2話:ドラゴンって可愛くてカッコいい!!
自分でも何言ってるかわからないが、ちょっと俺の話を聞いてくれ。
死後、魂の姿となり、気合で足を生やしたら三途の川で溺れ、異世界転生を神様に願ったら――目の前にスケスケ衣装の美女が現れた。
自分でも何言ってるかわからないが、全て本当の話だ。
目の前にいるのは金髪碧眼のダイナマイトボディな美女で、年は俺と同じくらいだろうか。
一点の曇りも無いウェーブのかかった長い金髪が、三途の川の流れでユラユラ揺れている。
合わせて男性諸君の目をくぎ付けにするボリューミーな御胸様も柔らかそうに揺れているが、それについては一旦置いておこう。
俺の前に現れた美女は何故か“右手に金の斧”を、そして“左手に銀の斧”を持っていた。
童話の「金のオノ、銀のオノ」を髣髴とさせるが……もしかしてこれが、俺が願った神様なのか?
「
「うおっ、普通に喋った! お、お前は誰だ?」
「誰って、見ての通り三途の川の
「え、あぁ、うん……」
美女の名はリバ子で、しかも様付けを強要してきた。
ちょっと面倒臭そうな人だけど、名前からして“三途の川の主”であることは間違いない。
しかもどういう訳か、リバ子様と喋っていると先ほどまでの息苦しさが消えて、川の中でも普通に会話が出来ている。
凄い力の持ち主であることは疑いようも無いだろう。
「ところでお主、異世界への転生を望んでおったな?」
「あ、そうなんだよッ。いきなり死んじゃって……えっ、もしかして俺の願いを叶えてくれるのか?」
「そのもしかしてじゃ。望みどおり、お主の異世界転生の願いを叶えてやろう」
「ま、マジで?」
この展開には俺も吃驚だ。
ありがちな展開過ぎて逆に焦る。
「俺、チートスキルとか貰って無双出来たりするのか!? 女の子にモテモテになるのか!?」
「それはお主の運次第じゃが、しかし安心せい。ちゃんとスキルも貰える本物の異世界転生じゃ」
「いやっほー!!」
やったぜ!! 何でも言ってみるもんだなぁ。
口に出せば願いは叶うって言うけれど、それは本当だった。
“口に出して叶う程度の願いとか、そんなもん願いじゃねーし(笑)”
とか
リバ子様は「ただし」と不穏な言葉を付け加える。
「お主の転生先での姿は……ぷっ。まぁ転生したらわかるじゃろ」
「……おい、何で吹いたんだ?」
「別に何でもないぞ? お主はちゃんと転生先で……ぷっ」
「うおいッ、完全に吹いただろ今!! 俺がどんな姿だってんだよ!?」
「いやいや、本当に何でもないから安心せい。……ぷっ。マジうけるのじゃ」
「完全に聞こえてんぞテメェッ!?」
怒鳴ってはみたけれど、時既に遅し。
リバ子様が両手の斧を振り上げ、俺を目掛けて振り下ろす!!
そこで俺の意識は途切れ――。
「おめでとうございます。元気な男の子の……赤ちゃんドラゴン!?」
――意識が目覚めた時、俺は赤ちゃんドラゴンになっていた。
(おいおい、これはどういう事だ……?)
周囲の状況から推察するに。
どうやら何処かの木造家屋の中で、助産師の手助けの元に生まれたらしい。
俺を取り上げてくれた助産師も、俺を生んだ母親(人間)も、隣に付き添っていた恐らく父親(人間)も吃驚している。
まぁ驚いて当然か。
人間からドラゴンが生まれたのだ。
壁際に置かれた姿見に、助産師に抱かれた赤ちゃんドラゴンが映っている。
大きな口に小さな牙、頭にはこれまた小さな角を生やし、背中には小さいながらもちゃんとした翼が生えている。
なんちゃらモンスターでパッケージを飾った、御三家の赤いドラゴンを思い出して欲しいのだが、それを版権に触れない感じのデザインで小さくしたら――今の俺だ。
自分で言うのも何だか、姿見で確認する限り「かなり可愛らしい見た目」をしている。
リバ子様は「ぷっ」と笑っていたが……ちょっと待て、これは案外悪くないかもしれない。
俺が人気者になるのは確定した様なものだろう。
だってドラゴンだぜ?
その内カッコよく成長し、空を飛んだり、大の字で炎を吹き出したり、炎を纏ってタックルするのはお手の物。
何なら二つの姿に変身したり、滅茶苦茶身体が大きくなったり、自分のタイプを変えたり出来る様になるかもしれない。
『可愛い × カッコいい × 強い = 最強』
これで俺の望みどおり、女の子達にモテモテだぜ――ってうおいッ!!
「そんな訳あるかぁぁああああッ!! 何処の誰がドラゴンとイチャイチャしてくれるんだよ!?」
「ぎゃッ、私達の赤ちゃんが喋った!? ドラゴンなのに!?」
「そりゃ喋るさッ、これでも元は人間だぞ!!」
――――――――――――――――
*あとがき
次話、一気に5年後に飛んで、更に10年後に進みます。
「続きに期待」と思って頂けた方、作品をフォローして頂ければ幸いです。
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