第17話
「いてぇ……」
腕が上げづらい。
原因は間違いなく焼き魚定食――大吾とのボウリングだ。
右手も三ゲームの連投でダメージを負い、普段ろくに使っていない左手は一発で筋肉痛になったようだった。
「もうちょい運動しておくべきだったか……」
結局あの後はファミレスでとりとめもない話をし続けて程よい時間で解散ということになった。
もちろんリヨンとのことは根掘り葉掘り聞かれたが、言える範囲では素直に伝えた結果……。
「家に呼ぶ……か」
大吾からの提案。
家に呼ぶ、と言うと大層な感じだが、リヨンとのこれまでの距離感を伝えたところ、そもそも気合いを入れてどこかに連れていくより、気軽に遊べた方がいいだろうということだった。
気の合う男友達と遊ぶ感覚でいればその方が居心地がいいだろうという話だ。
「言ってることはもっともだと思ったが……」
いざ誘うとなるとかなりハードルが高い。
いやまぁ、下心を疑われることについては初回に向こうがハードルを越えてきているので気にしないでいいかもしれないんだけど……逆に呼んでおいてそのつもりがないというのが通用するものか……。
大吾に相談してもこのあたりのニュアンスは正確に伝わっていないので意味がない。
普通に相談したら多分、気にしすぎだと言われるだろう。
――ピコン
『アキ殿―! しっかりリオン氏に連絡したでござるか!? こういうのはスピード勝負ですぞ!』
通知音に反応すると大吾から連絡が来ていた。
会ってからだと文面からの違和感がすごいが、同時に謎の安心感があるな。
『これからする』
『ふぁいとでござるー!』
オタ芸のスタンプがたくさん送られてくる。
こっちはいったん放置して、ちゃんと誘うか……。
「……」
振り出しに戻る。
いや、もう勢いで誘おう。
『今度良かったらうち来ないか?』
シンプルにこれだけ送っておいた。
「お……」
すぐに既読。
そして……。
『いいの!? 行く!』
即答だった。
『ゲームやるなら家でもいいかなと思って』
『そうだねー。次の土曜日ならいけるけどどうかな?』
『大丈夫』
『やった。じゃあその日に!』
なんとかなったか……。
なんかそわそわするな……。
「こういう時は……」
ゲームでもやりながら、うちに来た時のことを考えおくとしよう。
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