2話 わたしと得体の知れない何か

 あの後、ダッシュで帰った綾は卵を冷蔵庫にしまうと、ダンボール箱ごと二階にある自分の部屋に運び込んだ、お母さんにバレないように。


 なんとなく、バレてはいけない気がしたのだ。


 とりあえずお使いを済ませたのだから、夕飯時忙しい母は声をかけてくることはないだろう。そう思い、ダンボールの方へ目を向ける。


 中にいる動物は汚れている様子はなかった。しかし触ると体は冷えていたのでとりあえず布団をかけて様子を見ることにした。タンスの奥からペット用のタオルなどを出し、それをかけてあげ、観察する。

 気絶をしているようだが、熱や風邪をひいているようには見えなかった。


「明日には目覚めてるかな。」


 心配ではあるが、特にしてやれることが思いつかない。今はこの子が起きるのを待つだけだ。


 ちょうどドアの向こう側でご飯だと呼びに来た母の声がする。綾は大きな声で返事をし、下に降りていった。


 そしてその後、オムライスを食べた幸せで忘れていた。明日になれば、お母さんが掃除機をかけるために、綾が学校へ行っている間、部屋に入ることを。

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