鈍感と姉を見守る弟

「それで?お姉ちゃんはどこに行きたいんだ?」


「んー、とりあえずアストラの生活を見たいので人の多い所がいいかもしれません。」


「兄上。」


「……貴様、知らないからって俺に投げるな。」


「しょうがないだろ、俺は外に出れないんだから。最近の兄上なら政務でトラール城に行くようになったから、多少は知ってるだろ?」


「それはそうであるがな……」


ども、ルークだよー。

俺、兄上、お姉ちゃんことトリーシャとセッテが馬車に乗って、どこに行くかを悩んでいる。


そして、馬車の窓から見える羨ましいそうに俺の顔を見るアルヴィンで愉悦に浸っている。


悪いな、アル太。この馬車の中は4人用なんだ。


(イラ……)


おっと、怒った。


オルビットの騎士2人は前で馬車御者している。なんでも女騎士らしいが、兜を被っているので言われるまで分からなかった。


しかし……馬の扱いが上手いのか、馬車があまり揺れない。

かなり遅めに進んでるのもあってケツも痛くない。

だからなのか、外で歩いてるアルヴィンが馬車の真横までに追いついていけてるのかもしれない。


よーし、もっかいバカにしよー!


へけ!


(イライラ……!)


「何をやっているのだ、貴様は……」


因みにトラール城とはこの町のド真ん中にある城で父上が実際に仕事をしている場所だ。何かあったときの領民の非難所にもなるのであって結構大きい。


何故、そこに住まないのかは俺も理由は知らない。


大方、あそこは広すぎて生活するには金が掛かりすぎるとかではなかろうか。あの両親のことだし。


「そういえば、お姉ちゃんはいつまでここにいるんだ?」


「オルビット領まで旅は2週間半くらい掛かりますので、馬車の点検や食料、あと馬の調子の確認とかもやらんきゃいけませんから。5日間くらいですね。」


「たった5日間でそれらを全て出来るのはさすがオルビット家と言うべきか……」


と、驚く兄上が言う。 

 

「ふふ、こればかりは家の人達が慣れているだけですので。」


お姉ちゃんがそう返事して、外から声が聞こえてきた。


「お嬢様、アッシュ様、それにルーク様。着きました。」


どうやら着いたらしい。どこに着いたのだろう?


そう思いながら馬車から降りた。


そこから広がった光景が人、人、人。


右も左も人ばかりだった。


「ああ、ここかぁ。」


「納得したなら、早く退け。俺とトリーシャ嬢が出れぬ。」


「おっと、すまん。」


またしても感動で棒立ちしてしまった。


「トリーシャ嬢、手を。」


「あら、ありがとうございます。アッシュ様。」


ほう?ヘタレ兄が珍しくリードしてる。


「なんだ。その顔は?」


おっと、ニヤニヤしてるの見られた。 

 

「いや?なんでもないぞ?」


「その顔がなんでもないなんてあるか!言え、今何を思った!?」


「なんでもないぞー。しかし、城下町は確かに人が多いけど治安もそこまでじゃないだろ?大丈夫か?こんなところにお姉ちゃんを連れてきて。」


「トリーシャ嬢のご希望だ。治安のことなら貴族に襲い掛かる愚か者はそうそういないし、それに護衛なら3人もいる。俺も戦えるのだ。問題にはなるまい。」


だそうだ。なにかのフラグにならなければいいけど。



ま、いいか。今は外に出れてることを楽しもう。




――――――――――――――――――――――――――



さて、


一言で言うと凄く疲れた。


お姉ちゃんがあっちもこっち気になって歩き回るから俺らもつられて歩き回るはめになった。


女の子の買い物に男が振りまされるのは色んなフィクションでよく見るけど、本当だったとはな。


「あとは宝石の方も見てみたいですね!」


マジか。仕方ない兄上を生贄にするか。


「兄上。」


「貴様の考えていることに見当が付く。やめろ。」


「まだ、何も言っていないのだが?」


「大方、俺を生贄にするつもりであろう?乗らぬぞ」

 

何故分かった?しかし……


「そんなこと言って良いのか?お姉ちゃんの買い物に付き合えたの良いけど、全部俺が一緒だぞ?」


「それの何が問題なんだ?」


も、問題って……あのな……


隣にいるアルヴィンも呆れてるぞ………


「兄上とお姉ちゃんってどんな関係なんだ?」


「まだ正式にはなってないが、婚約者だが?」


「なのにせっかくのデートで弟の俺が居るんだぞ。」


「だからそれの何が問題なんだ?」


コイツ!まだ分からないのか!?


「だからお前とお姉ちゃんが恋人らしいことしてないんだって言ってんだよ!ぶっ飛ばすぞテメェ!」


「いきなり何を怒っておる!?って蹴るな!服が汚れる!」


「うるせぇ!さっさと行けぇ!」


そう言われたからか、兄上は慌ててお姉ちゃんのところに行った。


ふう……


「容赦ないですね、ルーク坊ちゃん……」


「言わなきゃ二人きりにはならないだろう?お前も呆れてただろうが。」


「兄を生贄にしようと思ってた自分を棚上げにするほどではありませんけどね?」



………………



…………う、うるせぇ。



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779☆、2818❤️、2060作品フォローと




144000PVありがとうございます!!


話しを組み立てるのにちょっと苦労しました。

お待たせしてすみません。


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