第六章 邪鬼討滅戦

第57話 孤立無援

「なんなんだなんなんだなんなんだよおいっ! なんで英雄連中いなくなってんだ、どこにもいねぇぞ、どこに消えたんだ!? なんでいきなり邪鬼の眷属どもが、わらわらわらわらわらわらわらわら湧いて出てきてんだよっ! なんなんだよホントなんなんだよもうっ、なんだってんだ俺らにどうしろってんだ!?」


「ぐだぐだうるさいっ、わかりきったことだってのにいつまでもぐちぐち文句を垂れている場合かっ! いいからとっとと剣を振るって敵を倒せっ、少しでも敵のいない場所にたどり着かなけりゃ、まともに話し合うこともできないんだぞっ!」


「なんなんだよなんなんだよホントなんだってんだよちくしょうっ、無茶だ理不尽だなんでこんな状況に追い込まれてんだ俺ら!? あのクソ英雄どもあんだけデカい口を叩いておきながらあっさり消えちまうとか、ぜってぇ恨んでやる、呪ってやるからな本気でぇっ……!」


 けたたましく罵りと恨みと呪いの言葉を吐き散らしながらも、カティフの剣さばきは的確だった。そこら中から次から次へと現れ出る邪鬼の眷属たちを、長剣の軽い一振りで二、三匹まとめて首を落として仕留めていく、という手際によどみがない。英霊を憑依させた状態で邪神の眷族と命懸けの戦いをした、というのが効いているのか、その剣閃と判断力は、いつにもまして冴えわたっていた。


 ネーツェも、ときおり文句や呪いの言葉が、憎しみのこもった悪口雑言込みで飛び出すが、魔術を使う精度も判断力も鈍ってはいない。これもおそらくはこれまでの経験が効いているのだろうが、ロワの記憶にあるネーツェと比しても、驚くほどに無駄がなく、効率的な術式構築だった。威力を最低に、効果範囲を極大に、集中時間を最短に調整しているだけとはいえ、これまでのネーツェなら確実にそのいずれかの制御に、あるいは術式を使う機を見極めるための判断に、大きな失敗をしていただろう。


 失敗をしているはず、というなら、ジルディンもそうだ。浄化の風を吹かせるという行為ひとつとっても、ロワの知っているジルディンなら、ひとつふたつ、いや三つ四つは状況判断やら術式構築やらで失敗をやらかして、魔力を無駄に消耗し、あっという間に魔力を使い果たしているはずなのに、今のジルディンは状況をわきまえて、効率よく無駄のない、無意味な力の入っていない、過不足なく魔力のこもった風を吹かせて、周囲の眷族たちを一瞬で一掃していく。


 ヒュノはいつも通りといえばいつも通りだったが、それはむしろ『この状況下でいつもと同じように冷静に行動できている』という、美点として受け取られるべきことだろう。これまでのようにばっさばっさと邪鬼の眷族を斬り倒していくその姿には、いつも通りに無駄もよどみも、気負いや功名心といった判断力の濁りとなるものも、まるでなかった。


 ―――そして、それでも、状況は最悪だ。


「おいロワっ! 英霊召喚できるまであとどんくらいかかるっ!」


「っ……、わかんないよそんなのっ! 俺はもともと英霊召喚術式を、普通に発動できるだけの能力なんて、持ってないんだから……!」


「じゃあできるまで頑張れ」


 そう吐き捨てるように言いながら、カティフはこの状況でひたすらに神楽を舞うしかないロワへ、襲いかかろうとした邪鬼の眷族を斬り捨てる。びしゃっと赤黒い血がしぶき、つられたように首がころりと落ちてから、体ごと塵と化した。


 ほとんど一瞬刻ルテンに一体、仲間全員で倒した数を合わせれば一瞬刻ルテンに十体近く、次から次へと邪鬼の眷族を倒してはいるものの、眷属が補充される数はその軽く数倍を超えている。あとからあとから湧き出る敵との、まるで終わりの見えない戦いが、いついつまでも果てしなく続いているのだ。


 英雄たちが消えてから、まだ半ユジンも経っていないのに、戦いの在りようは泥沼の消耗戦に突入していた。それでも自分たちは少しでもマシな道を選ぶべく、というより半ば以上反射的に、少しでも敵のいない、落ち着いて話せる場所を探しているが、今のところその見通しは暗かった。


 どこに行っても、どの道を選んでも、出てくるのはひたすらに敵、敵、敵。続くのは、えんえんと終わりなく出てくる雑魚敵との消耗戦。どうすればいいという見通しも立たず、どこに行けばいいのかもわからず、雲霞のごとく湧き出る眷属どもを斬り捨てながら、少しでも前へと進むしかない現状。


 そして、そんな状況ですら、ロワにできるのは少しでも早く英霊召喚を行うべく努力すること、というのがどうしようもなく情けなかった。女神さまたちからの加護を受けていない上に、これまでまともに邪鬼や邪神の眷族と渡り合ってもこなかった自分には、能力の土台が圧倒的に足りていない。


 たとえ邪鬼・汪の恩寵のせいで、出てくる敵はバターを切るよりたやすく斬れるようになっているとしても、殴る力は失われていないのだ。終わりなく繰り出される敵の攻撃をさばいて斬り返す、という行為が反射的にできるほどの実力を持っていない自分など足手まといでしかない。それよりは現状を打開する手のひとつである英霊召喚をさせた方がいい。


 そんなごく当たり前の発想に基づき、自分がやらされているのは、敵が次々湧き出て襲いかかってくるというこの状況で、周りを仲間たちに囲まれて護ってもらいながら、ひたすらに神楽を踊って英霊召喚を試み続けること。泣きたくなるほど情けなかったが、自分にできる少しでもマシなことといえば、結局そのくらいしかないのだ。


 そしてそれすらも、現在まともにできていない。神楽を舞うとはいっても、神楽というのは、踊りの形をなぞれば効果があるような、お手軽な代物ではないのだ。必要なのは神域と同調するだけの精神集中と、世界との調和。現在のように移動しながら必死に形をなぞっている状況で、まともに効果があるわけがない。


 それはわかってはいるのだが、自分には他に行動の選択の余地がない。泣きたい気持ちになりながら、仲間たちに遅れないようにしつつ、必死に形をなぞるしかなかった。


 そんな中、しゅっ、とかすかな音を立てて、先頭のヒュノが周囲の数体をまとめて斬り倒したのち、おもむろに呟く。


「あそこだな」


「え? へ、はい?」


「……確かにあそこしかねぇか。よっしお前ら気張れよ、あと一息だ、後ろからの敵はなんとかしてやっから、前と左右の敵の処理失敗すんじゃねぇぞ!」


「えっ……」


「ちっ……わかってるっ!」


「ん」


 めいめいそれぞれに答えたのちに、仲間たちはこれまでに層倍する勢いで敵を倒し始めた。ついていくのが難しくなるほど足早に歩を進め、移動速度が上がる。そのせいでこれまでよりさらに早く、多く敵を倒さなくてはならないはずなのに、仲間たちの動きにはよどみもためらいもなかった。


 敵を倒しながら、半ば全力疾走の勢いで駆け抜けて、たどり着いたのは小さな袋小路だった。というかむしろ小さな物置、ないしゴミ捨て場として使われていそうな小さなへこみ。そこに仲間たちは駆け寄って、自分も含めた後衛をへこみの中に詰め込み、ヒュノとカティフだけが門番のようにへこみの前に陣取る。


「ネテ、頼んだぜ。あとロワも参加しとけ、英霊召喚はあとでいいから。作戦会議が終わるまでなら、時間稼ぎくらいはしてやらぁ!」


「いやきっちり防げよ、雑魚くらいなら楽勝なんだから! ……えぇい、時間がないのに無駄話をしてしまったっ……とっとと来いロワっ、一瞬刻ルテンたりとも無駄にできないのは本当なんだからな!」


「う、うんっ」


 言われて反射的にジルディンの方をちらりと見やったが、ジルディンはそんな視線など気にもせず、ヒュノとカティフの後ろにどんと座り込み、うつむいて動こうともしない。え、本気で作戦会議に参加しないのか、と訝しく思ってしまったものの、作戦会議にジルディンが参加してもあまり役に立ちそうもないのは確かかな、とも思えてしまったので素直にネーツェの真正面に座る。実際、一瞬刻ルテンたりとも無駄にできないのは間違いのない事実なのだから。


「で、ロワ。お前には、この状況をひっくり返して、僕たちが無事に依頼を達成し、ついでに英雄の方々を助けられてしまうような、とんでもない一策というのはあるか」


「とんでもない一策、とは思わないけど。現状で思いつく、唯一の打開策っていうのはある、かな」


「ほう、それは?」


「……邪鬼・汪を討ち取る。しかないと思う」


 どこに行っても逃げようがない以上、自分たちにできることは敵を倒しに行くことぐらい。そんな単純な発想によるものでしかないが、実際自分たちに残された方策は、どれほど勝ち目が低かろうとも、それしかないように思うのだ。


「英雄の人たちが突然消えたのは、俺たちが邪鬼・汪の仕掛けた転移系の罠に引っかかったのか、英雄さんたちが引っかかったのか、どちらにしろ邪鬼・汪を討ち取れば、状況の打開はできる、と思うんだ。グェレーテさんは、『転移だの空間作成だの、その手の能力を使って逃げられる可能性は、とりあえずあと一長刻クヤン程度は考えなくていい』と言っていた。もちろん、英雄さんたちを捕えた段階で、その呪縛からは逃れてるのかもしれないけど。邪鬼・汪の居場所についても、ルタジュレナさんが『風を吹かせて空間を探査すればいい』『やろうと思えばそこの神官くんにだってできる』と明言してたんだ。つまり……罠についてしっかり警戒していた英雄さんたちを、しっかり罠に嵌めることができるほどの、とんでもなく高い転移能力を持ってる邪鬼・汪が、逃げ隠れすることができないっていう、彼我の戦力差を考えなければ絶好の機会だ、っていう可能性はそれなりに高いと思うんだ」


「………ふん?」


「だから、邪鬼・汪を倒す機会は、今しかない――とまではいかなくとも、今が一番効率がいい、被害を出さずに無事に収められる機会だっていうのは、間違いないって気がする。俺たち自身で、邪鬼・汪をちゃんと倒せるかっていう確実性については、あんまり自信ないけど……」


「ほう。つまりお前は、僕たちだけで邪鬼・汪を倒せる、と確信してるわけじゃないわけか」


「うん……確信は、してない。今回の邪鬼はいろいろ規格外みたいだし、俺たちじゃとても歯が立たないぐらいに強い、って可能性もそれなりにあると思う。だけど、邪鬼・汪はたぶん、英雄の人たちの動きを封じるために、奥の手を使いつくしてる……可能性の方が高い気がする、っていうか。英雄さんたちは、邪鬼・汪が強力な転移能力者だってことを知っていたし、転移能力者の根城に乗り込むのは危険だということも知ってたのに、それでも『問題ない』って……『相手がどんな罠を仕掛けていても対処できる、向こうに対応策も打たせないまま蹂躙できる』って確信してたみたいだった」


「予想が外れたってことは、そもそもその見込みが完全に外れてたってことになるんじゃないのか?」


「そうかもしれない。だけど、賭けるなら俺はそうじゃない方に賭ける……願望が混じってるのは、否定しないけど。英雄さんたちを騙しきれるほど頭が働くなら、そもそも眷族の大群を、蹴散らされる可能性や、それについてのまともな対策も考えないまま都市の襲撃に使って、あっさり全滅させられる、なんて間抜けな結果にはならなかった……んじゃないかなって」


「…………」


「もちろんそれさえも偽装で、二十四万の眷族は英雄さんたちを油断させるための必要な犠牲だった、とみなしている可能性もある。二十四万って数も大した被害とみなさなくていいくらい、眷属の損耗回復率が高いのかもしれないし。でも、俺は、希望的観測というか、そうであってほしいって気持ちが多分に混じってる気は自分でもするんだけど……」


 神々の生活環境や、あの方々の有する頭脳の明晰加減や、邪神ウィペギュロクに高い作戦立案能力の持ち合わせがない、という口にはできない情報も考え合わせたならば。


「邪鬼・汪は、少なくともあと一長刻クヤンは、逃げも隠れもできない、こちらを転移させることもまともにできない状態で、この本拠地のどこかに隠れている。その可能性が一番高い……んじゃないかなって、思ったんだ」


 決して確信があるわけではないので、視線はふらつくし声には力がないし態度もやや挙動不審なものになってしまっているけれども。ロワとしては、懸命に考えて導き出した答えだった。


 そんなロワの言葉に、ネーツェは肩をすくめてふんと鼻を鳴らす。


「僕も同じ意見だ。……実際問題、僕たちだけで撤退しようとしても、この超高空からじゃそう簡単にはいかないからな。無事に着地できたとしても、撤退するなら冒険者としての信義上ゾヌまで戻る必要があるけど、ここからじゃ相当距離が離れているし。その間に邪鬼・汪は完全に態勢を整えて、さらに強力な軍勢を、そうそう簡単には倒せないような対策を施した上で送ってくることだろう。英雄の方々の行動がまるっきり無駄になる上に、最終的な勝率はどんどん下がっていく。最終的な勝利を得るためには、ここで僕たちが死に物狂いになって邪鬼・汪を倒す、というのが一番勝率が高い、と僕も思う」


「うん……少なくとも、一般的な邪鬼を倒せるぐらいの戦力なら、俺たちは有してるらしいし」


「まぁ、英雄の方々はそんなようなことを言っていたな。言われる側にしてみれば、買いかぶられてる気しかしないわけだが」


「あ、いや、それはそうなんだけど、そうじゃなくて。……なんていうか、その。女神さまたちから、簡易的な加護って代物をいただいちゃって……」


「………は?」


「俺たち全員に、その、一度ずつだけだけど、どんな状況でもある程度幸運を招き寄せることができる力と、どれだけの怪我を負わされても一回は生き延びることができる力、それからその、一般的な邪鬼なら素人でも殴り殺せるぐらいの奇跡を、起こすことができる力、なんだけど……」


 数瞬ネーツェはロワをまじまじと見つめてきたものの、すぐにふんと鼻を鳴らして肩をすくめた。


「いろいろ言いたいことはあるが、非常時だし今は置いておこう。……それは、俺たちの自由意思で発動できるものなのか?」


「あ、うん……ええと、幸運は基本的に常時、大きな不幸を避けたり、大きな幸運を呼び込んだりして力を使い果たすまでは継続して発動するもので、生き延びる力は死ぬような攻撃を受けたら勝手に発動する、ものなんじゃないかと思う。奇跡を起こす力は自分の意思で発動できるけど、その効力を十全に発揮するためには、自分の全身全霊を込めて行う行為ひとつに、奇跡をすべてつぎ込むっていう明確な意思と判断が必要で、普通はそこまで冷静、的確に判断ができないから最大の効果を得るのは難しい……ってことだった」


「……的確に判断して、確実に攻撃が決められる場面で、攻撃ひとつに全力でその奇跡を用いれば、素人でも一般的な邪鬼なら殴り倒せるんだな?」


「う、うん。そう聞いた」


「……なら、ここで賭けてみない方が嘘だな」


 呟いてから、ネーツェは仲間(向き合って話しているロワと、うつむいて動かないジルディンと、そんな自分たちを護るように立ちふさがって、さっきからずっと波のように押し寄せてくる邪鬼の眷族たちを斬り捨て続けているヒュノとカティフ)たちを見回して告げる。


「いいかお前ら。これから僕が、全員の思考を繋ぐ念話術式を使うから。抵抗するなよ」


「え? あ、うん……」


「あいよっ、いつでもどーぞっ」


「お前俺らが仲間のかける術式にいちいち抵抗するほど余裕があるように見えんのか!? いいからやるならとっととやれっ」


「……〝汝十七折の赫糸、我が内より出でて同胞への道を繋げ、虚無にして無限たる世界へ押し寄せる音なく力なき波にして雷である呪の源たるべし、一の王と一の帝より剣士と戦士、神官と精霊騎士へ、律法によりて通ぜよ、縁〟」


 一瞬、神経の先にちりっ、と痺れるような衝撃が走った。と思うや、突然自分の心の中に人が、というか仲間それぞれがそれぞれの存在感を持って現れた感覚を得た、と同時に耳には聞こえない叫び声が響く。


『はぁっ!? なんっだこりゃ! え、なんだこりゃ、なんか俺の心の中にお前らがいるみたいな感じなんだが!?』


『感じじゃなくて、実際に存在してるんだよ。思考を繋ぐって言っただろうが。心の中で複数人で話し合いしようってんだから、心の中に話す相手が存在する状態で固定されるのは当然だろ』


『ふーん……で、なんでそんな術式使ったわけ? これまで一度も使ったことなかったよな、こんな術式』


『切った張ったをしながら会議に参加するのは難しいって思ったからだよ。それに思考が走るのはそれこそ光並みに速いからな、脳に少し負担はかかるが時間を無駄にせずにすむ。思考が繋がってるから想念も相手に伝わる関係上、情報が誤解されたり伝わらなかったりって事態も起こりにくいしな』


『じゃあなんで最初からこれ使わなかったんだ?』


『脳に負担がかかるのは確かなんだから、こんな切羽詰まった状況で術法使いが使う術式じゃないって思っただけだ。だけどロワの話を聞いて、脳に負担がかかるとしても、情報を遺漏なく確実に伝えることが必須だと思ったから使った』


『ふーん? その情報ってのはなんなんだよ?』


『ロワ。簡易的な加護について説明してくれ』


『あ……うん。えぇと、さっき俺が気絶してた時、いつもみたいに女神さまたちに呼ばれてたんだけど、その時に――』






 とりあえず女神さまたちの個人的な感情については触れないまま(この術式では女神さまたちに呼ばれる時の部屋の仕組みのように、嘘やごまかしができないというわけでもないらしい)、それ以外の伝えられた情報についてはすべて伝えると、真っ先にカティフが唸りながら問うてきた。


『つまり、あれか? 英雄さんたちがいきなりあっさり罠にかかったのは、邪神ウィペギュロクが神々の掟を破って、邪鬼・汪に普通ならありえないような加護を与えてもらってるから、ってわけか?』


『あ……そうか。そうなる、よな。うん、たぶんそうだ』


 その可能性には気がついていなかったので感心しつつ相槌を打つと、カティフにやれやれと言いたげなため息をつかれた。


『お前、せっかく女神さまたちに呼ばれてるっつー異常なまでの超幸運に恵まれてるってのに、その観察力のなさどうにかしやがれよ……あの女神さまたちにお呼ばれしてるってのに! あのとんでもねぇ超絶壮絶色気美人さまたちにお呼ばれしてるってのに! 他の女神さまたちも超絶美人さまなんだろクソ許せねぇ……!』


『その手の話は仕事を終えてからにしろ。……となると、邪鬼・汪にはまだ奥の手がいくつも残されている可能性が高くなってくるわけか……』


『けど、それでも今この時にしっかり殺しとかねぇと、もっと殺しにくくなる相手なんだろ?』


『……まぁ、そうだが。敵にいくつ奥の手があったとしても、僕たちの行動に選択の余地はないからな。全員、それでいいな? 今後行動方針への文句は受け付けないぞ?』


『当然』


『まぁ、確かに選択の余地はねぇよな……英雄さまたちを見捨てて逃げ帰っても、ギルドの受付嬢と幹部に殺されるだけだし……』


『う、うん……』


『……ジルも。いいな?』


 名指しで問いかけられて、ジルディンは小さく手を上げるような想念だけを送ってきたのち、また無言に戻った。ネーツェは小さく肩をすくめるような想念を周りに送ってきたものの、文句をつける様子はない。おそらく、ロワは思考を繋げてはじめてわかったのだが、ジルディンが全力で集中して魔力を練ろうとしていることを、ネーツェも、ヒュノとカティフも、理解しているからなのだろう。


『……僕たちに女神さまが贈ってくださった加護――奇跡を起こす力についても、全員理解したな? 素人でも一般的な邪鬼ならば殴り倒せるというのならば、僕たちぐらいでも失敗することなく使いこなせれば、ウィペギュロクから多大な加護を受け取っているだろう、邪鬼・汪を倒すことができるようになる可能性は高いと言っていい、ってことも』


『おう』


『ま、普通に考えりゃそうなるわな。邪鬼・汪が俺たちに想像できる範囲外の強さだった、とかじゃなければ』


『その可能性はこの際無視するしかない。僕たちの行動には選択の余地がないんだからな。……つまり、その奇跡の力をどう使い、邪鬼・汪の討滅を目指すか、ってことになるわけだが』


 そこでネーツェは一度言葉を切って、ヒュノへと意識を向けた。


『ヒュノ。僕はお前を邪鬼・汪を倒す剣の役目に推したい』


『お? いいぜ、わかった』


『……いつもながら即断即決だな。まぁいいが。異論はないか? 他の誰か』


『ないよ』


『ああ……俺も、ヒュノが適任だと思う。奇跡の力をいつ、どういう状況で、どういう行為に使うかってとっさの判断力が重要ってんなら、ヒュノ以外に適任いねぇだろ』


『ジルもいいな? よし。カティには囮の役目を頼みたい。さっき憑依してもらった英霊をもう一度憑けて、あとからあとから湧いてくる邪鬼の眷属どもの攻撃性を惹きつけて、反撃で少しでも数を減らす役目だ。ヒュノが邪鬼・汪を倒すまで、眷属どもがその邪魔をできないようにしてほしい。それと、僕たちに眷属が襲いかかることが少しでも少なくなるようにしてもらいたいってところだな。お前が伸ばすことを選んだ能力は、そういう風に使うものなんだろう?』


『……まぁいいけどよ、あの英霊を憑けてもらったらの話だからな。俺の素の能力であとからあとから湧いてくる眷族どもの攻撃性を全部惹きつけるとか、天地がひっくり返ったって無理だからな』


『ああ、わかってる。頼んだぞ。……ジルは浄化の風を大規模に吹かせて、パーティ全員の健康状態を維持するのと、敵への広範囲攻撃を同時にやってもらう。英霊が憑けば、できるんだよな? そのくらいのことは』


『ん』


『よし、頼んだぞ。それからこの城砦の中を風で探って、邪鬼・汪の位置を特定するのもお前に頼むことになるからな。それだけの風を操るだけの精神集中を続けてもらう関係上、移動はせずに、この位置に留まって術式を使い続けてもらいたい。さすがに移動しながらじゃ無理がありすぎるからな。それで問題ないか?』


『ん』


『よし。……それで、僕は全員の補助を担当したいと思う。基本的にはジルと一緒に行動して、ジルが役割を無事果たせるように支援しながら、仲間全員と思考だけで連絡が取れるこの術式を維持して、パーティの連携の補佐をする。なにか問題が起こって助けてもらいたい時には、頭の中で助けを呼べば僕が受信して、支援術式を飛ばす。場合によってはそれぞれの居場所へ支援に向かう。状況次第だが、高速移動術式で仲間たちを回収して一箇所に戦力を集中させる、ということも行うことになる。……今の僕だけの力でそんな真似を決着がつくまで継続させるのは厳しいが、英霊の助けがあればできないことじゃないはずだ』


『……うん……』


『そして、ロワ。お前には、最初っから死に物狂いになってもらうぞ』


 頭の中で、ネーツェがこちらに向き直る気配が感じられた気がした。心の中だけの会話でしかないのに、否応なしに威圧感が感じ取れてしまい、思わず頭の中で息を呑む。


『ジル、僕、カティ、ヒュノの順番で、英霊を憑けていってもらう。それができなければ作戦そのものが始動できない。英霊召喚術式なしじゃ、どう考えても戦力が足りなすぎるからな。ただ、ヒュノについては英霊召喚なしでも戦力になりうる、と英雄の方々のお墨つきが出ていることだし、保留も可としようと思う。つまり、カティにまで英霊召喚術式を発動させることができたのなら、邪鬼・汪の居場所にヒュノと一緒に急行してもいい。もちろん、その途上で英霊召喚術式を発動させようとするのは大歓迎だけどな。邪鬼・汪と対峙しながら発動を試みるのは、正直あまりに危険すぎるというか、邪鬼・汪に狙い撃ちにされること間違いなしだからやめた方がいいと思うが……その辺りも含めて、最終的な判断はお前とヒュノに任せる』


『………うん………』


『だけど、カティまではなんとしても、石にかじりついても英霊召喚術式を成功させてほしい。もう一度言うが、そうでなければ作戦がそもそも成り立たないんだ。正直、そのために奇跡の力を使用してでも、きっちり発動を成功させてほしいと思う。僕たちもできる限り支援するが、結局のところ最終的には、お前自身になんとかしてもらうしかない。英霊召喚術式さえ全部発動できれば、あとはどこかに隠れるなり、ヒュノと邪鬼・汪の戦いの邪魔にならないというか敵に狙われない場所でじっとしてるなりしてくれてていいんだが。頼めるか』


『…………うん…………』


 自分でも頼りない、と心底思えてしまうようなか細い想いの声を発する。こういう展開になるのがわかりきっていたからこそ、ロワは現状にまったく希望が持てないでいたのだ。


 ネーツェの言いたいことはわかる。ネーツェの立場だったら、間違いなく自分も同じことを言う。副作用もなく、それなりの時間持続する、個々の能力を桁外れに引き上げる支援術式だ。使わない方がおかしいというか、それを前提にしない方が作戦の成功率をいちじるしく引き下げるだろう。


 だが、それでも、何度も何度も同じことをくり返して言っているが、そもそもロワの能力で英霊召喚術式を安定して発動させるのは無理なのだ。前回のカティフの時のように、どれだけ時間をかけてもまるで発動する気配がない、という展開も普通にありえる、というかロワの実力からすればそちらの方が当たり前だろう。


 それを三連発。最上の展開を望むなら、四回連続で成功させなくてはならない。それぞれ個性も心情も魂の色も違う、四人の英霊と仲間の心魂と同調し、神の世から人の世まで、自分の仲間の心魂にまで、同調してこころよく降臨してもらうだけの道筋を作らなくてはならないのだ。


 はっきり言ってどう考えても無理。無茶にもほどがある。そんなことできるわけがない。


 だが自分たちの能力で邪鬼を倒すというのも、そもそも無理がありすぎる。自分たちの独力で邪鬼を倒さなくてはならないという現状で、『これまで何度も使うことができていた』術式を使わずに勝利する作戦を立てるのも、それこそ無茶が過ぎるだろう。


 これまでですでに、邪鬼・汪は無限とも思える数の眷族を投入してきているのだ。真正面から戦えば眷族に邪魔をされ、奇跡を使う機を掴み取れないままに戦力を消耗させられて負ける可能性が高い。となれば眷族をできる限り邪鬼との戦いに介入させないようにするのが常道。邪鬼・汪との戦いそのものは、他の四人を同時に相手してもまず勝てるだろうほど個人戦闘力の高いヒュノに頼って、それ以外の面子はその戦場を整えるために動く、というのはごく当たり前の作戦だろう。


 だが、それでも、そういうもろもろをしっかり理解してはいても、自分がまともに術式を発動させる自信なんぞまるでない以上、自分のせいで作戦が崩壊して全滅するという未来しか見えない現状は、ロワの脳天から指先までぴりぴり嫌な痺れが走るほど、強烈な不安を伴った重みとなって、全身にのしかかってくるのだった。




   *   *   *




 びしゃっ。ごろっ。びしゃっ。かつっ。ぞんっ。ずむっ。ざしゅっ。ぎんっ。ざくっ。ずすっ。がぎっ。びしゃっ。


「……〝祈る声よ……魂は根ざす先に……ここに在ると知る……いと高き神階より……今ひとたび想起されることを……伏して希い奉る……〟」


 誰しもが無言の中、ロワの祈る声と、眷属を斬り捨てる音と、眷属の攻撃をさばく音だけが周囲に響く。小さなへこみに簡易的な結界を張り、神楽を舞い始めてから、もう数ユジン近い時間が経過していた。


 全員もう喋るような気力は残っていない。というか、体力と魔力と精神力が刻一刻と限界に近付いているのを、全員がはっきり自覚していた。


 数ユジンもの間ずっと斬り合いを続けているヒュノとカティフもさることながら、思考連結術式を個々の負担にならない最低限の強度で維持しつつ、ヒュノとカティフに取りこぼしがないよう、もし取りこぼしが出そうになったら、あるいは二人が失敗して怪我を負うなりなんなりしたら、すぐに援護に入れるような態勢を維持し続けているネーツェにも、ロワが神楽を舞い始める前からずっと苛烈なほどに精神を集中して魔力の制御を行い、浄化と探査の風を吹かせることができるよう準備し続けながら、ヒュノとカティフの怪我を癒し、周囲の空気や世界を浄化し、パーティ全員の心身の状態を維持し続けているジルディンにも、はっきり顔に疲労の色が浮かび始めている。


 そしてロワも、自分の心身がどんどん取り返しのつかないまずい方向へ進み始めている事実を実感していた。英霊召喚術式に必要な、心魂と世界、そして英霊と憑依する者の心魂との調和なんて代物は、心身の状態に余裕がなければそれに近い域までもっていくことすらできない。もちろんそんな状態でも、むしろそんな状態だからこそ忘我に至り、調和を導くことができるような達人や天才もいるのだろうが、ロワはそんな連中の足元にも及ばない程度の術者でしかないのだ。


 それがこんな状況で、これまでと違い『自分が術式を発動できなければ作戦が成り立たない≒全滅必至』という状況の中で、重圧に震えながら、少しずつ削られていく体力に怯えながら、どんどんとどうしようもない不帰の領域へ自分たちが追い込まれていく恐怖に必死に堪えながら、『調和を導く』などという真似が、自分にできるわけがない。


 作戦を考えたネーツェも、自分の能力がそこまで低いとは思っていなかったのだろう。これまで何度も、『自分には安定して確実に英霊召喚術式を発動できるだけの能力がない』ということは伝えてきたが、それでも自分はこれまで何度も術式の発動を成功させてきてしまっていたのだ。『そうは言っても結局なんとかなるのだろう』ぐらいに楽観してしまっていても無理はない。


 だが、たまたまの幸運に恵まれて術式を発動できてきてしまった自分には、当然ながらいつかはその幸運が品切れになる時が訪れる。前回や前々回だって、エベクレナさまたちから拝領した『幸運』を使って無理やり発動を可能としたにすぎないのだ。今回のように、『幸運』を消費しても発動ができないという状況だって、いつか訪れるだろうことはわかりきっていた。


 ネーツェが言っていたように、『奇跡の力』を使って術式を発動させることも考えた。だが、自分に課された仕事は、『英霊召喚術式を四回連続で発動させること』なのだ。一度の発動に力をつぎ込むのならある程度理解もできるが、四回術式を発動させるという行為に過不足なく奇跡を使用するためにはどうすればいいのか、ロワにはわからなかった。つまり、『奇跡の力』を使いこなす自信がまるでなかったのだ。


 そんな状況でどうすればいいかわからないまま、最終手段を取るべきなのかどうかも決断できないまま、ひたすらに同じことをくり返している。こんなことを続けていていいのかと怯えながらも、それ以外のなにをどうすればいいのか理解も考案もできないまま。


 どうしよう、どうすれば、どうなっちゃうんだろう、どうしても。そんな言葉ばかりがぐるぐると頭の中を回る。思考が繋がっているのでそんなロワの醜態は伝わっているだろうに、仲間たちはなにも言ってはこなかったが、それもロワにしてみれば重圧の原因にしかならなかった。


 こんなことをしていたくはないのに、自分なりにできることをきちんとこなしたいのに。それでも、ロワの能力は、死力を振り絞ろうとしてもそのやり方すらわからないほどに、為すべき仕事に比して低く、足りないのだ。


 泣きたくなる心を必死に叱咤して、それでも懸命に舞を続けようとして――


『やめようぜ、これ』


 突然ヒュノが想念で告げてきた言葉に、思わず固まった。ネーツェが不意をつかれたせいか呆けたような色を思念に乗せながら、端的に問い返す。


『これって、なにがだ』


『だから、英霊を喚べるまで待ってんの。先に全員の体力の方が擦り切れるぜ。そうでなくても一長刻クヤンって時間の余裕を使い果たす。無駄な希望にすがるのやめにして、俺たちの力だけでなんとかしようとしてみる方がいい』


『お前な! だから言っただろう、俺たちの独力だけじゃ戦力として足りなすぎるんだ! 英霊を憑けて上乗せしなくちゃ、想定した作戦行動が果たせないんだよ!』


『だから、作戦の想定ってのを引き下げりゃいいんだろ?』


『は……?』


『それぞれが完璧に仕事を果たす、なんてのは無理な話だとあきらめてさ。それぞれがそこそこへまをする、力が足りずに達成してほしいぐらいの仕事ができない、って考えて動きゃいいんじゃねぇの? ぶっちゃけ、俺たちだけで邪鬼・汪を殺しきることができなくてもよ、その時はその時のことじゃねぇ? 俺たちにできるだけの仕事を果たして、あとは全員が生き延びることを考えりゃいい。っつか、それしかなくね? この場合』


『っ……それは、そう、かもしれない、が……』


 口ごもったネーツェに向けて、ぼそり、と呟くような思念が響く。


『……俺はそれに賛成、だな』


『カティ……』


『俺らの力だけで完璧を求めようってのがそもそも無理なんだ。不意を討たれて英雄さんたちが罠に嵌められちまった以上、俺らとしちゃ、できるだけのことをやったら撤退するのを優先していいと思うぜ。これが邪鬼・汪を倒せる最大の好機だってのは確かだが、俺たちが対邪鬼・汪戦の中じゃ最大の武器だってのも確かなんだ。それがなくなる方が戦力としちゃ痛いだろう。引き際を見極めなけりゃ、最終的な被害は増える一方だぜ。冒険者としての道義的にも、俺自身の本音から言っても、やれることをしたら撤退しよう、って言いきるぜ、俺としちゃな』


『…………、ジルは? どう思う?』


『――決まったら言って』


 ネーツェの切羽詰まった色の思念に、ジルディンはそれだけ告げてまたうつむき、ひたすらに精神を集中させる状態に戻った。ジルディンとしては、魔力を練るのに必死で、作戦会議に参加する余裕もないのだろう。『取り付く島もない』を形にしたような反応だった。


『………ロワ。お前は、どう思う』


『っ………』


 問われて、ロワは一瞬絶句する。この状況で意見を求められるのは当たり前のことではあるが、正直意見を言いたくないし、意見を聞かれること自体全力で避けたいのも確かなことだった。


 だって、ネーツェの立てた作戦を成立させることができなかったのは自分のせいなのだ。作戦立案の際に、意見まで賢しらに申し述べておきながら。自分が作戦の成立要件を満たせなかったせいで、自分たちが『最低限これだけはやっておきたい、やっておかねばならない』と考えて立てた作戦の、得られる成果の段階を、さらに下げなくてはならなくなった。


 けれど、それでも、この状況下では。自分が課された仕事を、最初のひとつすらも、まるで果たせていない体たらくを見せつけまくった後では、小さくなりながらこう言うしかない。


『……俺も、そう、思う。俺の力じゃ、今は英霊を、どうしたって喚べない、から………』


『……………』


 ネーツェは、ふ、とため息をつくような思念を漏らした後、きっと思念の色を切り替えて、鋭く忙しなく言葉を紡ぐ。


『わかった。最初の作戦は破棄する。今後僕たちは、邪鬼・汪の隠れ場所を襲撃して討ち取ることを目標とした上で、全員で揃って行動する。途中その障害となる眷属どもは数限りなく湧いてくるだろうが、それに対しても全員で対処を心がけ、作戦続行が不可能となった時も、全員で撤退する。この高高度から撤退するのは普通に考えて無茶が過ぎるだろうが、そこらへんは状況に応じて、というか行き当たりばったりで力業でもなんでも駆使してなんとかする。これでいいな』


『おう!』


『ああ』


『………うん………』


 力なく、小さく返事を返す。同時にずっと心の中に居座っていた、仲間たちの存在感がすぅっと薄れていくのを感じる。術式が解除され、思念の繋がりがほどけていくのだ。もうどれだけ心の中で想いを叫ぼうと、仲間たちに聞こえることはない。


 それを感じ取るや、ロワは心の中で、音を成さずに、心の底からの叫びを喚いていた。


 ちくしょう。ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう。いつかこうなると思っていた。いつかは来ると確信していた。自分の力の足りなさが、自分の弱さが愚かさが、仲間たちの足をどうしようもなく引っ張る時が訪れることは理解していた。


 だけど、ちくしょう。わかってはいても、理解していても。それを承知の上でエベクレナの加護を拒んだことも、それをこの期に及んで自分が後悔していないことも、間違ってはいないと自分の中で結論付けられてしまっているけれど。それでも。


 自分のせいで、自分自身が、仲間たちの足を引っ張り、迷惑をかけ、命の危険すら高めてしまっているというこの事実は。心底、たまらなく、嫌になるほど、腹が焼けるくらい強烈に、悔しい。


 そんな思念を抱え込みながらも、思念の海の中での会話から解放されたロワは、武器を抜いた。自分のせいで、自分自身の行動の責任を取って、行動しなくてはならない時なのだ。

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