編集者
「あなたの編集者さん…… 。」マグワイアは呟いた。
「えぇ。サティ・マカレットさん。あの事件を知った時は僕も愕然としました。」
マグワイアが驚きを隠せない顔のまま
「それはそうでしょう、お知り合いのー、」よどみながら言った。「しかも仕事上の ………パートナーのような方?」
ショーンは返す事なくー方を見た。
「突然に?」
「えぇ。出版社から連絡が来ました。」
「まだ犯人つかまって無いんでしょう?」
「はい。」
「んー。あなたも気を付けないと、どこに犯人がいるか分かりませんからねー。」
ショーンは小さく笑って、肩を上げた。
「どんな方なんですか?」
「良い人でしたよ。」
顔を上げてショーンが答えた。
「何でもよく気さくに話してくれて、たまに旅行のお土産をもって来てくれたりしました。」
「うーん、それじゃお亡くなりになってさぞかしショックだったでしょう?」
ショーンはこれにも返事をせずに反対を見ていた。
そのショーンを見てマグワイアが身を起こして聞いた。
「編集者と漫画家ってどんな関係なんですか?親しくしてらっしゃったんですか?」
ショーンは言った。
「編集の方と仲良くする漫画家もいると思うんですけど、… 僕はあんまり…… 何を喋ったらいいか分からなくて———— 」ショーンはしばらく黙った。そして「サティさんとは、仕事の打ち合わせとか、締切の時にお会いしたりとか、その位の付き合いしかなかったですね。」と話した。
「それじゃあそんなに親しくはなかった?」
「えぇ。」聞かれてショーンが頷いた。
「でもー。ねー、 親しくはなくとも仕事で付き合ってらっしゃった方が亡くなるなんてよほどショックだったでしょうねぇー。」親身になって言った。
「そんな良い人が殺されるなんて、何か人から恨みをかうような事とか?」
ショーンがさぁというように首を振って、「さっきも言ったように僕は親しくお付き合いしてなかったのでよく分からないんですけど、でもいい人でしたよ。海の描き方が分からないと言ったら自宅から何十枚も写真をもって来てくれたりして。」
「うーん。でもサティさんどうしてあんな所にいたんでしょうねぇ、」
「物盗りの犯行では無いらしいって書いてありましたからねー。何かトラブルでも?」
「さぁ…。」ショーンが声を静かにして言った。「私的なことは話さなかったので分かりません。」
頷いて、肘を付きながら
「今はどうしてらっしゃるんですか?担当さんが亡くなられたんでしょ?」
ショーンが前で手を合わせて口を開いた。
「今は別の担当の方に付いててもらってます。でも、長年彼にしてもらってたんで少し … やりづらいです。」
「そうでしょう。」 同感というように相槌した。
それからマグワイアは話題を変えて違う話をし出した。周囲を見渡した。
「しかしびっくりしました。私初めてここへ来たんですけど周りは林に囲われてばっかりで人家なんか無い。」マグワイアが身を乗り出し屈めて「恋人に会いにいったりする時大変じゃないですか?」
「恋人はいません。」
ショーンが前を向いてきっぱり言い切った。
「ぉやぉや。」
マグワイアが驚きを隠せずに口を尖らせた顔を作って言った。
「こんなキレイな方なのに?」
黙るショーンにマグワイアが再度質問した。
「都心には滅多にお出にならないんですか?」
「行きません。」ショーンが首を振って言った。
「出られることは無い?」マグワイアが前に乗り出して聞いた。
「もう長いことここからはでていません。」
「出ていない?」マグワイアが妙に喰い付いて聞き返した。
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