第39話

 それで?ランドさんは、いつまでぼーっとしてる気かしら?


「ランドさん?いつまでそうしてるつもりです?」

「え…あれ?」

「正気になりましたか?」

「キリア…」

「お馬さん、頑張ってくれたので、褒めてあげてくださいね?」

「うん、ありがとう」


 そう言って、抱き締めてくれたけど…


「それはお馬さんに。ね?」

「あぁ、キリアもありがとう」

「あとで、お話しだけどねー」

「うっ…。ちゃんと話すよ」

「話したくなったらでいいよ?待ってるから」


 なんか話せない時ってあるよね。え、あるよね?気持ちの切り替えが、できた時に話したくなる…よね?


「ありがとう」

「いいえ?じゃぁ出発しよう?」

「そうだね」

「ヒヒン!」

「シュタルク、ありがとう。よろしくね」


 シュタルクって言うんだね。ランドさんにお礼言われて嬉しそう…。

 パルマってあとどのくらいかかるのかなぁ?仕事用の服が、欲しい。


「明日には、パルマに着くよ。最初に冒険者ギルドに行って、買い物行こう」

「ランドさんは、寄るとこないの?」

「俺は後でかな?買い物が終わったら、付き合って欲しい所があるんだ」

「分かった〜、あ、ヴァイス居ないから1人になっちゃうんだね」

「そう、だから、俺と行動してね?」

「はーい」


 あ、パルマでヴァイスのお土産、買わなきゃ!…やっぱり食べ物かなぁ?良いのあるかなぁ…


「あ、この先に魔物いる。なんだろ…」

「大きい?」

「そうでもないんだけど…、瀕死かな?」

「瀕死?既に?」

「そう。なんでだろ?他には反応無いんだけど」


 気になる。ちょっと寄ってもいいかな?


「構わないけど、危険は無い?…まぁ、あっても俺が居るし、大丈夫か。じゃぁ寄ってってみよう」


 15分くらい走らせて、魔物から少し離れたところに止まって貰った。

 シュタルクを、そのままにはしておけないので、一緒に来てもらう…。

 ゆっくり近づいて、見える所まで来たら鑑定出来るかな?


「見えてきたね。何だろ?」

「鑑定出来ないかな?」

「…俺は見れない」


 あれ、そんなことあるんだ…。じゃぁ、あたしも見れ…るね?


  ケット・シー  状態 瀕死

 体力___ 魔力___


「ランドさん、ケット・シーって言うらしいんだけど」

「⁉︎ ケット・シー⁉︎伝説の生き物じゃないか…」

「そうなんだ…、ヴァイスみたいなものかな?」

「あ、ヴァイスも伝説のフェンリルだった」


 瀕死なら助けないと…。近寄ってみよう。


「ねぇ、大丈夫?」

『はぁ、誰だ!はぁ…』

「キリアっていうの。回復魔法、使えるよ?」

「キリアは創造神の愛し子だ。危害は加えない。俺もそんな気はない」


 まぁ、瀕死だからさっさと治しちゃおうか!スキャンとか出来るかな?

 あ、出来た!どこか骨が折れてるってことは無いね。


〈ハイヒール〉


 ケット・シーの体が淡く光る。光がおさまると、傷は綺麗に治っていた。


「良かった、治せた」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る