第32話

 なんか不機嫌だねー?


『ほっとけ』

「キリア、大丈夫だよ。僕とちょっと…ね?」


 色っぽ…。後で話し、聞こう。とりあえず、仕事服着なきゃね。リボンはすぐ休むだろうから1つに結うだけでいっか。


「出来ました〜」

『じゃ乗れ』「はーい」

「じゃあ、行きましょうか」

「おー!」


 何故か町中で、ジロジロ見られてた。多分、ヴァイスに乗ってたからかな?ま、いいけど。もうここには来ないのを確信してるからね!


「よし、町を出たから馬車に乗っていいよ?」

「はーい」

『俺は先を見てくる』

「分かった、気を付けてね?」

『あぁ』


 あっという間に、ヴァイスは走って行った…。はやっ。流石、神獣だね!


「キリア、こっちおいで?」

「わぁ!ランドさんお酒、飲んでないですよね?」

「飲む訳ないだろ?俺、元々そんなに飲まないよ」

「そうなんですか…?じゃぁ今度買って、一緒に飲み…」

「飲まないからね!?キリア、忘れてるかもしれないけど、まだ未成年だからね!?」


 食い気味で否定された。ちぇー、飲むって言わなかったかー。どんな味するか、気になるぅ…


「キリア」

「あ、はい?…ひっ!んゥ…!はっ…」

「ふふ、飲みたくなったらいつでも言って?口付けをしてあげよう。そうじゃなくても、お酒の話題を出したら、問答無用でするからね?」

「あー、して欲しくなったらお願いしますね?」

「くっ…コホン、あと2、3日は途中に町がないから、野営だと思うんだけど」

「えへへ。あ、あたしがテント持ってるので大丈夫ですよ?ランドさんも一緒にどうぞ?」

「ありがとう。ご一緒させてもらおうかな。そろそろ、敬語、辞めないか?恋人になったのに…名前も、呼び捨てでいいよ?」

「敬語は、徐々にでいいですか?名前は呼び捨てに出来るかな…」


 ハードル高いぃ…!敬語は何とかなっても、呼び捨てはどうかなぁ…


「思考、ダダ漏れね?まぁ、急がないから、ね?」

「あ、はい…」




 ヴァイス、何処まで行ったかなぁ?そろそろご飯なんだけど…


「ランドさん、ご飯、なにたべ、る?」

「あー、ご飯かぁ…あ、俺、屋台で買って来てるよ?」

「あ、了解…スープつくり…るね?」

「うん。キリアのスープ、美味しいから楽しみにしてるね。それにしても、ヴァイス、何処まで行ったのかな?」


 そう、全然返ってこない。大丈夫かな…


「大丈夫だとは思うけど…先に食べてよう」

「は、うん」

「このスープ、変わってるね?」

「あ、あたしの持ってる調味料でつく、ったの。口に合わなかったら、別なの作るよ?」

「あ、大丈夫。美味しいよ?素敵な奥さんになるね?」

「…素敵な…、奥さん…!」


 恥ずかしいやら何やらで、顔が熱い…。仰いでるけど、熱が引かない!


「可愛い…」

『…全く、何をやってるんだ?』

「ヴァイス!何処まで行ってたの?」

『ずっと先』

「いや、ざっくりすぎじゃない?」

『ははは。まぁ、さっと行って帰ってきたら、お前らがそんな雰囲気だっただけだが?』

「おぉぅ…否定はしないけど…。何か変わった事あった?」

『何も無かったぞ。魔物も俺だからなのか、全然出てこないしな』

「そうなのか。楽な旅になりそうだね?」


 そうだと良いなぁ。盗賊も最近?は出ないしね。


「じゃぁ先に進んじゃおうか?早く着きそうだし」

「はーい」

『俺にはご飯、くれないのか?』

「そんな訳ないじゃない!ちゃんとあるよ」

『腹ペコだったんだ。…お、美味いな』

「良かった。ゆっくり食べていいよ?」


 そんなに急いでない…はずだし?

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