第22話

 冒険者ギルドの場所を聞くのを忘れたので、門番さんに聞きに戻った。そしたら、真っ直ぐ行くと剣の看板が見えてくるって。

 大体真っ直ぐなんだねー?


「ありがとう!ヴァイス、行こう」

『後で何か食わせろ』

「あー、ギルドの所で食べられるかな?食堂と酒場になってるじゃない?」

『まぁ行ってみるしかないか』


 5分程歩いた所に冒険者ギルドがあった。入り口から近いねー?


 奥にあるよりは入り口近くにあったほうが、何かあった時に便利?なんだって。


 とりあえず、ご飯。ギルドに入り食堂兼酒場に行く。


「いらっしゃい。適当に座ってくれ」

「はーい。オススメ2つください」

「…待ってろ」


 ダンジョンシティの酒場の、親父さんと違って物静かな親父さんだね?…なんか人も少ない感じするけど、昼間だからそんなものだよね?


「お待ち。ウォーターベアのステーキだ」

「わぁ!美味しそう!ありがと親父さん!」

「お、おぅ」

「ヴァイス、美味しそうだね!」

『ほうだな』

「もう食べてるじゃん!」


 1人と1匹でわいわいやってた所に、親父さんが来た。 どうしたのかな?


「あんた、冒険者か?」

「あたし?そうだけど…?」

「この町で依頼は受けていくのか?」

「んーどうだろ?今は護衛依頼の途中なんだよね」

「…そうか。何日か滞在するなら、依頼、受けてくれ」

「…ちょっと聞いてみないと分かんないけど…」


「お話中すみません、キリアさんでよろしいでしょうか?」

「あ、そうだけど」

「ランド様から伝言です。妖精の宿木と言う宿が取れたと。場所はこちらです」

「丁寧にありがとうございます」

「いえ。では失礼します」


 宿屋、妖精ってやたらつけるね…


『キリア、おかわりだ』

「あ、あたしもー。親父さん、おかわり下さい」

「あ、ああ」

「食べたら一回、宿屋行く?ギルドに顔出せみたいな事言われたけど、ほとんど人居ないし…」

『一応、受付嬢に話してみたら良いんじゃないのか?』

「あー…、そうするか。(宿屋に行くって言わなかったか)」

『聞こえてるぞ』

「地獄耳め!」

『はっはっは!』


 全く…。仕方ないから寄ってくよ!面倒くさぁい…


『…顔に出過ぎじゃないか?』


 え?


『え?って。食ったから行くぞ』

「ぶーぶー!」

『全く。魔物でストレス発散させてやる』

「あ、わかった」

『現金なやつだ』


----------


「こんにちはー」


 …誰か居ないの?休憩にしては居なさすぎじゃない? もう帰りたい。


「親父さん、職員が誰も居ないんだけど何か知ってる?」

「あー、ギルマスに呼ばれて集まってんじゃないのか?あそこのベル鳴らしてみろ」

「あ、ありがとー」


 チリンチリン


 バタバタと音が… ガシャン!


「おぉう…そんなに慌てなくても逃げないのに」

『逃げそうなんだろうよ』


 酷くね?そこまでじゃない…はずよ?


「お待たせしました!」

「あ、護衛依頼の途中で寄ったんだけど…盗賊の報酬が欲しいんだけど来てるかな?」

「…Cランクのキリアさんですね、来てますよ。カードに入れますか?」

「お願いします」

「あ、あの…何か依頼受けていただけますか?」

「あー依頼主に聞いてみないと…いつ出発するか分からないし」

「そうですか…もし受けていただけたらお願いします」


 んー何でこんなに冒険者居ないの?


 妖精の宿木に来た。ランドさん居るかな?


「あ、来たね」

「お待たせしました?」

「大丈夫だよ。部屋は2人部屋ね」

「……え⁉︎」


 みるみる顔に熱が集まる… 2人部屋って!


「大丈夫だよね?」

『じゃぁ俺は町の外にでも…』

「外に行くの⁉︎」

『たまには走り回りたいかなぁって…』


 うっ…でも酷いよね⁉︎

 2人きりにされるって!新たな拷問なの⁉︎


『たまには甘〜い空気になるのも良いのではないか?』

「なんでそんなに上から目線な訳?ヴァイス、伴侶も居ないのに…」

『…それは今、関係ないな』


 けっ。逃げやがって。

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