第8話

「ふふっ。これからお出かけしようか」


 おぅふ…色気ダダ漏れなランドさん…ホント、どうしちゃったんだろ?


「えっと、何処に行くんですか?」

「奴隷商人のところ」

「え?」

「アリアから言われたんだろ?絶対裏切らないし、主人の言うことは絶対だしって」


 確かに言われたけど、まだ買うって決めてない…これは買わなきゃいけない流れなのでは!?


「そんなに身構えないで」


 ぎゃー耳元で喋んないでぇ!え?ランドさん、あたしを仕留めに来てる?!思わず後ずさってしまった…


「ふふっ」

「え、あの、ランドさん?奴隷なんですけど、まだ決めたわけじゃなくて…」

「キリア、本当は僕が一緒に行きたいんだけどね、僕は商人だからキリアに着いていけないんだ」


 えっと…一緒に?何処に?


「何で一緒にって顔してる」

「え、だって理由が分からないです」

「僕ね、キリアのこと好きなんだ」

「……え?」

「ふふっ混乱してる」


 ニコニコして見てるけどさ、なんて言った?あたしをすき… スキ… 好きってなんだ?おいしいの? 


「あのね、僕、商会を弟に譲ろうと思ってる。その後、僕も冒険者になろうと思って」

「はぁ」

「まだ理解出来てないの?…可愛いなぁ」


 なんか聞こえちゃいけないものが聞こえた気がする…


「だからね、ここのダンジョンシティで冒険者してて欲しいんだ」

「えっと何故です?」

「それはね…」

「それは?」

「僕がキリアを迎えに行くから」

「おぉぅ…」


 迎えとは…親が子を迎えに行くあれ?え、保護者?ランドさん、あたしの保護者になるの?


「保護者…?」「ぶっ…」

 ランドさんの体が震えている…


「キリア…」

「ひっ…ランドさん」


 お願いだからイケボで迫ってこないで!逃げ腰になってます!


「どんな考えしててもいいけど、それはないよ?僕、まだ18だからね?」

「成人したばっかりですか?あたし15ですけど…」

「そうだよ?成人したばっかりだけど、社会経験は豊富だからね…」


 え、なんか艶っぽい…これは…にげられないの?


「それでね?待ってて欲しいんだ」

「あ、わ…かりました」

「良い子… じゃ奴隷商人のところ行こうか?」

「あ、遠慮します」

「え?」

「え?あの…ソロでもいけるし、1人の方が楽なんで。奴隷でも知らない人はちょっと…」

「あぁ…」

「奴隷商人の所より、魔道具屋さんに行きたいです!」 手を挙げて主張してみた。


「そっか…そうだね。じゃぁ魔道具屋さんに案内するよ」


 何かに納得してランドさんは魔道具屋さんに連れてってくれた。魔道具屋さんは楽しかった。テントもあったの。もちろん買ったよね〜。毎日魔力注ぐと、中が変わるらしいんだって。

 でも見たことないんだって。みんなそんな暇無いらしいよ?忙しく働いてんのね…

 

 あたしは過労で倒れるのは嫌だから、自分のできる範囲で、依頼をこなしてくんだ。

 そうそう、ウルフのお金貰うの忘れてたんだ…お金大事なのに、遠い目しちゃう…ウルフは仕留め方が綺麗だし、素材もほぼ取れるから、5匹で結構な額になりました!

 ギルドカードに入れられるって言うんで、半分を現金で貰ったの。で、今日はもう暗くなって来たから、熊の妖精さんに行って寝ます!


 ちなみに明日もランドさんと町を見て回るんだ〜… チョロインがいるわね。

 明日は洋服とか見て回りたいな〜なんて思ってたら、あっという間に寝ちゃってた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 おはようございます…めっちゃ爆睡。やっぱ、あたしの特技だよね〜!


 顔を洗って身支度したら、食堂に行って朝ごはんを貰おう。


「おはようございます」

「あら、おはよう。早いわね?」

「今日は色々行きたい所があって早く起きちゃいました」

「そうなのね〜。楽しんできてね! はい、朝ご飯」


 今日の朝ごはんはパン粥みたい?でも具沢山でとても美味しかった。凄く優しい味がした…気がする。

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