第38話

 腕輪は俺の色を付けさせたい。紫色を。俺はキリアの色を付けたい。…こんなに独占欲があったんだな。

 はぁ…、幸せがあふれてくるな…。


 とりあえず、俺も寝よう。明日からしばらくは、2人きりだし。




 朝…。眠い、今日も立てません…。


「ランドさん…」

「ん…、おはよう」

「んっ…ぁ…んァっ!」

「今日も可愛い…」

「あ、ありがとう…。今日も立てないっぽいんだけど」

「あ…ごめんね?出発、遅らせよう」

「その方が助かる…」

「このまま今日は泊まってもいいけど…」ボソ

「え?何か言った?」

「え、あ、なんでも無いよ」


 どうしたのかな?


「本当になんでも無い?」

「え、うん」

「ヴァイスに何か言われてるの?」

「あー…、手加減をしろって言われてね。夕方に町を出るときに、怒られちゃって…」


 あー、なるほど…?


「それでね、毎日立てなくさせて、監禁するのかって…、キリアは俺しか知らないのにって言われちゃって」

「あー、監禁は困るかなぁ…。確かに?あたしはランドさんしか知らないけど…。ほどほどにしてくれると嬉しいな」


 ヴァイスも説教なんてするんだね…。子供っぽいけど、ちゃんと大人な意見があるんだ。そこは流石、神獣…かな?


「ご飯、食べようか」

「あ、うん!お腹空いた〜」


 ご飯を食べて、ゆっくりしてると、立てるようになった。これで出発できるね!


「なんか…ごめんね」

「?」

「俺の番になって、大変でしょ?」

「何が?」

「え?」

「何が大変なのかなって」


 番だから大変ってなんだろ?別に監禁されてるわけじゃ無いし、今のところ、やりたいことはやらせて貰ってるし… 分からなくて首を傾げる。


「キリア…?」

「?はい」

「大変って思ってないの?」

「何が?何処が大変なのか、さっぱり分からないんだけど…。番だから大変って?」

「あ、いや…え?」

「ん?その大変は、あたしが決めるね?人が決めた、番だから大変だね?は、あたしには違うかもしれないし」

「あ、うん」

「大丈夫?」

「…うん」


 ダメだこりゃ…。とりあえず、出発しよう。


「お馬さん、よろしくね!」

「ヒヒン!」

「え?あ…」

「あ、大丈夫?ランドさん」

「あ、ごめん、ぼーっとしてた…」

「そう?方角、こっちで大丈夫だよね?」

「あ、うん」


 ホントかなぁ。もう少ししたら休憩とろうか…


 お馬さん、めっちゃ賢いね…。ちゃんと行く場所が分かってるみたい…。


「お馬さん、この先で休憩出来る場所、あるかな?」

「ヒン!ヒン!」

「ありそうだね。そこで休憩しよう」

「ヒヒン!」


 ランドさん…は、まだダメそうだ。どうしたのかな?


「ヒヒン!ヒヒン!」

「ありがとう、お馬さん。お水とか出さないとね!ランドさん!お馬さん用の桶、無いですか?」

「え?あ、あるよ。…はい」

「ありがとう!」


 お馬さんの所で水を出す。ブラシも欲しいなぁ。


「ランドさん、ブラシ、ください」

「…はい」


 お馬さんにブラッシングをすると、気持ち良さそうにしてくれる。うふふ、嬉しいな。


 それで?ランドさんは、いつまでぼーっとしてる気かしら?

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