番外編 プロッター

 パンツァーに対してプロッターを説明します。プロットを頼りに書くことですね。あるいはプロットを書く人です。

 プロットとは物事を因果関係で結んだものです。箇条書きのかんたんなものからノート数十ページにわたる複雑なもの、色紙に書いたもの、イラストで全体のイメージを書き留めたものなどいろいろなバリエーションがあります。私がプロットを書くときはだいたい起こることを箇条書きにしたものを使うことが多いです。たまにアイデアをイラストにしておくこともあります。プロットを書くときはアウトラインから決めていくのが失敗がないと思います。


 このへんのことはフィルムアート社のK・M・ワイランド「アウトラインから書く小説再入門 なぜ、自由に書いたら行き詰まるのか?」に詳しいです。起こることを羅列していくことはたいして他のプロット作りと変わりないですが、物語で重要なことは【】のなかに入れておいて、おおまかな全体像を描きます。そして細かい部分を詰めていくイメージです。方法論としてひとつ学んでおくといいと思います。


 プロットの利点は書いていくときの不安感の軽減だと私は思います。書いている途中で考えながらでは筆が乗らないひとはプロットを用意しておき、ゴールのまえの小ゴールをいくつか設定して書いていくのがいいです。書き出すことによって頭が整理されることも利点のひとつです。

 またプロットを書き上げてから書いている途中でプロット通りに行かないことあります。そのときはそれでも充分です。なぜなら小説って頭の中と外では変わってくるのがふつうだからです。一方でプロットをつくる作業で満足して本文を書かない作家もいます。これでは本末転倒ですね。


 プロットを用意してから書くこと。どうして重要視されているのでしょうか? 

 たとえばプロットの授業は小説の専門学校でもやります。なぜなら、小説家が仕事をする上でじっさい使うからです。一作目を出した作家は編集者といっしょに次回作を考えます。このとき作家側は「次回作が頭のなかにあるから」と言っても編集者は帰ってくれません。だいたいのイメージやストーリーが分かるものを用意して編集者にゴーサインを出してもらうのがふつうです。ですからこのときにプロットの出番だということです。プロットを編集者に読んでもらうことで仕事をつなげていくのです。なのでプロ作家を目指す人はプロットは書けたほうがいいです。マストだと言っていいです。


 また編集者との仕事でシノプシスを渡すこともありますよね。シノプシスは日本語では梗概こうがいと言います。梗概はあらすじをひとまとまりにしたものです。なので、主人公の心の動きに絞ったもの、起こることを書いたもの、なんでもひとまとまりとして書くことをおすすめしておきます。プロットと似ていますが梗概も実は重要です。梗概を書く場面は公募では必須ですし、身につけておいて損はないです。ここでいうことは、つまり第三者に自分の作品の魅力をどのようにアピールするかということです。自己のプレゼンテーション能力の一部と考えてみてください。


 物書きの世界を眺めているとプロットは人それぞれで正解はないと知ります。自分の頭のなかの物語をまとめ、書き起こすことで物語をありありと認識できることもあります。そうして見えたものを他人に分かってもらうためにプロットを書きましょう。

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