第12話

 テンション爆上がり!モフモフ要員確保! ふふふ…あ、町に帰ったらブラシ買わなきゃね!ブラッシングして綺麗にしなきゃね!あ、クリーンすればいいか!


『ニヤついてるとこ悪いが、名をくれ!』

「…はっ!名前?あー…んーちょっと待ってね」


 白い犬を見る。鑑定で。


 種族 フェンリル  神獣 

  神の眷属   

 強いよ?連れて行きな?

  

 え、情報少なっ。でも…神獣!フェンリルって、伝説!とか言われるのかな?って最後のなんだろ?神の一言かな?見てくれてるのかな?帰ったら教会にも行ってみよう…


 俺って言ってたからオスよね。ん〜…フェリー…はダメか、船かよってね。リル、は女の子っぽいよね… …ヴァイスにしよう。確か、ドイツ語で白だった気がする。多分ね。


「ヴァイスはどうかな?」

『ヴァイス…ヴァイス!良い名だな!気に入った』

「じゃあヴァイス、あたしはキリア。これからよろしくね」


 カチッと何かが繋がった感じがした。 首を傾げているとヴァイスが、従魔契約だと教えてくれた。


「へぇ〜従魔契約ってこんな感じなんだねぇ。あ、串肉食べる?」

『まだあるのか!?食うぞ!』

「はいはい」


 買ってきた串肉、なくなりました…


「ヴァイスって狩り、出来るよね?」

『我を何だと思ってるのだ?神獣 フェンリルぞ』

「え?モフモフ要員だよね?癒しで」


 ポカンと口を開けてあたしを見るヴァイス。え?間違ってるの?あ、でも強いよって神様の一言あったね。


「ヴァイスは強い強い神獣様です」


 ありがたやーと拝んでたら、ベシっと頭に手を置かれた。


『やめれ』

「あれ?拝んで欲いんじゃないの?」


 ま、いっか!じゃあそろそろ帰ろうかな。あ、違う、採取しなきゃ。えっと…サーチ!


「おぉ…いっぱいありすぎて… んと、薬草だけで!」


 お!ヒーリング草、バジラ草が沢山!あ、これはなんだろ?


  ミント  爽やかな香り 食べられる


 ハーブじゃん。しかも地球と変わらないのかな?ミントティーとか飲みたいな。いっぱい採取してこう。


 よし!狩りしながら帰ろう。ヴァイスと話しをしながら歩いてると、でっかい猪みたいなのがいた。ボアって言うんだよね。美味しいんだって!是非ともお肉が欲しいです。 鑑定!


 フォレストボア LV5

 スキル 突進


 突進て…流石、猪! 猪突猛進ってやつ? えっと…


《ウィンドカッター》


 ビュン!とボアの首目掛けて魔法が飛んでいって、スパン!ってチョンパしたよ… 魔法、凄いねぇ。このまま浮かせて血抜きしてからマジックバックにしまおう。 その間に何か採取出来るやつあるかなぁ。


 ヒーリング草とか変わり映えしないけど、沢山採取出来ました!よし、今度こそ帰ろう。


「ヴァイス、町に帰るよ〜」

『わかった』


 町へ近づいて行くと、門番さんが慌てているのが分かる。どうしたのかな?


「ちょっといいかな?この犬…犬?は、どうした?」

「あ、森で会って、従魔契約しました」

「!? そ、そうか…この後はギルドかい?」

「そうだけど…?」

「じゃあ、従魔登録もしてきてくれ。このままだと、攻撃対象になるから。あとは、従魔の印が欲しいな」

「へぇ。分かりました。ギルドで相談しまーす」


 そういえば、まだ町で従魔連れてる人見た事なかったな。ま、いっか!

 ギルドに向かうと、何故かザワザワしてる。


「…?なんだろ?」

「キリアちゃん…その犬?はどうしたのかしら?」

「アリアさん、今帰りました。森で会って、従魔契約したんです」

と、門番さんと同じやりとりをする。


「そ、そう…。じゃあ登録するわよね?」


アリアさん、笑顔なのに圧が凄いんだけど…


「あ、ハイ。オネガイシマス」

つい、カタコトになるのも仕方ないと思う…


「じゃあ種族から書いてね」

「はーい」


 えっと、確かフェンリルだったよね。オス…と。


「!? ちょっと待ってて!」

アリアさんが急いで2階へ。ギルマスの所…?

『なんだ?』

「分かんない」


「キリアちゃん、こっちよ」

あたしはもれなくヴァイスと2階へ連行…されました。


「今度は何をやらかした?」


 ギルマス、失礼じゃね?


「えー超失礼じゃね?ただ森で会って従魔契約してきただけなのに。ダメとも言われてないしー」


 不貞腐れながら文句を垂れる。だってそうじゃん?森に行ったら、ヴァイスがいて、食べ物に釣られただけなのにさ!あたしが悪いことになる訳〜?


「あぁ、そう言う訳じゃ無い。門番から連絡があった。新人の冒険者が白い従魔を連れてるってな。新人っつったら、キリアが最終登録者だからすぐ分かる。」


 じゃぁなんで? 


「何でって顔してんな」

「そりゃなるよね。理由が分かんないもん」

「あぁ、そう言うことか。白い犬は伝説のフェンリルって言うのが、ここらでは当たり前だな」


「ぶっ…げほげほ… えーほんとにぃ?屋台で買った串肉に釣られて来たのに?」

「おま…え?串肉に?」

「そうだよ?森の中の泉みたいなとこで、おやつ感覚で食べてたら、涎垂らして食わせろって」

「……」

「ってかやっぱ、フェンリルって伝説とか言われてんのね」

『滅多に人前には出ないからな。伝説なのだ、もっと敬え』

「無理よねぇ。串肉に釣られたくせに。可愛いだけだよねー。食べ物が欲しくて従魔契約したんでしょ」 

『うぐっ…俺が近づくと逃げるんだよぉ』

「でしょうね」



「と、とりあえずホワイトウルフで登録しておくぞ!」

「あ、はーい。お願いしまーす。あ、あと依頼の報告したいんだけど…」

「ここでしていけ」

 何だかギルマスが疲れてるわ。


「ボアってここで出す…」

「ここでは出すな!薬草だけだ!」

「すぐ怒鳴る人はモテないよ?じゃあ、はい」


 うぐって言ってる。してやったり! 薬草を採取してきた半分くらい出す。全部で12束かな。


「カード出してけ。解体場で出して待ってろ。あと、従魔だと分かるように首輪とかつけろ」

「はーい」

 手を挙げて、良い子を演じとく。

「じゃあヴァイス、下行こ!お邪魔しましたー!」


 はぁとため息をはいて、ギルマスはソファに脱力する。


「規格外にも程があるだろう…流石、異世界人ってとこか?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る