6話 非日常とブッコロー (前編)
結局あの後原因を探すも見つけられなかった。帰ってきたお父さんも話に混ぜて、帰り方が見つかるまでブッコローはわたしの家に居候することになった。
だからミミズクの生態について知っておいて損はないと思ったのだ。あと3日もせずに帰れるかも知れないし、もしかしたら1ヶ月、1年といるかも知れないのだから。
そんなこんなで綾は連日図書館に通っていた。(綾のテストの点数に頭を悩ましていた先生は号泣した。)
ブッコローは人間のように喋り、生活しているけれど、ミミズクなのだ。そう、ミミズク。
調べてみると種類や餌、室内の環境などさまざまなある。覚えきれないので、ノートに少しずつ一生懸命に写していく。
ちなみにフクロウを飼う際はきちんとペットショップみたいなところで訓練を受けたものでないといけないらしい。野生は危険だそうだ。ちょっとした豆知識である。
ブッコロー、拾ってきちゃったけど大丈夫かな、いや、野生ではないはずだよね、仕事してるし。
そんなことを考えながら家へと帰る。
そんな綾の努力は不発に終わったのだが。
ブッコローは普通に人間と同じものを食べるし、普通に寝る。(なんなら、お酒も飲む。)
ブッコローの生活がよりよくなれば良いと思ったのだが、杞憂だったようだ。
「ただいまー。」
「お帰りなさい。」
綾が挨拶をすればお母さんが返事を返す。
綾がそのまま部屋に上がろうとすると、母に止められる。
「手洗いしたの? お母さんにはそんなふうに見えなかったのだけれど。」
「いやー、とりあえず部屋に行こうかなって。」
「そんなふうに毎日毎日言い訳しないの。全くもう。」
こう言う時は大人しく従うが1番である。
手洗いをしていると思い出したように声をかけられる。
「そういえば、ここ最近少し帰ってくるの遅かったけど、寄り道でもしたの?」
「ううん、違うよ。学校の図書館に寄ってたの。」
「綾が⁉︎ 珍しいこともあるのね。」
「そんなふうに言わなくてもいいじゃん!」
「ブッコローが家に来たから、食べ物とかを別に用意したりとかさ…
そう言うのが必要かなって思ったの。」
「だからミミズクの本とかを図書館で…」
「ああそう言うこと。」
「でも大丈夫よ。なんでも食べれるみたいだし。」
「うん、さっきリビングでおやつ食べてるの見た。」
そう会話をして、わたしもリビングへ行く。
昨日はブッコローのことでドタバタしていたものだから、さっきのようなテンポのいい会話が懐かしい感じがしてしまった。
いや、そう思ってしまうのが、“非”日常なのだけれど。
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