第23話


 あれからヴァイスは暗くなってから外に、町の外に行った。

 走り回りたいって…、まだ子供だったのかな?


「ヴァイスはいい大人じゃないかな?」


 ⁉︎…顔に出過ぎたかな。


「うん。それもいいけどね?僕のことも考えてくれてる?」

「うっ…も、もちろん」

「そ?それならいいんだけど」

「ただ、男性慣れ?してないし…」

「え?もう僕だけでいいよね?他の男にはやらないよ?」


 おおぅ…そう、なのか? 他の人がランドさんみたいに、人格いいって訳じゃ無いもんなぁ…


「何を悩んでるか聞いてもいい?」

「あー…」


 この際、この世界の人じゃ無いことを話しちゃう? 多分なんだけど、色々やらかしそうなんだよね。


「あの、信じてもらえるか分かんないんだけど…、あたしこの世界の人じゃ無いんですよね」

「…それは異世界から来た、って捉えていいの?」

「んー多分?あたしも知らないうちに、神様にこっちに連れて来られたんで。ただ、この世界で好きに生きろって言われただけで、何かを成し遂げろとかは言われてないんです。それで、色々な所を回って、居心地がいい所を決めて拠点?にしようと思ってて」

「そう。前の世界では何をしてたの?」

「何をって言うか、普通に働いてたんですけど、入った会社が悪くて、毎日、満身創痍でした。1ヶ月休みなしで朝から、日付けが変わるまで働いて、やっと休める!ってなって、お酒とか買って飲んで…寝たはずが、森の近くで目が覚めたって感じですね。あの頃ってもホント最近何ですけど。とってもやさぐれてました」


 今じゃこっちに来られて良かったかな。自分の好きな時に、好きなことが出来るし、何でも…は言い過ぎかもしれないけど、ほぼ、思った通りに出来る…かな?

 思った通りって言っても、働く時間は決まってないし、休んでも怒られないし!


「そうなんだ…、恋人…は居たの?」

「え?恋…人?あーほとんど仕事してたので、そんな暇無かったですね」

「そう…」


 え、ニヤニヤしないでください。…逃げていい?


「ダメだよね〜?」

「な、何で分かったんですか?」

「逃げ腰になってたよ?」


 おおぅ…すぐバレるって!


「今日はヴァイスも気を遣ってくれたし…ね?」


 ね?とは何か?


「成人まで待つっては言ったけど、前の世界では成人してたんだよね?」

「成人っていうか、おばちゃんになってましたね…」


 周りは結婚して子供が産まれて、親になって家庭を持っていくのに、あたしは独り身だったからなぁ。 

 別に悲しくなんて無かったけどね!


「そう。じゃぁ僕たちの仲も進めようか?」

「…?」

「恋人にならない?」


 ボンって音がなるかと思った。顔が一瞬で真っ赤になるのが分かったよ…

 でも…ランドさんなら、いい…かな?


「あたしで良ければ…」

「それは僕に好意を持ってるってことでいいんだよね?…嬉しいな」

「うぅ…」


 恥ずかしい…、どっかに隠れたいくらい恥ずかしい!これが穴があったら入りたいってやつ?! 


 ま、無理なんだけどね!ぎゅっと抱きしめられてるから!

 これで布団を被ったら誘われてるとか言いそう。


「あ、先にシャワー入ってきていいですか?」

「いいよ?」

「ありがとうございます」


 そうだ、ジーンさんのとこで寝巻き買ったんだ。そう言えばまだ見てなかったなぁ。

 今、見てみよ。 収納に意識を持っていくと寝巻きが何枚かある。とりあえず、全部出してた…。

 あれ?これ寝巻きなの?


「キリア…随分凄い夜着だね…」

「⁉︎ こ、これは…ジーンさんの所で見繕ってくれたんですけど…」


 これってなんでシースルーなん?

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