人嫌い（コミュ症？）が異世界に行ったら…

第31話

『ランド…』

「ん？何？」

　キリアを乾かし、服を着せながら返事をする。　何故か残念な目で見られているが…

『夕方、町を出るんだよな…？』

「そうだよ？何か問題が…？」

『俺たち、一応、依頼中なんだよな？』

「…」

　何故そこで無言…？はっ！まさか、コイツ…！

『ランド、依頼中なの忘れてたのか？』

「そ、そんなことないよ？」

『それなら、キリアがこの状態なのは、まずいよな？』

「…」

『マズいよな！？』

「そ、そうだね…？で、でも俺が、依頼主だし、何とかなるよね…？」

『それは、知らん。とりあえずキリアは出る直前まで休ませる。旅が出来なくて泣かれると困るからな』

「あ、うん…」

『気持ちが通じ合って、嬉しいのは分かるが？手加減をしないって言うのはどうなんだ？』

「う、うん。ごめん」

『謝るならキリアにだろ？監禁する気なのか？』

　い、いや、流石にそこまではしない！俺から離れられない様に…

『キリアは貴様しか知らないぞ。強要したら居なくなるだろうな？』

「うっ…」

『それが嫌なら加減をしろ、馬鹿者め』

「ぐっ…嫌われるのはイヤだ…」

『そんなのは知らん』

「ヴァイス…、冷たいんじゃない？」

『自業自得だろ』

　酷い…。ヴァイスが僕に厳しすぎる。そりゃぁさ、やっと気持ちが通じ合ったし？舞い上がった自覚はある…。

　仕方ないじゃないか。ま、まぁ依頼中なのを忘れたのも仕方ない。とは思うよ？唯一が、僕に振り向いてくれたのに…。これは早く依頼を終わらせるしか無いな…。

「ヴァイスに説教されるとは思わなかったよ…」

『キリアが創造神の愛し子と知ってもそれか？俺は神に頼まれてるんだ。キリアに障害が立ちはだかるなら、それを排除しなければならない』

「…そう。愛し子か…。神にも好かれるって相当だよね？そうそう、僕が障害にならないようにするよ？」

『…既になりつつあるよな』

「くっ…キリアに聞いてみないと分からないじゃないか」

『キリアがそんなこと言うか。馬鹿者め』

　そうなんだけどさ…。じゃぁヴァイスが止めてくれたらいいじゃないか。

『そんなことやってられるか。貴様もだいぶ思考が読めるぞ』

「あー、それ、僕たちだけだと思うよ？僕と、ヴァイスと、キリアだけ」

『まぁ…そうだろうな』

「？まぁ、キリアと念話してるみたいだよね」

　そんな事を言っているランドを、冷めた目で見てやる。

「雰囲気だけブリザードだね？そろそろ起こして、町を出ようか」

『そうだな』

－－－－－－－－－

　ん〜、なんか呼ばれている気がする…。けど、まだ眠いんだよねぇ。…ランドさんに、ぎゅってして欲しいな。なんちゃって！恥ずかしいわー…。

　あれ？身動き取れない…。んぁ！口付けされてない⁉︎

「ん…ふぁっ」

「やっと起きた〜。キリア、町を出るから起きて？」

「ふぇ？……あ、わかりました」

『キリア…』

「え？あ、ヴァイスおかえり…？あれ？」

『あぁ。立てるのか？』

　ベッドから出て立ってみる。あ、立てる…けど歩けないかな…。

　一歩、歩こうと足を踏み出したら、ペタンと座ってしまった…。

『ダメだな。俺が乗せて行く。いいな？』

「ア、ハイ」

　なんか不機嫌だねー？