4話 わたしとお母さんとミミズク (後半)
声をした方へ振り向くとそこにあるのはダンボールだった。
ということはつまり、今の言葉は段ボールの中にいた動物から出た声であるということになる。
えっ、あの動物日本語話すの‼︎
驚き、興味、好奇心、恐怖。色々な感情が溢れてはこぼれ、溢れは溢れ。
しまいには動き出すことができなかった。
それだというのに、
「じゃあ、あなたはブッコローさんと言って、ミミズクさんなのね。」
「そうそう、さっきまで仕事をしていたはずなんだよね、なんでここにいるんだろ。」
普通に話しているお母さんが信じられなかった。
動物が日本語を喋ってるんだよ、動物が。
でも、そんなことはお構いなしなお母さんはどんどん話を進めていく。ぼーっとしていても話に置いていかれるだけだ。どこからきたのかと聞いている母の声に急いで耳を傾ける。
この動物はミミズクって言うフクロウ科の動物らしい。名前はブッコローと言って、有隣堂という本屋さんでで働いているとのこと。YouTubeなどの配信などがお仕事の内容らしく、その録画中だったらしい。
でも『有隣堂』ってなんなんだろう。少なくともそんな名前の本屋さん近くで見かけたことがない気がする。まあ、まだ10歳にもならない小学生なので知らないことが多いのは事実なのだが。
それでも、ふと思う疑問を口に出してみる。
「『有隣堂』って何。配信中に捨てられちゃったの?」
ブッコローが不思議そうに頭を傾げるで、
「だって、捨て猫みたいに段ボールの中に入っていたから」と急いで付け足した。
そこにスマホで調べ物をしていたお母さんがやっぱりと呟きながらこちらへ戻ってきた。
「ごめんなさい、私も今調べてみたのだけれど『有隣堂』って会社、ネットで検索かけても引っかからないの。」
『有隣堂』で仕事をしていたブッコローと
『有隣堂』をしらない私たち、
そして引っかからない検索。
お互いの噛み合わない話にそれぞれ頭を悩ます。
「ただいま」
そこに救世主が現れ…
なかった。
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