることなどできないだろう。戦うなんて以ての外である。下手すれば熊でも勝てないのに、非力でか弱い彼女が叶う相手ではない。

 なのでここは逃げる一択。

「あーっ!」

 彼女は突如大声を出してあらぬ方向を指さす。突然の大声に多少なり怯んだ母親が、娘が指さした方向に目線を動かした瞬間、彼女は猛ダッシュで台所から飛び出した。逃げたことに母親も気付いたようだがもう遅い。何せそんな広い家ではないのだ。台所を出れば玄関はすぐ。荷物ももう背中に背負っている。アイス代は回収できなかったが命より大事ではないので今日は妥協だ。

 ドアを押しながら鍵を開け、彼女は勢いよく外へと飛び出す。

「行ってきまーすっ!!」

 大抵、この言葉には『行ってらっしゃい』と返って来るのが通例ではあるが、実際に返ってきたのは、

「逃がすかぁっ!!」

 ドアが閉まる直前、背後から物凄い怒号が聞こえ挙句、閉めたドアに何かが突き刺さるような音と振動がしたが、怖いのであまり深く考えないことにした。



「暑い……」

 眼鏡を掛けた少女は溶けるんじゃないか? とちょっと心配になるほどに顔から汗を拭き出しながら自転車に寄り掛かっていた。日陰に立っているとは言え夏は夏。そんな炎天下の中10分以上も立っていれば汗くらいかく。

 待ち合わせ相手が時間通りに来ないなどいつものこと。大体10分から15分くらい遅れてくるので、眼鏡の彼女もそうしたかったのだが、10%くらいの確率で時間通りに着て、その際に遅れていくと物凄いマウントを取られるので、90%は遅れてくると分かりつつ時間通りに着ている。

 そもそも、何故眼鏡の少女がこんな炎天下の中立っているのか。それは彼女の友人にプール行こうぜ、と誘われたことがきっかけである。

 受験組ではない友人からすれば、夏休みは純粋な休みかもしれないが、受験組である眼鏡の彼女からすると、塾の夏期講習が始まるので、何だったら夏休みなんて始まってほしくなかったくらいである。朝から晩までみっちり塾。それを一か月。しかも途中で1週間の合宿まであるというのだからやってられない。

 塾があるから行けないと一度は断ったのだが、塾と私どっちが大事なんだ、とめんどくさい彼女みたいなことを言い出したので、塾が始まるまでの時間くらい付き合うことにした。

 泳げないし日に焼けたくないしの眼鏡の彼女からすると、屋外のシンプルな25メートルプールしかない公立のプールなど行きたくないのだが、まぁ多少なり夏休みらしいことをしたかったのは事実。後は拗ねられても面倒なので、こうやって待ち合わせ場所にやってきたわけである。

(早く来ないかなぁ……)

 ソワソワしながら眼鏡の少女は友人が来るであろう方向に目を向ける。早く遊ぶのが待ち遠しい、とかではない。これ以上炎天下の中で待っていると彼女の生態活動に支障をきたしそうなのである。今でさえもう、プール上がり、と言っても信じてもらえる程度には髪が濡れているのだ。これ以上待っていると濡れるを通り越して干からびそうである。

 が、どうにか干からびることは回避できそうだ。見ていた方向から、自転車に乗っている友人が見えたからである。眼鏡の少女は10分待たされているにも関わらず、怒った様子も無く手を挙げると、

「お~い、こっちこっち~。こっ……」

 手を振っていた眼鏡の少女が目を丸くして固まる。それもそのハズ。手を振って招いていた相手が自転車に乗ったまま何の減速の気配も見せずにこちらへと突っ込んで来たのだ。

「こここここっち来ないでぇぇぇっ!? ふぐぅぅぅっ!?」

 異様に短いスカートを履いているのは普段学校生活でひざ丈より短いスカートが禁止されていることへの反動か。おかげで自転車に突っ込まれて吹っ飛び地面に転がった眼鏡の少女からは友人のスカートの中が丸見えなのだが、そんなことは今はどうだっていい。

「ななな何をするのかなぁっ!?」

「黙れ。大体お前みたいに全教科90点後半取るような気色の悪い奴が居るから私がクズ扱いされるんだ」

「いや、私の点数云々の前に、貴方全教科一桁前半じゃない……」

 眼鏡の少女より点数が低いことを親に責められているのであれば、多少なりと眼鏡の少女に怒りをぶつけることへの正当性が生まれるかもしれないが、それをするには些か彼女の点数が低すぎるだろう。まぁ、鬼の形相の母親から逃げ回るリアル鬼ごっこを見ていた眼鏡の少女としては、多少彼女に同情しないでもないが。

「ってか何? 水着着てきたの?」

 自転車に直撃されて倒れた自転車を起こしながら、さっき地面に吹き飛ばされた際に見えた彼女のスカートの中について聞くと、

「うん。現地で着替えるの面倒だし」

「に、しても……、スカート短くない?」

「? そう?」

 さほど気にしてなさそうに、彼女は自分が着ているスカートの端を掴んで上げる。それだけでチラチラと彼女のスカートの中が見えている。

 今は水着を履いているからスカートから見えるものは水着だが、帰りは当然水着から着替えるので下着になる。ということは、下着がこれくらいの頻度で見え隠れする、ということなのだが、気にならないのだろうか?

 眼鏡の少女はそう思ったのだが、よくよく考えてみれば、この少女は休み時間とか下着が見えるのお構い無しにスカート履いたまま男子と混じって遊んでいたような気がする。下着が見えることなどあまり気にしていないのだろう。下手すればスカートを履いていなくても平気な可能性さえある。

「……何か、失礼なこと考えてない?」

 彼女が訝し気な目を向けてきたので、眼鏡の少女は適当な笑顔で誤魔化しておいた。



 ミーン、ミンミンミーン、と。普段室内で聞くことが多いため、室外で聞くとやたらと大きく聞こえるセミの声を聴きながら、眼鏡の少女は日陰で本を読んでいた。集中力を削ぎそうなBGMであるが、意外と慣れると自然の中での読書のようで快適なものである。水溜りもあるから、体が熱くなったら汗を一回シャワーで流してからプールに浸かって体を冷ますこともできる。まぁ、これであれば空調などが効いている図書室とか行った方が快適度で言えば上であるが。

 疲れてきたので眼鏡の少女が本を閉じて伸びをしていると、プールから彼女が上がってきた。彼女は眼鏡の少女を見るなり首を傾げ、

「あれ? テンション低くない?」

「……インドア、カナヅチの人間をプールに連れてきて何でテンション上がると思うのさ……」

 流れるプールやウォータースライダーなどがあるアミューズメントパークみたいなところであればいざ知らず、25メートルプールしかない公立のプールへ連れて来られても眼鏡の少女としてはテンションなど上がらない。せいぜい楽しみなことと言えば、体に悪いからと普段家ではお目に掛かれないお菓子とジュースが売店で買える、ということくらいだ。

 タオルで頭を拭きながら彼女が眼鏡の少女の隣に座ると、

「いいなぁ~、お菓子……」

 眼鏡の少女の手元にあるお菓子を見てそう言う。

「プール上がりのアイス諦めて買ってきたら?」

 いつも通り、プール後のアイス代節約のためにお菓子買わないのだろうな、と思っていた眼鏡の少女はいつも通りそう言ったのだが、

「いや、今日はプール上がりのアイスさえ買えないのさ……」

 予想外の返事が返ってきたので眼鏡の少女は顔を上げる。

「何で?」

「命の危機を感じたから諦めた」

「何があったのさ……」

 とは聞きつつ、何となく何があったのか察せてしまうのが恐ろしいところである。眼鏡の少女は自分の手元にあったお菓子の袋を持つと、

「食べる?」

「え? いいの?」

「うん」

「わーい! やったー! ありがとう!!」

 そんな素直にお礼を言われると、眼鏡の少女としてもやや複雑である。

 半分くらいは善意で言ったが、もう半分くらいは親に何か言われた時に友達との付き合いのために買いました、という免罪符が欲しかっただけである。

「と、言うか、25メートルずっと往復してて飽きないの?」

 スイミングスクールに通っている子より熱心に泳いでたんじゃないかと思える彼女にそう聞くと、

「いやー、ちょっと鍛えておこうと思ってね」

「鍛える?」

「陸じゃ逃げれないって分かったので、今度は水に逃げようかと」

「………………」

 何から逃げるのかはあえて聞かない眼鏡の少女であったが、次の終業式の際にリアル水中鬼ごっこが開始されないことを切に願うことにした。



 もうそろそろ帰らないと、と眼鏡の少女が言うので、彼女も帰ることにした。

 ストイックに25メートルを永遠往復しているのを見ていた眼鏡の少女としては、さほど誘われた必要性を感じていないので、自分だけ帰るつもりだったのだが、一人で残って泳ぐのは嫌らしく、彼女も帰ると言って聞かなかったのである。彼女のよく分からない寂しがり屋と言っていいのか微妙な習性である。

 まぁ、本人が嫌と言うのだから無理強いするつもりも無い。『まだ居ようよ』と駄々を捏ねられたら面倒だったが、『一緒に帰る』と言うのであれば眼鏡の少女としては別に文句は無い。

 泳いでいないから疲労も無い眼鏡の少女はさっさと着替え終わったのだが、ふと隣を見てみると、何か友人がロッカーに顔を突っ込んだまま微動だにしなくなっていた。

 ナニコレ怖い、と眼鏡の少女がそーっと突っついてみるが、返事が無い。屍なのだろうか? と眼鏡の少女が疑っていると、どうやらまだ屍とはなっていなかったらしく、

「………………た」

 何やら音が聞こえた。が、顔はロッカーに突っ込んでいるし、恐らくそもそものボリュームがそんなに大きくない。全然聞こえなかったので、眼鏡の少女は耳を近付ける。

「………………れた」

 近付けてもロクに聞こえやしない。仕方ないので彼女が顔を突っ込んでいるロッカーの隙間から自分の耳を突っ込む。

「………………忘れた」

 幾分マシにはなった。どうやら何かを忘れたらしい。が、肝心の何を忘れたのかが聞き取れない。

「ん? 何て?」

 一度耳を離し、口元をロッカーの隙間へと近付けて、ロッカーの中へと声を響かせる。やがて観念したのか、彼女は顔をロッカーから抜くと、この世の終わりのような顔を眼鏡の少女へと向けて、

「下着……、忘れた……」

 今度は聞こえた。ハッキリと。そして言ってやった。

「は?」



 心当たりはある。水着に着替えてアイス代を貰いに行った時。あの時、下着をリュックに入れ忘れたのだろう。

 が、心当たりがあろうともうどうしようもない。プールに来てせいぜい一時間程度。母親の怒りがその短時間で収まっているとは思えないし、そもそも連絡手段が無い。自分用の携帯など持っていないし、公衆電話は使えるお金も無い。眼鏡の少女はこれから塾。流石に私の家まで行ってパンツ取ってきて、とは言えない。

 そう。最悪上はいい。若干無防備ではあるがTシャツを着れば基本問題が無い。家に着く間くらいの多少のスースーは我慢できる。

 問題はそう、下。ズボンであればそのまま履くこともできただろうが、今日のお召し物はスカート。しかも今日に限って超ショート。ちょっと動くだけでチラチラパンツが見えていたくらいなのだ。素肌の上から履いた時の恐怖は計り知れない。下着を見られることにさほど抵抗は無かろうが、下着の下が見られるのであれば話は別。

 しかしだ。他に方法は無い。売店に売っているのはせいぜい水中眼鏡と水着。下着など売っていない。売っていれば最悪眼鏡の少女にお金を借りることも考えたが、売っていないのではどうしようもない。

 立ち尽くしていたって状況は改善しない。覚悟を決めるしか無かった。だが、

「ちょ、超恥ずかしいぃぃぃっっっ……っっっ!!」

「だろうね。良かったよ、それを恥ずかしいと思える程度の羞恥心は持っていてくれて」

 乗ってきた自転車を超スローペースで押していく二人。自転車に跨るわけにはいかないし、激しく動いてスカートが捲れるわけにもいかない。育ちのいいお嬢様のようにご上品にスカートの端を片手で押さえ、もう片方の手で慎重に自転車を押していく。

「何だよ! 他人事だと思って!」

「他人事だと思ってたらペース合わせずにもう塾へと行ってるけど」

「……そうですよね、ごめんなさい」

「……素直に謝られるとそれはそれで調子狂うな」

 ぶっちゃけ、傍に居たところで眼鏡の少女に何かできるわけでもないのだが、流石にノーパンミニスカートの友人をそのまま放置していくわけにもいかない。塾はまぁ多少遅れたところで成績さえ落とさなければ文句は言われないだろうと、彼女の自宅まで付き添うことにした。

「ひ、人がいっぱい居る……っ」

 泣きそうな顔で彼女が言う。そう。恐らく家までの帰り道で一番の難関がこの交差点。ここを抜けてしまえば後は人通りの少ない方へと進んでいくため、事故のリスクが減っていく。逆に言うと、ここで事故ってしまうと被害が甚大になる。

 羞恥心からか、さっさと進んでしまおうとした彼女を眼鏡の少女が止める。

「な、何で止めるのさ!」

「信号がもう変わる。そうしたら途中で走らなきゃいけなくなるよ?」

「うっ……」

 一度変わってしまうと2,3分待たされるのでさっさと進んでしまいたかった彼女だが、確かに、普段であればまだしも、今日のこのスローペース歩行では横断歩道の途中で信号が点滅するだろう。そうしたら流石に走らなければいけないわけだが、今この状況でスカートを揺らすことは死を意味している。

「うううぅぅぅっっ」

 とはいえ、この状況で信号を待って周囲の人に囲まれている状況も気が気ではない。風がほんの少し吹くだけで冗談ではなく寿命が音を立てて縮んでいきそうだ。

 早く変われ、と念じたところで、早く変わるわけも無いのだが、彼女はずっと念じ続ける。その願いが届いたのか、信号が遂に変わる。急く気持ちを懸命に鎮めて、ゆっくりと着実に一歩一歩進んでいく。この交差点は車を待っている時間も長いが、反対に車が待っている時間も長い。信号が変わった直後であれば、これだけゆっくり歩いていても、信号が点滅する前には渡り切れるだろう。

 一歩、また一歩。彼女たちの歩行速度に苛立った歩行者に抜かれても気にしない。決して自分のペースは崩さずに安全第一で進んでいく。

 横断歩道の終わりが見えてきた。渡って少し行けば人通りの少ない路地に入れる。


 そう、渡り切ってもいないのに渡った後のことなど考えた慢心が良くなかったのかもしれない。


 ガタッ、と。自転車のタイヤが軽く石に乗り上げた。普段であれば何てことは無い、アクシデントとも言えないようなアクシデントだが、今の彼女は振動に敏感。タイヤが何かに乗り上げた瞬間、彼女はテンパってデタラメにハンドルを切ってしまい、結果無理な姿勢となった彼女はそのまま自転車と一緒に姿勢を崩す。

 倒れ行く瞬間、嫌に周りがスローモーションに見えた。斜めになっていく視界が嫌に他人事のようかのように思える。

 倒れた時、痛みも無ければ音も無い。倒れた、ということにさえ、しばらく気付けなかったくらいだ。

 そして、これだけ大勢人が居る中で小学生の女の子が派手に転んだにも関わらず、誰一人『大丈夫?』と駆け寄っては来ないこの状況。それが意味していること。

「…………空が、今日も青いな…………」


 以来、彼女は水着を着てプールには行かないと心に決めた。

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