晴れる見込み

銀煤竹

晴れる見込み

 天気は晴れ。私が落ちてきた。


 会社へ向かう途中、目の前に落ちてきた。


 いつも鏡で見る顔が半分だけ見える。もう半分は潰れてしまっている。私に双子がいたという話は聞いたことがない。だから、これは私なのだろう。


 幸い私の服が汚れることはなかった。これが私以外の誰かだったら、もっと動揺していただろう。救急車、あるいは警察を呼ばなければならないから。


 仕事に行こう。始業時間まで余裕があるとはいえ、もしギリギリに出社したとなれば嫌味をいわれる。




 いち、に、さん、ガシャッーー


 ラジオ体操の曲が止まる。屋根のない駐車場、誰かの潰れた頭の周辺に壊れたラジカセの破片が散らばっている。顔は見えないが、また私が落ちてきたのだろう。あの服には見覚えがある。

 

 周りが騒がしくなる中、私は嫌な予感を覚え、静かに会社の中へ戻った。


 ドンッ、ガシャンッ、グシャ、グシャ、ギャッーー

 

 何かがへこむ音、割れる音、潰れる音、潰される音。

 

 グシャ、グシャグシャ、グシャグシャイヤァッドングチャガシャウワッガチャグシャグチャグチャッーー

 

 段々と激しくなる。窓から空を見ると色とりどりの私たちが落ちてきている。雲は一つとしてない。

 

 スマホを確認する。天気予報は今日一日晴れとなっている。

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晴れる見込み 銀煤竹 @Ginsusudake

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