第3話 Food before romance

今日もポニーテールが多い。

人気のある男子が「ポニーテールっていいよね」とか言ったものだから、昨日はクラスの子たちがこぞってアップにしてきていた。

今日なんて他のクラスの子までそうしてる。

(つまんない人たち!)

心の中で呟いた。


中学に上がってから毎日がつまらない。

家の近い3人で一緒に登校してたのに、中学生になったらそれもなくなった。

"人気のある男子"と毎朝一緒だった私が周りから色々言われるようになったから。

トゲトゲした心無い声は友だちよりも私に多かった。みんな美少女には何も言えないんだな。本当に面倒くさい!

私は3人でいるのが好きだったのに。


「おはよー」

あ!きた!

いつも一緒に行っていた彼女とも今は別々の登校になってしまって寂しいけど、同じクラスだったし席も近いからこうして毎日会えるのは嬉しい。

待ってましたと振り向くと、そこにはポニーテール姿の友だちが立っている。

「えっ。ポニーテール……」

彼女に限ってそれはないと思っていたのに、と動揺してしまった。

「そうそう。今日の給食、ラーメンでしょ?やっぱりポニテ多いねぇ」

そうか、ラーメンか!

他の人にも同じ理由の人がいるのかもしれない。勝手に決めつけてしまったことを恥じる。

「本当、最高」

「最高だよね!しかも今日は味噌!」

これには思わず笑ってしまった。

やっぱり大好きだ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

徒然。 桐谷綾/キリタニリョウ @kiritaniryo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る