第9話

 朝ごはんを食べたので町に繰り出すぞーって意気込んでたら、宿の外でランドさんに捕まりましたー。


「おはようキリア。今日もよろしくね?」


 朝から艶っぽい男が居るよ…


「ラ、ランドさん…おはようございます。よろしくお願いします」


 カッコいいなぁ… はっ!あたしの中にチョロインがおる!絆されてしまったのか!ランドさんだけなのか分からないけど… プチパニックだよね。


「行くよ?洋服欲しいんだよね?一通り行こうと思うんだけど、いい?」

「ア、ハイ。オネガイシマス」


 ふふふっと楽しそうに笑うランドさん。え、あたし、どうしたらいいの?あー友達も居ないから相談出来る人もおらんわ…


「キリア?考え事なんて余裕だねぇ」

「ひっ…ランドさん、朝から勘弁して下さい!」


 ぺこっと頭下げましたー。


「残念…」「あ、あの!免疫ないんで!」


「へぇ…ふふっ」


 おぉふ…意味深な笑い… でも今日は、洋服屋さんに! 気持ちを切り替えて…


 連れて来て貰いました〜。ここは良いのがありそうな予感だ!


「あら?ランドじゃない?珍しいわね」

 一瞬、思考停止したよね…。ドスのきいたお声が… 此方にもオネエ!が居るとは!

 長い藍色の髪を1つに三つ編みにして流してる。この世界、顔面偏差値たけぇっす。


「あぁ、ジャスティン。今日はこの子を連れて来たんだ」

「ジャスティンって呼ばないでって言ってるじゃなぁ〜い!ジーンよ!ジーン!」

「あ、キリアです」

 一応、挨拶するけど、2人で話してるからいっか!洋服見に行くんだ!

 

 あ、このスカート可愛い…前に居た所じゃ絶対に選ばない色。これからはじゃんじゃん挑戦していくんだ〜!で、このスカート緑のグラデーション。

 これに合う色、あるかな…やっぱ白のシャツかな。後は…

 黙々と服を選んでいて、あたしは2人の視線に気付かなかった。

 

「ランド、あの子…」

「ん?キリア、可愛いよね。今、口説いてる最中なんだ」

「へぇ…あのランドがねぇ…ね、落ちそうなわけ?」

「ふふっ内緒だよ」

「あら…」


 洋服はよし。パジャマも選んだし、外出用も。あとは…下着が欲しいのよね…。


「あら終わったのかしら?」

「あ、はい。後は下着が…」


 恥ずかしくて尻すぼみになってしまう…。


「それならこっちね。アナタは大きい方よね。ここら辺なら合うものあるんじやないかしら?」

「あ、ありがとうございます…」

「恥ずかしがらずにキチンと選ぶのよ!?」

「は、はいっ」


 こちらの下着はどういうものか、分からなかったけど、大体満足かなぁ。じゃあお会計して、次に行こう!


「あの、お会計お願いします」

「はぁい。いいの選んだわね」

 と、ウィンクされてしまった…。


「あはは…ギルドカードでお願いします」

「わかったわ〜。ありがとうございました〜。またよろしくね」



 癖のある洋服屋さんでの買い物は終わった…。オネエってもの凄く絡んでくるイメージだったけど、違うのかも…


 偏見ってやつかな。テレビで見てたイメージが強いだけよね…実際、会った事ないし。

 全員がそうって訳じゃないよね〜。変な考え、辞めないとね! よし、次の買い物へ行こう!



〜〜〜〜〜〜〜〜


ジャスティン(ジーン)視点


 ランドが連れてきたあの子、スタイルいいわねぇ… アイディアが溢れてくるわぁ。

 デザインを忘れない内に書き留めないと! 次、来たら寝巻きとか買ってくれるかしら? 下着も大胆なものを作っちゃいましょ。たまにはいいわよね? うふふ…

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