第21話

 ん〜…、良く寝た。初めての野営で初テント、どこでも寝れちゃうから、何処が良かったとか、悪かったとか全っ然分かんない…

 ただ、このテント快適過ぎるよ〜。ホント優秀。 寝袋じゃなくてベッドだしね!

 まだ夜明け前だけど起きよう、ご飯の準備、しよっと。


 テントを出るとヴァイスが近くで寝ていた。


「おはよう、ヴァイス。見張りありがとう」

『おはようキリア、まだ寝てても良かったぞ?』

「目が覚めちゃったから。ご飯、準備するよ」


 そう言って収納からお鍋を取り出しスープを作る。 そう言えば干し肉あったなぁ…、それと…何か野菜入れよう。具沢山にすればお腹いっぱいにもなるし、それにしよう。


「よし、後は煮込んで行けばいいかなぁ」

『出来なら少し休め』

「えー?起きたばっかりで全然疲れてないのに」

 苦笑いする。一体、どうしたのかな?


『働きすぎじゃないのか?』

「えー?そうかなぁ…、前世に比べたらゆっくりしてるよ?好きな時間に起きて、好きな時に仕事して、好きな時間に寝る。精神的に余裕がある。こんな嬉しいことはないよね」

『そうか?』

「そうだよ?それに今は一応、依頼中だしね」

『…』


 え?忘れてたの?一応、ちゃんとお金貰えるんだよ?ダメだよ〜。


「ヴァイス…、忘れてたよね?ダメだよ〜?お仕事中なんだから」

『わ、分かってる!』


 ふふっ。目が泳いでる。可愛いねぇ… わしゃわしゃしちゃう。

『や、やめろー…』


 こうなったら、されるがまま。ブラッシングしよ…


 そろそろスープもいいかなぁ。…ん、美味しい。朝は寒いから温まるよね。


「おはようございます。早いね?」

「ランドさん、お、おはようございます。えっと、目が覚めたので、そのまま起きました」

「そう… お昼は僕が準備するね?」

「あ、分かりました。お願いします」


 朝ごはんを食べ後片付けをする。全部、クリーンで済むって楽でいいよ!

 出発〜


 気配察知を薄ーく、1キロくらい張り巡らせておく。 こんなに魔物って出ないものなのかな?


「魔物って、こんなに出ないものなんですか?」

「そうだね…いつもより出ないかな」

「じゃぁ今日は盗賊多めですかね…」


 なんてフラグ立てちゃった…


 もう少しで近くの町に着くかなぁっていうところで、ワラワラと男たちが出てきて、醜悪な顔をしながら…


「荷物と有り金置いてって貰おうか。おっ、女もいるじゃねぇか。女も置いていけ!」


な〜んて言われてさ。はい、分かりましたなんて言うわけないよね!


《バインド》

「!?」「なんだ!?」

「何処から…」


 うふふ。慌ててるねぇ。


「女だ!女を狙え!」


あ、バレた。うふふ。《影縛り》


「なっ…動かない…」「くそっ!女の癖に魔法なんて!」


 え、失礼じゃね?


『もう良いか?』「良いよー」


 ヴァイスの魔法で脚の腱をダメにしていく。逃げられないように。あたしは、魔法を使えないようにしよっかな。

 レベルが上がった錬金術で、魔封じの腕輪(超簡易版)をそこら辺の石で作る。で、ぽんぽん盗賊の腕に嵌めてく。 …終わり。


「あっという間だったね」

「そうですねー。ヴァイス、優秀なんで!」

『報酬は美味い飯で良いぞ』

「はいはい。じゃ町に行こうか」


 盗賊は逃げ出せないけど、歩けもしないから浮遊魔法を使って浮かせて連れてく。風船みたいに… とってもシュール。


「止まれ!…それはなんだ?」

「何だって盗賊だよね? ここに来る途中で襲われました。で、逃げられないように足の腱切ってます。あ、あと、その腕輪で簡易の魔法封じしてるんで」

「おぉ…そうか。あ、こいつら指名手配されてる盗賊じゃないか!?賞金でるぞ!」

「そうなんだ。臨時収入だね!」

「じゃあ中で手続きしてってくれ。後でギルドに持っていく」

「お願いします。ヴァイス、何か食べよう!」

『いいな!』

「…2人とも、まずは冒険者ギルドに行かないとね?僕は宿取ってくるから。ギルドに連絡するね」

「顔、出さないとダメです?」

「まぁ、出したほうが何かと便利だと思うけど… じゃぁ後でね」


 呆れ顔で言われちゃった。まぁ仕方ないよね。お腹空いたし!


「お願いします〜」

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