第10話

「次は何処いくの?」

「えっと、一応、冒険者なので武器屋さんに行きたいですね…」

「じゃあ、こっちだね」


 ゆったりとした足取りで武器屋へ…こっちの通りは冒険者が多い気がする。流石、ダンジョンシティってとこ?


「ここだよ、ガントさん居る?」


 カランカラン、とドアを潜りながら声を掛けるランドさん。入り口を潜ると、壁には沢山の剣や盾が掛かってた。


「おう、ランドじゃねぇか。なんだ?武器が用なのか?」

「えぇ。僕じゃなくて、こっちの子がね」

「ぁ、よろしくお願いします。あたしでも持てる剣が欲しいんです。あとは採取用のナイフを」

「そうか。剣はあそこ、ナイフはあっちだな」


 そう指を刺された方を見る。ごそっと樽に入ってる剣。 あれ?この剣はここにあっていいやつ?

 なんか凄い自己主張?してくるんだけど… めっちゃキラッキラしてる… ガントさんを見る、けど気にしてる様子ないんだよね…


「あの、この細身の剣下さい」

「あ?…これか。これは刀だぜ?」


 やっぱり!刀!元日本人なら使って見たいよねー!


「あ、はい、欲しいんですけど!」

「お、おう…投げ売りしてるやつだから銀貨3枚だ」

「あ、ナイフはまだ見てないので待ってください!」


 慌ててナイフを見に行く。こっちは自己主張してくる物はなかったけど、良さそうなのを選んだつもりだ。


「お前、いいの選ぶな…全部で銀貨5枚だ」

「はい!」


 今日は良い買い物が出来た!


「ランドさん、付き合ってくれてありがとうございました!明日から冒険者活動しようと思います」

「いいえ。そうなんだね。じゃあ僕も…」

「?」

「何でもないよ。これからの予定は?」

「今日はもう無いですかね…」

「そ?じゃあ僕とデートしようか?」

「!?」


 何ですと!?異性とデートなんでしたこと…無かったわ。え、どうしたらいいかわからん…


「そんな身構えないで。一緒にカフェに行ったりしたいだけだから」

「あぁなるほど…」

「じゃ、行こうか?」


 と、手を出されたんだけどこれは?手を出せば良い? 恐る恐る手を出したら、ぎゅっと握られた。

 あたしの心臓は不整脈らしい…ドッキドッキ、バックバックが止まらない。あ、死ぬ?

 どうしていいか分からないまま、あっという間に熊の妖精まで帰ってきてた…。あら…記憶が所々飛んでるわ…


「じゃあ、またね。ちゃんと待っててよ?」

「ア、ハイ… 今日はありがとうございました!」

「じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」


 はぁ…買い物終わってからが疲れた。部屋へ行き、身体にクリーンをしてパジャマを着てゆっくりする。


 すっごいアプローチだった… 気がする。ランドさんの好きって友達としてじゃ無さそう。

 もう、さ、これからの将来を一緒にって、パートナーとしてって言われたんだよね。正直、今のところ、まだアステールに馴染んでないし、いろんな所行きたいし… ランドさんと一緒に行くって言うのもアリなのかな?

 でもなー…まだよく知らないしなー。良い人なのは分かってるんだけどねぇ…

 

 あ、明日、アリアさんに相談してみ…

辞めとこう…。考えても答えは出ないから、寝るに限るね!

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る