第14話傷

いつか輝かなかった君へ


僕が言えるのは確かなことじゃないけれど


君は無機質な廃屋の中で


誰からも忘れられて眠っていた


そんなとても普通な事


特別な事と言えば夢と心を抱いて抱いていた事くらい


誰でもない僕が見つけた君は


とても怯えていて震えていたよ


ほかに沢山の君がいるようだけど


僕は夢と心を抱いて眠っていた君を選んだんだ


「廃屋はとても暖かく母体の様だった」


君が悲し気に囁いたのを覚えているよ


僕はそんな君を悲しく思い強く抱きしめた


そして君は僕の中で静かに眠っている


まるで僕がビルの廃屋みたいだ

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