お姉ちゃんを迎える弟


「ふむ、馬子にも衣装……だな。」


「相変わらずヒドイなぁ…普通に似合ってるだろ、兄上…」


 ども、ルークだ。

 例のエリック第一王子の行方不明から一年ちょっとが経って俺は8歳になった。


 俺は相変わらずの無能で周りの大人達の冷たい目に晒される毎日だが、兄上は政務に参加することなるようになった。

 指導中により大人たちはまだ目を離せないが、なんでも物覚えが良いらしく、評判がすこぶる良いらしい。


 武術訓練にも大人の騎士を倒せるようになって、魔法に至っては魔法の先生が顎が外れるぐらい急成長しているらしい。


 これでアストラ家も安泰だと。


 それに比べたら弟の俺はほぼ2年経っても何も成長していないと影で言われることはあるが、

 まぁ……どうでもいいし別に気にしてはいない。

 好かれてないなら無理に好かれようとは思わない。


 それ言うと兄上はすごく不機嫌になるのだけど、俺には理由は分からん。


 さて、この一年間ちょっとの話は置いといて…だ。


 俺、兄上、スパイメイドことセッテと護衛のアルヴィンが門扉の前である家の馬車を待っていた。

 

「そろそろ来そうだよな?」

「うむ、時間的にはそろそろだ。であるな…セッテ?。」

「はい、そろそろです。」

 

 そう会話してたら馬車の音がそろそろーっと近づいてきた。

 

 来たか……

 一昨年に見た。

 両端にウミネコ、真ん中に帆船の紋章が刻まれている馬車。

 

 オルビット家の馬車が俺たちの前に止まった。


「アッシュ様!ルーク君!」


 止まった馬車の扉から出て来たのは何を隠そう、オルビット家の一人娘トリーシャお姉ちゃんだ!


「良く来てくれた、トリーシャ嬢。」

「はい!アッシュ様、ご機嫌よう。それと……ルーク君!」


 なんだ?


「お姉ちゃんが来ましたよ!いえーい!ピース!ピース!……これで合っているでしょうか?」


 おおー、ちゃんと両手でVサインもしてる!なら俺もちゃんと答えないとな!


「いらっしゃい!お姉ちゃん、いえーい!ピース!ピース!」


 片足少し後ろに上げて、手を天高く上げてハイタッチー!


 パッチン☆


 …………しかし、トリーシャってこんなキャラだったっけ?

 ゲームではもっとこう……儚い感じだったような?

 

「…………貴様ら、練習でもしてたのか?」


 呆れながら兄上がそう言ったら、もう一人が馬車から出てきた。


 それはオルビット家当主、ロバート・ヴィ・オルビット。トリーシャの父だ。


「トリーシャ、楽しみにしていたのは分かるが、止まったとはいえ急に馬車から飛び出すのは危ないよ。そして、はしたない。」


「ご、ごめんなさい……つい……」


「次から気をつけるように。ご機嫌よう、アッシュ殿と……貴方がルーク殿かな?」


「ようこそ、我がアストラ家の屋敷へ……そして、お初目に掛かります、オルビット侯爵殿。アストラ家の次男ルークです。…………あと、素敵な髭です。痛ってッ!!」


 何をすんじゃ!兄上ェ!

 いきなり人の足を踏むとは!


「ぷふっ……ありがとう。そして、よろしく。それと敬称は無しで頼みたい。君の家の方が格上だ。」


「いえ、まだ社交会に出れてない身ですので、どうかこのままで。」


「そうか、分かった。」


 俺とロバートの会話終わったことを見計らって兄上が口を開けた。


「弟をこの場に招き、あなた方のお迎えに立ち会わせて貰えたことを感謝します。さぁ……父上がお待ちです。」


「それは娘に言って欲しい。貴方の弟君と一緒に立ち会って欲しいと言ったのはあの子だ。しかし、本当に弟と仲が良いのだね。失礼だが、この貴族界せかいでは珍しい。」


「はい、本当に。私もそう思ってます。……アルヴィンよ、馬車御者を駐車場に案内し、荷解きに手を貸せ。」


「騎士を3人呼んで、手伝わせてもよろしいですか?」


「許す。」


「畏まりました。」

 

 と、兄上はアルヴィンに命令した。


 さて、俺はどうするかな。と思ってたら兄上が――


(先に自室に戻れ。)


 と、小声で言われた。


 仕方ないか。


「ルーク君、また後でね!」


 トリーシャお姉ちゃんがそう言って、兄上とロバートと共に父上のいる客間に向かった。


 俺は流石にそこまでは参加出来ないからな。




 ――――――――――――――――――――――――




 挨拶が終わって、大人達は仕事の話があるのだからと先に子供達だけが解放された。


 解放された兄上とお姉ちゃんが、俺らの憩いの場ことアストラ邸の書庫に訪れた。 


「お?来たか、やっほーお姉ちゃん!いらっしゃい。」


「ルーク君!えっと、やっほー?わぁ……本当に本が沢山ありますね!私の家の書庫にもこんなにありませんよ?」


 そこは死んだ爺さんに感謝しないとな。

 会ったことはないが爺さんがこの屋敷で住んでた時に集めてたらしいからな。


 兄上は父上と一緒に爺さんの隠居先の別荘で会ったことあるそうだが、どんな人物なのかは兄上が俺に語ることはなかった。


 俺もあまり気にならないからそのことを聞かなかったのもあるが。


「良かった、着替えてなかったのだな。」


「うん、このままこの堅っ苦しい服で1日を過ごそうと思ってたからな。それがどうしたんだ?」


着るだけでめんどくさいし、脱ぐのもめんどくさいしな。

なら、苦労した分で今日使い倒したほうが良い。

洗うのは大変だろうけど、洗濯係のメイド達よ、頼むぞ。


「なら、出かける準備をしておけ。トリーシャ嬢が町を見たいと言うのでな。」


と、そう心の中でそう思っていたら、お姉ちゃんはこの町を視察したいらしい。


「俺も一緒にか?」


「一緒に行こう、ルーク君!」


「分かった。それで他に誰が来るんだ?」


「オルビットの騎士2人以外、いつものあの2人だ。」


「了解、じゃぁ……この本を棚に戻したら行くか?」

 

「2人が迷子にならないようにお姉ちゃんとお手て繋ごうね!」


「「いや、それは勘弁してくれ。」欲しい。」


「ふふふ、やっぱり息がピッタリですね!」


 ………………そこはもう恥ずかしがったりしないが、


 おてて繋いでらんらんらんは勘弁してくれ。


「あ!2人とも顔が赤いです!」

 

 ………………


 だからそれは言わない約束だろ、お姉ちゃんよ……




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685☆、2388❤️、1789作品フォローと


119000PVありがとうございます!!


誤字報告などのコメントも本当に助かります!

出来るだけ自分でも見つけることにしてますが、

小説を書いてる人が何をと思うかもしれませんが、

情けないかぎりに私は文章があまり得意ではありません。

これからも指摘してくれると嬉しいです!

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