第74話 移籍交渉戦闘準備

 突然こちらにわからないようにして話し始めた女神たちに揃って首を振られ、ロワは小さく嘆息した。この託宣の間では神々であれど嘘はつけないし隠し事もできないので、それは確かに真実なのだろう。


 だが以前エベクレナも言っていたが、『この部屋では確かに嘘はつけないし、思っていることを黙っているだけでも抵抗感があるが、思ってること全部口にしなければいけないわけでもない』。『思っていることの一部でも口にすれば、ある程度思ったことを隠すくらいはできる』のだ。


 これまでこの部屋で女神さまたちと話してきて、ある程度理解ができた。この部屋の『嘘も隠し事もできない』という機能は、わりと雑というか、『嘘・隠し事』として認める範囲があまり広くない上に、その境界線にある事物の判定が、隠し事をしたい側に有利なように働いている気がする。『こうではないか』と訊ねられた時に、嘘はつけないし、その質問をごまかしたり、勘違いするふりをすることはできないが、『その質問の範囲外』と認識することを、答えないでいることはできるのだ。


 たとえば今ロワが問うたことを例にとれば、『自分がまずいことをしたのか』という質問に、女神たちは『まずいことはしていない』という自身の認識に基づく答えを返し、『気にしないでいいことだ』と自身の意見を告げてみせた。そのどちらにも嘘はない。


 だが、その答えを導き出す際には、答える者以外の認識を考慮しなくともいい、というのが託宣の間の虚偽・隠匿を防ぐ機構の判定なのじゃないか、と思う。具体的に言うと、女神たちがロワのさっきの問いに答える時は、ロワが『ロワの理解・価値観においてはまずいこと』をしていたとしても、女神たちはそこを考慮しなくてもいいのだ。


 たとえロワが『ロワの理解・価値観においてはまずいこと』を『していたら教えてほしい』という意図をもって問いを投げかけたとしても、そしてそれを女神たちが知っていたとしても、答える側はあくまで『女神たち自身の価値観においてまずいこと』を『していたら教える』だけでいい。そこに嘘はつけないが、そういう細かい解釈は答える側の恣意によって自由に決められているように思える。


 隠し事の禁止も、『相手が隠し事をしていないか問うた』場合、そうでなくとも『相手から無言のうちに訊ねられていると答える側が認識した』場合は確かに隠し続けることはできず、隠していたことを告白しなくてはならないし、そこに嘘はつけない。が、告白する隠し事を『どこまで答えるか』については、答える側の裁量に任されている。エベクレナも言っていたことだが、その辺りをうまく使えば、隠し事はさして苦もなく可能だろう。


 隠し事の一部でも告白し、そこに嘘をつかなければ問題ない、と判定されているのだ。そこで『他に隠し事はないか?』と訊ねられれば嘘はつけないものの、会話の中でそういう細かいごまかしがいくらでもできるように、抜け道が作られている気がする。


 ただ、それをしっかり認識して、用心深く振舞い、機能をきちんと活用すれば、嘘もごまかしも見抜くことは簡単ではある。今だって、『なにか隠し事してませんか?』『どんなことを隠してますか?』としつこくねちっこく食い下がれば、エベクレナたちがなにを隠していようと、簡単に白状させることはできるのだ。


 ―――ただ、まぁ、実際のところ。ロワにはそこまでしてエベクレナたちの隠し事を見抜くつもりがないわけで。


 神々には神々の事情があるだろうし、それを人間が事細かに知ってもろくなことにならないだろう、というのは容易に想像がつく。聞き出すことで不利益を得る情報というのも、世の中には少なからずあるのだ。


 それになにより、エベクレナたちが必死に隠していることを、知られたくないと泣きそうになるほどのことを、無理やり暴き立てるなんてことはしたくない。自分のせいでエベクレナたちに、これだけ世話になっている女神さまたちに、苦痛と悲嘆を与えてまで、知りたい真実なんて、ロワにはないのだ。まぁ、そう言い切れるのは、女神たちがロワや仲間たちの身命に関わるような重大事を隠しているなんてことは絶対にない、と信じることができているからではあるのだが。


「………………」


『………………』


「……あの。どうかしました?」


「えっ!? い、ぃいえ別に!? なんでも!? なんでもないですよ!? ロワくんに話すほどのことじゃ全然ないっていうか!?」


 あからさまにうろたえるエベクレナに、ああ考えていたことを読まれたんだな、とは思うが、不快感は感じなかった。人間の考えたことなんて読もうと思わなくとも読み取れる方々相手にそんなことを気にしていては、話をすることもできないし――なによりエベクレナが嬉しそう、というより幸せそうに中空を眺めはじめたので、たぶんまたなにか俺の考えたことで嬉しいことがあったんだな、くらいのことはロワでも考えられたからだ。この人に幸せを与えられるのなら、ロワとしては、自分の心を隠す必要性を感じない。


「……っ! ………っ! ~~~っ……!」


「え、ちょ、エベクレナさま、どうかしました!? なんかいきなり悶え苦しみ始めたみたいに見えるんですけど!?」


「いえっ……わかり、きってたことですから、なんでも、ないです。ホントに……ロワくんが、夢女製造能力高い系男子だっていうのは、本当に、何っ度も、思い知らされて、きましたから」


「は……はぁ……?」


「というか! それよりもですねっ! ちょっと聞きたいんですけどっ! ゾっさん!」


「え……」


「お、あたしの方に来たか。なに?」


「ロワくんはさっき、自分の方からゾっさんに頼んだ、みたいなこと言ってましたけどっ! 本当ですかそれ! ゾっさんから誘導した、みたいなことはないんですか!?」


「ぅ……」


「お、鋭いじゃん。『なんかあたしら女神に聞きたいこととかない?』とか『思いつかないんだったらこういう風に考えてみたら?』とか、あれこれ誘導してこの質問を導き出しましたがなにか。ま、ロワくん自身に質問を考え出してもらったのは間違いないし、誘導に乗ったのはロワくん自身の意志だし、あたし的には問題感じてないけどねー」


「やっぱりぃぃぃっ! なに考えてんですかどーいうつもりですか、推しの心を誘導するとかそれどう考えても私に喧嘩売ってるとしか思えないんですが!?」


「いや喧嘩売りたかったわけじゃ全然ないんだけどさ、あたし的にはこのめったにない状況、最大限に活用した方がいいだろうって思ったわけよ。お互いに」


「活用……?」


「だってロワくんってさ、毎晩毎晩寝るたびにあたしらのとこに呼び出されて、どーしたって気ぃ使う相手な上にわけわかんないことまくしたてる女どもの話えんえん聞かされてるわけよ? これまでは邪鬼、それも邪神が邪鬼に転生するとかいう、神次元しんじげん的にはどーしたって介入せざるをえない事件があったから、あたしら的にも介入する余地あったけどさ。これからそんな事件がまた起こるとか、そうそうないでしょ?」


「それは……まぁ」


「だからさ、せめて少しでもメリット提供してあげないと、神次元しんじげんの都合に一方的につきあわされるロワくんがかわいそーじゃないかって思ったわけよ。つってもあたしらがこれから問題なく提供できるものなんて、あたしらの個人的な情報ぐらいしかないし? だったら、あたしらの推し欲を萎えさせて、仲間に与えられる加護が低くなるような展開を避けるための情報をあげたらどーかって思ったわけ。これなら一応それなりにメリットあるっしょ?」


「ぬっ……そ、そういう言い方をされると反論しにくいですが……いやでもですね!? そーいう信徒の欲求に推しが過剰に歩み寄るっていうか、歩み寄らされることで、どれだけ弊害あるかわかりますか!? 作品そのものの質は落ちる、神は自分の自由に作品を作れないストレスに苦しみ結果また作品の質が落ちる上に心身の健康が悪化する、推しはその生きざまに現世の醜い欲望を張り付かされて魂を殺される、というデスコンボが容易に発生しかねないんですよ!? そんな展開に持ち込まれることこそが私らにとっては悪夢だと思うんですが!? 私ら信徒としてはまず推しのそのままの自然な姿を愛でさせていただくのが基本にして最重要でですねっ……」


「いや自然もなにも、こうして実際に会ってる相手に、まったく影響及ぼさないとかフツーに無理じゃん。だったらお互いにいい影響与えあうこと考えようよ。っていうかそーいう、推しを過剰に神聖視する態度ってのさ、こうやって実際に会って話してる相手を人間扱いしてない、ってことになるんじゃないの?」


「ぐっ……そ、そういう考え方は確かにありますがっ……人間扱いしてないとか、そういう……それとこれとは別問題で……ぐぬぬぬ……!」


「はいはいまーそのへんにしときなって。あたしらは別にいいけどさー、ロワくんが困っちゃってるよ? 『自分のせいで女神さまたちが喧嘩を始めちゃった、どうしよう』ってうろたえちゃってるじゃん、いいのー、そんな想いさせちゃって?」


 エベクレナとゾシュキアの口論に(水晶板で)割って入ったアーケイジュミンに、エベクレナはうろたえゾシュキアは苦笑して、とりあえず二人とも喧嘩をやめ、深々とロワに頭を下げて謝罪してくれた。




   *   *   *




 その後はギュマゥネコーセが話題を逸らして、それからあとのお茶会は、またおおむねロワにはなにを言っているのかさっぱりわからない話題に終始した、のだが。


 ロワとしては正直、話を進めるのに失敗したかな、と思っていた。できればロワは、女神さまたちの言う『最悪の未来』について、できればもっとよく話を聞きたかったのだが。


 現状においては、女神さまたちはロワの仲間たちを気に入り、加護を与えてくれている。そして邪鬼ウィペギュロクにまつわる依頼の中で、その加護は大いに力を発揮してパーティの窮地を救い、仲間たちの力を飛躍的に上昇させてくれた。女神たちが状況を見極めながら、仲間たちに神音かねをつぎ込みまくってくれた結果、なのだろう(正直その事実はいまだに申し訳なく、受け容れられてもいないのだが)。


 が、邪鬼関連の問題が一通り収束した今、この先自分たちにそんな、大陸全体の趨勢に関わるほどの状況が、そうそう訪れるとは思えない。これまでずっと駆け出し冒険者をやっていた自分たちだ、少なくともゾシュキーヌレフにいるならば、都市としての性質からしても、同程度の依頼しか回ってこないだろう。


 それが嫌というわけではないのだが、気になった。そんなちっぽけな依頼をちまちまこなすしかない自分たちの様子など、見ていても退屈だろうし、むしろ苛立ちしか覚えないだろう。加護も早晩打ち切られることになる可能性は大きい。エベクレナたちは、一度加護を与えた相手を簡単に放り出したりはしないと言ってくれたが、かといって加護が無条件にいつまでも与えられ続けると過信するのも思い上がりが過ぎる。


 自分にとっては、仲間の加護のあるなしはそこまで人生に影響はするまいが、仲間にとってはまさに一生を左右する大問題。できる限り加護を受け続けたいと願っているはずだ。その気持ちを無視するのも、手助けせず状況を放置するのも、仲間としては気が引ける。女神さまたちが自分たちになにを期待しているのか、自分たちにどんな生を送ってほしいと望んでいるのか。そういう期待に何もかも応えることは無理だろうが、せめてこれこれこういう未来は嫌だ、という望みがあれば、ロワとしても、そういった未来を避けるよう心配りするくらいはできる。


 まぁエベクレナは、自身の恣意で自分たち人間の人生に影響を及ぼすことをなにより厭っているようだったし、神々の世界の法からしても、他の神々も意識はさほど変わるまい。なので素直に聞いても答えてはもらえないだろうし、どうしたものかと考えている時に(エベクレナの教えてくれた託宣の間の情報を活用し、『他者に訊ねられてもいないことなので黙っていた』わけだ)、ゾシュキアが話を持ちかけてきてくれたのだ。ロワにしてみれば、気を使わせてしまったことを申し訳なく思いながらも、感謝せずにはいられない事態だった。


 エベクレナの激昂がロワを吹き飛ばす前に、なんとか事態の説明を終えられたのは幸いだったと言えるだろう。最後にはエベクレナもとりあえず落ち着き、ゾシュキアにあれ以上迷惑をかけることは避けることができたので、正直だいぶほっとした。


 だが、ゾシュキアの理屈に躍起になって反発するエベクレナの態度を見ていると、エベクレナたちの本音であろう『女神たちにとっての最悪の未来』というのを、仲間たちに明かすのも気が引ける。まぁなんと説明すればいいのかわからないというのもあるが、他の女神の方々はともかく、エベクレナがどれだけ自分たちの『自然』な在りようというものを重視しているかというのはよくわかったので、それを無視するわけにはいかないだろう。


 なので女神さまたちの自分たちに望むことを明かさないまま、できる限りさりげなく、自分たちのこれからの冒険者としての活動方針を誘導しなくちゃな、なんてことを考えながらロワはお茶会を終えたのだ。そんなロワの気持ちも見抜いていたのだろう、エベクレナはいろいろ言いたいことがありそうだったが、結局あえて口にしようとはしなかった。


 仲間に加護を与え、今回の一件では本当にお世話になった女神さまにそんな思いをさせてしまうのは、正直ひどく申し訳ないし心苦しくはあったのだが、それでも女神さまたちにとって、『最悪の未来』というものが存在すると知ってしまった以上、誰にとっても悪い結果しか生まないだろうそんな未来に向けて事態が進行していくのは、さすがに避けたい、と思わずにはいられない。エベクレナには申し訳ないが、できる限りさりげなく、仲間には事情を明かさないという縛りを設けた上で、その未来を避けるために手を尽くしたいと思ったのだ。


 それに実際、避けるのが難しい未来というわけでもない。ギュマゥネコーセの避けたい未来が、自分たちが『根本の存在意義を見失うこと』――これはたぶん眼鏡のことなんだろうから、ネーツェにはできる限り眼鏡を装着し続けてもらうよう誘導するとして(眼鏡を存在意義にさせられてしまったネーツェに、思うところがないと言えば嘘になるが)。


 アーケイジュミンが『鍛えるのをやめる』、ゾシュキアが『進む足を止めて停滞し続ける』、エベクレナが『仲間が別れ別れになる』――つまり、加護を与えてくれている女神さま方の大半にとっての最悪の未来というのは、冒険者をやめたり、パーティを解散したりせずに、頑張って冒険者をやっていれば、普通に避けられる未来なわけだ。


 ただまぁゾシュキアやアーケイジュミンのことを考えると、能力相応の、それなりに厳しい冒険を、常に続けていなくてはならない、ということにはなる。となると、仲間たちの能力からすると、金持ちや一般市民の下請けが仕事の大半であるゾシュキーヌレフで冒険者をやっていく、という選択肢はあまりに手ぬるい、という結論が導き出せるのだ。


 なので、ロワとしてはできる限りさりげなく、仲間たちにゾシュキーヌレフを出て、別のそれなりに厳しい場所で冒険をしようと誘わなくてはならなかったわけだが、カティフのおかげであっさりそれは達成できてしまった。カティフにとっては面白くないことだろうが、ロワとしてはこっそり感謝したいところだ。


 今度野営の時とかに俺の分の食事を少し分けてあげよう、などと考えるロワをよそに、仲間たちは『ゾシュキーヌレフを出るならどこに向かうべきか』についてああだこうだと議論する。


「ってゆかさー、ゾヌを出るっつっても、当てとかある奴いんの? 俺ゾヌ生まれゾヌ育ちだから、よその街のこととか全然わかんねーけど、それなりの腕の冒険者が集まるような街って、そんなにごろごろあんのかな?」


「や……そりゃまあ、そんなにごろごろはねぇだろうけどよ……いやでもこの街から出るのは決定したんだからそんでよくね!? 行動しようぜ行動!」


「いや、街を出るんだったら少なくともとりあえずの最終目的地ぐらいは決めなきゃならないだろ。単に足の向くままぶらついたところで時間の無駄だ」


「んー、けど、腕が上がったら行くような場所っても、そうぱっとは思いつかねぇよな。俺もどの街にどんなもんがあるのかとか、そこまで詳しく知ってるわけじゃねぇし」


「普通に考えたら、強力な魔物が多い土地、ということになるんだろうが……」


「ゾヌだって強い魔物多いぜ? 陸路でゾヌの外と行き来する時には、相当の腕利きを護衛に連れてるとか、強力な魔物除けの術法具を持ち歩いてるとかでもなけりゃ、隊商半壊とか、壊滅とかフツーにあるじゃん。街ん中には全然入ってこねーから、街ん中にいる分には全然ヘーキだけど」


「ゾヌの歴史からして当たり前と言えば当たり前だが、基本的にゾヌは海洋貿易国家だからな……むしろ陸の孤島のような状態を維持していた方が有益、という考え方もあるんだろうが。都市外の衛星村を襲う魔物については、駆逐するのではなく退魔結界用術法具の貸し出しで対処しているくらいだし……まぁそういう、街道を歩いていても強力な魔物にばんばん襲われるという土地柄でなければ、これだけ豊かな都市なんだ、このご時世でも色気を出して、手を伸ばそうとしてくる国が出てこなくもないだろうが……」


「むしろそれで都市の中には魔物入れないですんでる、っつーのがすげぇよな。俺最初この街に入った時わけわかんなかったもん。こんだけ強い魔物がうじゃうじゃ出てくる土地なのに、なんで城砦も城壁もない上、街の外側に住んでる連中がこんな呑気な面してんだって」


「まぁ、最初は海風の創者による魔術結界の防護が完璧なものだったからだろうが、それからもゾヌが退魔結界関連に全力で資金を投入した結果、ということになるんだろうな。はっきり言ってロヴァガにだって、こんな金をかけまくった結界張り続けてる街ないぞ。まぁ、魔術師たちという実働戦力があるから、そこまでする必要がないってことでもあるんだろうが……この都市の有する富がどれだけ天井知らずか、ってことの証明だな」


「え、っつかなに、海風の創者って。なにいきなり詩みてーなコトバ言っちゃってんの?」


「は!? おまっ……ゾシュキーヌレフが街として成立する最大要因となった、『海作』という技術を創り出した魔術師の二つ名だろうがっ! なんでこの街で生まれ育ったお前が知らないんだっ!」


「えー、だって昔この街がどーしたこーしたなんて、いちいち気にする必要なくね? 俺ら別にその頃に生きてるわけじゃねーし。神官のおっさんたちも別にそんなに熱心に教えてこなかったし……」


「ぐぬぬぬ……ゾヌの教育制度の質の低さは目に余る! 曲がりなりにも恩寵を受けた未来の神官候補に対する教育ですらそれとは……!」


「まー、所変われば品変わるっつーか、教える方の好みで教えられる内容ってけっこう変わるかんなー。この街の連中、基本的に明日金を儲ける方法しか勉強する気ねーって奴らが大半だし」


「……っつかそんなことはどーでもいーんだよ! 心の底からどぉっでもいいわ! 次に行く街のこと考える気ねぇっつーなら俺即パーティ抜けて別の街行くかんなっ!」


 ぎゃんぎゃんと喚くカティフに、ロワはぐっと奥歯を噛み締めてから、できる限りさりげなく、気のない素振りで軽く問いかけた。


「行くって、どこに?」


「へ……そりゃ、まぁ……そーだな、女王国ビュゥユとか。隣の国だし。なにせ国民の九割以上が女って国だぜ!? 一度は行ってみてぇと思ってたしっ! そんなとこなら俺に優しくしてくれる娼館のマダムの一人や二人いるはずっ!」


 一瞬カティフが冗談を言っているのかとまじまじ見つめてしまったものの、カティフの表情にまるで嘘は感じない。同調術もちゃんと使っているのだから、その感覚に間違いはないはず。えぇー俺カティってちゃんと世慣れた奴だと思ってたんだけどなーと思わず愕然としながらも、ここでそこをつついてもなんの益もないだろうと、やはりできるだけさりげなく続けて問う。


「………うん。じゃあ、その次は?」


「へ? え、次って?」


「いなかったらどうするのか、って話だよ。そこで旅を終えるつもりはないんだろう?」


「え、そ、そりゃ、まぁ……そこでダメだったら……まぁ、街道をその先に進むしかねぇ、んだろうなぁ。まぁ魔物に関しちゃ幸い、普通に会う可能性がある程度ならどんな代物が出てこようと、俺一人でもどうにかなるぐらいの強さは身についたし……。………あ!」


 カティフが唐突にがばっと身を起こし、仲間たちに向かって叫ぶ。『いいこと思いついた!』と言わんばかりに、珍しく瞳が輝いていた。


「なぁっ! イゲ……イゲィカディエンをとりあえずの最終目的地にして出発するってーのどうよ!?」


『え?』


 仲間たちは揃って不意をつかれた、とばかりにきょとんとした顔をして答えたが、ネーツェはすぐに唇に拳を当てて考え込み、ヒュノとジルディンも感心したようにうなずく。


「イゲ……イゲィカディエン、か。大陸でも数えるほどしか存在しない、巨大古代遺跡を発掘するために生まれた、冒険者ギルドによる自治が行われている都市のひとつ。確かに、腕に覚えのある冒険者ならば、そういった場所での冒険を経験するのは、通過儀礼のひとつでもある、か……」


「それ、いいんじゃね? 古代遺跡とかって俺、一度も潜ったことねぇし。遺跡の外じゃそうそうお目にかかれないような魔物がごろごろしてんだよな? 潜ってみてぇかも」


「うんうん! そこでそれなりの成果上げたりすりゃ、経験浅いからって駆け出しの坊や扱いされたりはもうしないですむよなっ!」


「だよなだよな、名案だよなっ!?」


「ただまぁ、それなりに距離はあるから、ある程度の長旅をしなくちゃならなくなるが。そこはわかってるんだろうな?」


「そんなん、大急ぎで旅しなけりゃなんないってもんでもねぇだろ? 途中行き会った街でしばらく滞在とかしながら、のんびり進んでもいいよな!?」


「ま、まぁ……別に問題はないと思うが」


「よし! なら問題なし! 旅の途中、ゾヌから離れた場所で、極上の娼館借り切って童貞捨ててやらあっ! ざま見ろ見てろよ俺をいじめた娼館主どもぉっ!」


「いや別に娼館の主人の方々も、別にお前をいじめたくてお引き取り願ったわけじゃないだろうが……」


「ぐだぐだ言ってんじゃねぇ! この結論で文句ねぇんだろ!? イゲィカディエンをとりあえずの最終目的地にして、のんびり旅しながら童貞捨てる! こういう行動方針で全員文句ねぇなっ!」


「べ、別に僕はその、そんな風に焦って経験を済ませたいわけじゃなくてだな……」


「あ、俺はヤっときてぇな。いっくら神々にも失敗があるったって、わざわざこっちにきちんと詫びて筋を通してこなきゃならねぇほどの不始末をやらかした元邪神の監視なんだ、万が一が起きる可能性なんてそうそうねぇだろうからな。邪神ウィグと似たような神格を持つ邪神がまた現れて、邪鬼にそんな強ぇ恩寵を与えるなんて状況になっちまう可能性だって似たようなもんだろ。そんなちっちぇ可能性に怯えて童貞取っておかされるってのもなんだし、経験できることはとっととしとかねぇとな」


「俺も俺も! どんな感じに気持ちいいのか、一回やってみたい!」


「ぬっ……お、お前ら、そういうことをこう、朝っぱらからぬけぬけと言うのはなっ……」


「羨ましいんだろぉ? 素直になれよぉ。お前だって本心では童貞捨ててぇって思ってんだろぉ? 今ならまだ間に合うぜぇ~?」


「ぬっ……ぐぐっ……お前らぁっ……」


「ま、とりあえず文句ねぇんならよし! ロワ! お前も文句ねぇな!」


「うん」


「っしゃぁっ! ならとっととあの冷血ねぇちゃんの所に突撃だっ! とっとと交渉終えて自由をもぎ取るぜぇっ!」


『おー』


「ぐぬ、ぐぬぬぅ……」


 吠え猛るカティフの後ろでゆるく相槌を打つヒュノとジルディン、の後ろで唸るネーツェの隣で、ロワはこっそり安堵の息をついていた。とりあえず、女神たちの思う『最悪の未来』に、そうそう陥ることはなくてすみそうだ。このくらいの誘導ともいえない誘導ならば、たぶんエベクレナも見逃してくれるだろう。




   *   *   *




 部屋の外の見張り(外出制限が緩和されたといっても、監視の目はそう緩くなったわけではないのだ)にエリュケテウレと面会したい、と頼んでから、一短刻ナキャンも経たないうちに、エリュケテウレは足早にロワたちのいる客室へ駆け込んできて、いつものごとく零下の眼差しでこちらを睨みつけた。同調術で読み取ったところによると、どうやら彼女は自分たちがいつ何を言い出しても応えられるように、と自主的に睡眠時間を術法で短縮した上でこちらに合わせている上、起きている間は常にこの客室の近くの部屋で待機しているらしい。


 いやなにもそこまでしなくても、とロワとしては思うのだが、エリュケテウレからしてみれば、自分たちの起こす諸問題への対処という仕事をきちんと果たすためにはそのくらい当然、という考えでいるらしい。正直申し訳なくなってくるくらいだが、仲間たちはそんなエリュケテウレの事情など(言っていないのだから当然だが)気にも留めず、元気に『この街を出て、イゲィカディエンへと向かいたい』という要求を告げた。


 エリュケテウレはその言葉を聞くと、しばし固まった。頭の中を真っ白にして、愕然と目を見開いて、すさまじい衝撃を受けたかのごとく、頭から指先まで微動だにできない硬直状態に陥る。


 え、なんだこの反応、とこれまでのエリュケテウレの心境をだいたい感じ取っているロワですら困惑して、仲間たちと顔を見合わせることしばし。たっぷり数短刻ナキャンが過ぎた頃、エリュケテウレはようやく精神を復旧させ――というか、表情にあからさまにふつふつと煮え滾る激怒の感情を表してみせながら、低く暗いいかにも激情を抑え込んでいますという声音で、言葉だけは冷静に、こちらに問いかけてきた。


「……つまり、この街の冒険者ギルドから、移籍したい、ということでよろしいでしょうか?」


「移籍って……別にんな、たいそうな話でも……」


「ギルドに所属する冒険者がどの街に行こうが、ギルドのない街に向かおうが、ギルドが文句をつける筋合いはないでしょう? 冒険者ギルドは、所属する冒険者の自由意思を尊重する、というのが少なくとも建前ではあったはずだと思いますが?」


「そうですね。一般的な冒険者の方ならば、その通りです」


「はぁ。……だったら問題ねーよな?」


 むしろきょとんとしながら反応を返す仲間たちに、エリュケテウレは今にも爆発しそうな顔と声のまま、言葉だけはあくまで冷静に、淡々と説明をしてのける。


「あなた方は、ご自身が、一般的な冒険者の範疇に収まる人間だと、本当にお思いですか? これまでに幾度も、あなた方の功績についてはご説明申し上げてきたと思うのですが」


「まぁ……けど、したことはともかくとして、俺ら別にギルドの支部で役職もらってるとか、そこの支部付きとして契約してるとか、そーいうわけじゃねーっすよね? だったら俺らがいつどこへ行こうと、ギルドが文句つけられる筋合いじゃないんじゃ?」


「………えぇ、確かに、理屈の上では、その通りです」


「だったらっ!」


 目を輝かせて勢い込んだカティフは、エリュケテウレに強烈な殺意のこもった眼差しを叩きつけられ、言葉を最後まで口に出せないまま固まった。確かに、エリュケテウレの今の形相には、たとえ英雄たちであろうと一目置かざるをえないのでは、とすら思えてしまうほどの苛烈さがある。


「ですが、みなさんが無事この街で冒険者としての活動を続けられるように、我々冒険者ギルドゾヌ支部の人間が、どれだけ必死になって働いてきたか、おわかりになりますか。今現在も、我々はあなた方の自由な活動のために、方々のギルド、商人、有力者、そういった方々と交渉を重ね、山のような事務作業を処理し、懸命に一丸となって働いているのです。それを理解した上で、あなた方は、唐突に、こちらに相談さえせず、この街を立ち去って別の冒険者ギルドへ移籍する、とおっしゃっているのですよ。それでなんの問題もない、と、あなた方は本当にそう言いきられるのですね?」


「え、や……ま、まったく問題ない、とまでは……」


 エリュケテウレの形相に気圧されて、一気に勢いを減じた口調でカティフがぽそぽそ答えるが、エリュケテウレは視線にこもった殺意をまるで減じないまま、言葉だけは淡々と、今にも怒りを爆発させるのではないかと思うほど、激情を抑えているのがはっきり伝わってくる口調で、斬りつけるように言葉を叩きつけてくる。


「問題がない、と言いきられるわけではない。つまり、あなた方は、問題があることを承知で、そのようなことを言い出されたわけですね。我々の労苦を無に帰し、労働に対する対価も消滅させる、我々にしてみれば理不尽としか言いようのないご提案を」


「ま、まぁ、その……俺たちもその、俺たちなりの理由があって決めたことなわけで……」


「むろん、あなた方にはあなた方の理由、目的は当然おありでしょう。それもなしに、単なる気まぐれでそのような、一方的にこちらが必死に積み重ねてきた行いを台無しにする、傲慢かつ厳酷な要求をされる方ならば、我々にとっては邪鬼や悪魔よりなお非道な、存在するだけでこちらを苦しめる災厄としか申し上げようがなかったでしょうから」


「は、や、その……」


「ですが、たとえどのような理由があったにせよ、あなた方のそのお言葉が、我々にとっては、これまで必死に頑張ってきたことを無駄にする、無残この上ない代物であることは疑いようのない事実です。それをご承知の上で、あなた方は、この街を出て行く、とおっしゃられるわけですね。少なくともこれまで我々は、できる限りあなた方に対し、誠実かつ篤実な配慮をもって接してきたつもりです。そういった行いと関係性をすべて無視して、あなた方は、この街を出て行く、と。そうおっしゃられるのですね?」


「や、あの、その………」


 殺意と激情と苛烈な威圧感のこもった刺すような眼差しで真正面から睨みつけられ、カティフは明らかに委縮して、長椅子の上で後ずさりし始め――


 ――たので、ロワはそこに割って入り、きっぱりはっきりと言いきった。


「はい、そうです」


「………!」


「ちょ、ロ、ロワっ!?」


「あなた方がどれだけ苦労を背負い込んで、大変な想いをされているか、俺たちははっきりわかっているわけじゃありませんし、申し訳なくも思いますけど。でもそれとこれとは、まったく別の問題ですよね? ギルドの職員の方がどれだけ大変だろうと、ギルドに所属する冒険者の自由意思を制限する理由にはならない。そうですよね? それはあくまで、冒険者の側から自主的に配慮する理由にしかならないことじゃないですか?」


「…………」


「もちろんこちらも、あえてあなた方を苦しめたいわけじゃありませんけど。さっきのあなたのように、威圧してこちらに言うことを聞かせよう、みたいな態度を取られると、どうしても態度を硬化させざるをえません。それに、あなたの言う『誠実かつ篤実な配慮』というものにだって、遺漏がないというわけじゃない。もちろんあなた方のおかげで今俺たちが押し寄せる悪辣な人間の対処にいっぱいいっぱいにならずにすんでいるのは確かだし、それに感謝もしてますが、俺たちを心から『大切にして労わっている』者の振る舞いとは言い難い点が随所にある。別にそれが悪いとは思いませんけど」


「………っ」


「最初俺たちが戻った時、こちらに事情を説明せず一方的に閉じ込めたり、とか。とりあえずの事情を説明してからも、基本的にはこちらに情報を開示することなく、俺たちの見えないところでこっそりことを進めようとしていたり、とか。俺たちも別に自分たちが偉いと思ってるわけじゃないんで、そういう扱いをされても気にはなりませんけど、恩を着せるようなことを言われても、正直対処に困ります。俺たちに恩を着せたいというのなら、せめてあなたたちがしてのけたことの情報を開示してからにしてもらえませんか。今の状況では、なにをどう感謝すればいいのかもまるでわからないんですよ」


「っ………!」


 エリュケテウレの視線にこもる殺意の熱がさらにその強さを増し、ぎりっと歯を噛み締める音がこちらの耳にも届いたが、反論の言葉はない。この場の空気を満たす痛みを感じるほどの殺意に耐えかねてか、ネーツェは固まり、カティフはわたわたおろおろとロワとエリュケテウレの顔を見比べて口をぱくぱく開け閉めするも、言葉を発しようとはしない。


 そんな中、ヒュノがあっさりと手を上げて言い放った。


「俺もそれに賛成。あんた、いろいろ言ってはいるけど、別に俺たちのために親切にしてくれてるわけでもなさそうだしな。他の人がどうかは知らねぇけど、少なくともあんたがギルドの代表って顔で話すんだったら、俺はそっちの顔を立ててやる気あんましねー」


「―――………!」


「そーそーっ! えっらそーなんだよなーあんたっ! ほんっとなんでいちいちあんなに態度でけーのっ? 今度もいっちいちぐだぐだうっとーしーこと言ってくるしさぁ、そんでやっぱ死ぬほどえらそーだし! なんでそんな奴の言うこと聞いてやんなきゃなんねーのっ?」


 尻馬に乗ってジルディンもずけずけと言うが、こちらはエリュケテウレに一睨みくれられるとびくついて、ぴゃっと長椅子の背に隠れてしまう。それにむしろ忌々しげに奥歯を噛み締めながら、エリュケテウレはロワの方に向き直り、絞り出すような声で問うてきた。


「つまり、あなた方は、私では不満だと。上の人間を出せ、とおっしゃられるわけですね」


「えっ、やっ、別に、んなことは……」


「その『上の人間』という方にとっても、俺たちがこの街を出ることが重要だというのなら、そうですね」


「――承知いたしました。それでは一度上層部の判断を仰ぎ、協議を行ったのちに、改めてご連絡差し上げますので、それまでこちらでお待ちください」


「わかりました」


「それでは」


 立ち上がり軽く会釈すると、エリュケテウレはくるりと背を向けて去っていく。その後姿から感じられる張り裂けるような慟哭に、思わずはぁ、とため息をついて頭を掻いた。正直彼女を苦しめたくはないのだが、ああいう風に興奮している女性を落ち着かせるには、逆らえない相手からの権力に基づく命令に頼るぐらいしか今のロワにはやりようがないのだ。


 と、ロワの肩をふいにカティフががっしとつかんだ。顔を近づけ、間近から、真剣な、というか動揺は隠せないながらも必死、という形相で見つめてくる。


「え? な、なに?」


「ロワ……お前っ……お前なっ……」


「う、うん?」


「……っよくあんな女と真正面からやり合えたな! 怖くなかったのかよ!?」


「え……いや、別に怖い、というほどじゃ……ああいう風に、興奮してる人って、これまでそれなりに見たことあるし……」


「いやあれはもう興奮してるとかそういう段階じゃなかっただろう……正直僕はこの人こっちを本気で殺そうとしてるんじゃと真剣に疑ったぞ」


「え、けどよ、ネテだって別にあの女がいきなり襲いかかってきても、対処しくじるなんてこたねぇだろ? 英雄の人らに『術法使いが不意討ち受けた時の体術』とか、けっこうみっちり教えてもらったじゃんか」


「いや教えてはもらったがな! こういう、冒険でもない日常生活の範囲内で、いきなり女性に『命を奪う』という目的で襲いかかられるとか、普通に勘弁してほしいぞ僕は!? それなりに対処方法は考えつくが、どんな方法を取っても相当な確率で、『男の方が悪い』って結論にされてしまうのが容易に想像できてしまうんだが!」


「っつかそれ以前に、女の人があんな風に不機嫌だったら普通に固まるだろ……怖ぇだろ普通! びくつくだろ! なんでお前らそんな平気なんだよ、まっ、まさか……すっ、既に……俺が見てないうちに体験済ましちまったとかじゃねぇだろうなぁぁぁ! 許さねぇぞ許されねぇ断固としてなんとしても滅殺抹殺大虐殺するしか……!」


「や、俺は単に、あの女がどんな風にこっち殺そうとしてきても、まーまず負けはねぇし死にもしねぇだろうな、ってのがわかってっからさ」


「う……うん、まぁ、俺も、似たような感じかな……」


「そーそー! 俺もあんなねーちゃん指先ひとつでちょちょいって感じだったからさ、フツーに言いたいこと言えてとーぜんじゃん?」


「嘘つけや! お前さっきあの女に睨まれてびくついて隠れてたじゃねーか! ロワとヒュノにならともかく、てめーにだけはでかい顔される覚えねーぞ!」


「うぐっ、だ、だけど俺、カティとネテみてーに固まったりはしてねーし!」


「というかだな、そもそもだな、僕だって別にあの人に負けるとか思ってたわけじゃないぞ!? あの人がなにをしてくるかわからないと思ったというか、日常の中に潜む殺意というのはこちらが気を緩めた隙を狙って襲いかかってくるものなんだから、無駄に他者に敵意を抱かせないようにするのは社会生活の中での当然の心得というかでだなっ……!」


 いつものごとき喚き合いに話が転がっていくのを横目で眺め、ロワは内心、小さく息をつく。今回もなんとか、『女に慣れている』理由について、仲間に説明せずにすんだ。

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