第25話 ミラのスキルって何?
寝ちゃ駄目な気がして頑張って目を開けている。だけど何もやることがない。
ミラがいるとここで回復薬を作る事も出来ない。
「まだかなぁ」
「長いね……」
寄り添って座るとよくわかる。ミラの体は小さい。カナタの妹なら私よりも年下だろう。三歳くらい下になるのかな。
病気で体重も減っちゃったのかもしれない。はやく、元気な元の姿になるといいなぁ。
視診じゃ、元の健康状態データがわからない。
あ、そうだ。ステータス! 私のレベルアップの確認なら今出来るんじゃないかな。
『ハイ、ハルカ。ハルカの作った回復薬を治療に使用されていますのでだいぶレベルがあがっています』
もふちゃんがくるりと姿をあらわす。
今度は何を覚えられるんだろう。
ステータスを開き確認する。よしよし、けっこういっぱい振れるぞ。これで私の能力があがれば、やれる事も増えるよね。
「ハルカちゃん、魔物使いじゃないんだね」
「え?」
「あ、ごめん。見るつもりなかったんだけど」
あー、えっと。このステータス画面って他の人に見えたりするんですか? もふちゃん。
『他人には見えないはずデス』
頭の中を読んだような回答がもふちゃんから返ってくる。
『ハルカと同じ目を持っているのかもしれません』
「え、それって。ミラ、ミラももふもふのお医者さんなの?」
「え、えっと。もふもふのお医者さん? あ、さっきのスキルの事?」
私はうんうんと頷く。
「ごめんね。ボクのはそういう名前のスキルじゃない。ボクのスキルはナースって言うんだけど誰も知らなくて……。たぶん役立たずなスキルだろうって思ってるんだけど」
「お医者さんじゃなかったかぁぁぁぁ。でも、ナースなら私知ってるよ!」
「ホント? 何なのかな? このスキル」
「お医者さんと一緒にお仕事する人だよ!!」
「??」
よくわからないという顔をミラはしている。口で説明するのはなかなかに難しい。
「えっと、注射したり、消毒してくれたり、元気かどうか確認してくれたり、えっとね、えっとね、――笑顔だったりするんだ」
「??」
ミラの頭から?は消えないけれど、笑顔を浮かべてくれる。
「そうそう、そんな感じ」
私も一緒に笑顔を浮かべる。
「ハルカちゃんと一緒にいられるスキルだったんだね」
「うん、一緒にやろうよ!」
「いいの?」
「もちろんだよ!」
嬉しそうにするミラ。私も先生に憧れてお医者さんになりたいって思った。ミラもそういうふうに考えてくれたら嬉しいな。お医者さんじゃなくて看護師さんみたいだけど。
『ステータス画面はカルテみたいなものです。医者と看護師で共有するものなので近くにいれば見られるのかもしれません』
「え、え? この子誰?」
「え?」
ミラがもふちゃんを見てる。
「見えるの? もふちゃんが?」
「うん、小さい女の子が見える」
「もふちゃん、何で?」
『ハイ、ハルカ。ミラはハルカの勧誘を承認しました。よってスキル【もふもふのお医者さん】のナースとして登録されました。以後、ミラとの患者情報共有やレベルアップ共有などが実行されます。その為、ワタシの姿も認識出来るようになったと推測します』
「わー! わー!? またやっちゃったぁぁぁぁ!?」
『ミラにはスキル【ナース】の補助をつけます』
小さな光がミラの横を飛んでくる。もふちゃんみたいな女の子が出てくるのかなと思ったけどそれは小さな光のままだった。
『ハジメマシテ、ミラ。ハルカ。スキル【ナース】です。ミラの補助をさせていただきます』
ふよふよと飛ぶ光は生まれたてみたいにふらふら飛んでいてたよりなさげだ。
「もふちゃん、この子ももふちゃんみたいに名前で呼んでもいいの?」
『ハイ、ハルカ。ナー――』
「なーちゃん! なーちゃんね。ミラの事よろしくなーちゃん」
『……ハイ。よろしくお願いします』
「ミラ、お揃いだねー」
「うん。ハルカちゃんと一緒にいられるの嬉しいな」
「そうだ、もふちゃん。レベルアップ共有って何?」
『ハイ、ハルカ。すでに看護助手ライム、ソラとも共有している経験値およびレベルアップの共有。ハルカのレベルアップは看護助手、看護師のレベルアップに繋がり、逆もまたレベルがあがるようになります。全員がレベル上昇しやすくなる補助スキルです』
「わー、それってとってもステキなスキルなのでは? 私がこれだけ上がってるのはライムやソラのおかげでもあったのかな」
『ハイ、ハルカ。看護助手はハルカの手伝いをすることによってレベルがあがります。本来の魔物としての戦いによる経験値等もそのままのためレベル上昇はかなりはやくなります』
「ハルカちゃん、レベルとか何の話なのかな。ボクよく分からないや」
「あ、ごめんね。えーっとミラはステータス出せる?」
「うん、ちょっと待ってて」
空中に映し出されるミラのステータス画面。
「見えてる?」
「見えるよ!!」
「そうなんだ。ちょっと恥ずかしいな」
「何が恥ずかしいの? えっとね、これがレベル。ここが高くなっていくとこっちのスキルポイント振り分けが出来るようになるの」
「え、これってずっとこのままじゃないの?」
「え、増えたことないの?」
ミラはこくりと頷く。
『ハルカ、スキル【ナース】はワタシのように看護をする事によってレベルアップします。ミラは看護される側だった為レベル推移がなかったと推測します』
もふちゃんの説明を聞いてそっかと思い、ミラのステータスを見る。日本語で書かれてるみたいに見えるけど、どういうことだろ。
『ハイ、ハルカ。言語学のレベルが高くなり文字も自動で読み取り可能な文字へと変換されております。ちなみに書く文字も自動変換され通じるようになっております』
「便利だねー。っていうか、もふちゃん私の心の声聞こえてたりするの?」
『ハイ、ハルカ。脳内情報共有により、答えが必要な場合に返答しております』
「そっか。まさか考えてることまでミラにわかったりするの?」
ミラに聞いてみる。ミラは急いで首を振った。
「いやいや、ハルカちゃんの喋ってる言葉しか聞こえてないよ?」
『ハイ、ハルカ。脳内情報共有はスキルであるワタシにしかされておりません。ただし、繋げる事は可能です』
「繋げる?」
『ハイ、ナースとの共有能力を使用しテレパシーをミラとの間で遠くても飛ばす事が出来ます。使用してみますか?』
「ミラ! してみよう」
「え、あ、うん」
「もふちゃん、何て言えばいいの?」
『
おぉ、未来的通信機みたい。よーし、それじゃあとミラと頷き合って開始してみる。
(あー、ミラ? こちらハルカ)
ぷぷっと笑ってミラが返してくれる。
(こちらミラ。聞こえてるよー)
「すごーい!!」
「あはは、もうハルカちゃん喋ったら意味ないよ」
耐えられずミラが笑う。えっと何が面白いのかな?
「あはは、だってもうすぐそこでハルカちゃんが喋ってるみたいでくすぐったくて!」
(もう、ハルカちゃん、かわいすぎるよ!)
ミラの声が二重で飛んでくる。
「は!? もしかしてこれ切るまで思考がダダ漏れ?」
「みたいだね」
ぷふふと笑いながら終了をもふちゃんに告げる。
使い時はすごくありそうだけど、伝えたい事だけ考えるのが難しそうだ。でも、すごく便利そう。
何が起こっていても、心強い味方が出来たんだ。
スキルポイントを振り分けつつ私達は外に出られる時を待った。
ミラの役に立つかなと思う、まだとってなかったいくつかから良さそうなのを選びながら。
――――――――――
薬草学 Lv.5
生物学 Lv.5
言語学 Lv.5
調合学 Lv.5
医療道具作成 Lv.5
衛生学 Lv.5
精神学 Lv.5
リハビリ学 Lv.5
トレーニング学 Lv.5
――――――――――
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