第7話

 とりあえずどっかに篭もりたいわ…って現実逃避してたら、ギルマスがアリアさんを呼んだ。


「失礼します。」

「アリア、キリアに冒険者ギルドのルールやら何やら説明してやってくれ。」

「分かりました。じゃあキリアさん、こちらへどうぞ」


 黙って付いてく… 人が嫌い(コミュ症)だから不安がすごい。あ、もっとクッキー食べときゃ良かった…


「クッキーは後で出しますね」


 何故わかったんだ…読心術か!?


「ふふっ。顔に出てますよ」


 ポーカーフェイスを身に付けないといけないかな?


「お高いクッキー、美味しかったので」

「キリアさんには、ここを拠点にして欲しいので、ギルマスのとっておきのクッキーあげますよ」


 それはそれで良いのか…


〜〜〜〜〜


「で?わざわざランドが連れてくるってことは?」

「はい。あの子、キリアは収納持ち、それに…」

「収納持ち、だな…それに?」

「えぇ。ほっとけないんです。」


 それを聞いたギルマスはニヤニヤする。


「ほぉ…ランドがなぁ…。だが人が苦手なんだろ?」

「そうなんです。が、僕と会った時はギルマスと会った時よりにこやかでしたよ?」

「そうかよ。キリアは、創造神クアトゥムの加護がある。それでもか?」

「えぇ。覚悟はとっくに。」

「…そうか。手強そうだがな。ま、頑張ってくれや」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「じゃぁ説明するわね。キリアちゃんはFランクから。そこから依頼をこなしてもらって、条件が合ったらランクアップ出来るわ。Dランクになると、依頼に失敗するとペナルティがあるから気を付けてね」

「ペナルティ…ですか」

「そうよ。討伐依頼などで失敗すると、ランクが下がったり、無料で奉仕作業をしないとダメなのよ。だから、自分に見合った依頼をお願いね」

「分かりました。あ、ランク上がると何があります?」

「そうね…ギルドで買える物がちょっと安くなるかな。Aランクより上になると、国と関わることが多いかな?パーティに呼ばれたり、貴族の指名依頼もあるわね」


 冒険者も大変なんだなぁ…あ、ウルフ買ってくれないかな?


「あの…、ウルフ、買ってくれますか?」

「ウルフ?討伐してきたの?大丈夫よ。どのくらいあるかしら?」

「ここに来る時に。えっと5匹ほど…解体はしてません。」

「あ、じゃぁ解体するところに行きましょうか」


 アリアさんに連れられて解体出来るところに…


「マーシーさーん!」

「はぁい。…あら、アリアじゃない。」

「マーシーさん、こちら、キリアちゃん。ウルフを持って来たのよ」

「あら、じゃ早速出してくれる?」

「あ、はい」


 ドサドサっと5匹。ちゃんと、マジックバックから出したよ!


「キリアちゃん、…これ綺麗に仕留められてるわ。5匹ともね。アリアと待ってて?」

「はい。あ、あと薬草もあります」

「じゃぁ、それはこっちね。アレク、お願い」

「何ですか?あ、薬草です?!」


 おぉぅ…圧が凄い…


「ひっ… ヒーリング草と、バジラ草です」

「確かに。どちらも3束ずつなのですね。現金にしますか?」


「?」

「あ、それの説明忘れてたわ!依頼達成した時に、カードにお金を入れておけるのよ。現金でも貰えるけどね」


 貯めておけるのね!それは貯めるしか…ないか?


「今日は現金でお願いします」

「かしこまりました、どうぞ」

「ありがとうございます」


 ふぅ…疲れた。


「キリアちゃん、ご飯食べた?」

「あ、まだです。お腹空きました。」

「じゃぁ行きましょう」


 ギルドに併設されてる酒場?に来た。ここでご飯が食べられるらしいのだけど…


「いらっしゃい!何にする?」

「んーオススメ下さい」

「おう!」


 とても元気があるおじさま…


「あ、私はいつものお願いね〜」

「おう!」


 今はそんなに人は居ない…いつもこのくらいなら良いんだけど…


「いつもは朝早くと夕方が混んでるわ。キリアちゃんは空いてる時間にいらっしゃい。私が担当になるから」

「あ、はい」

「そうそう、さっきのウルフでEランクね」

「え!?流石に早くないですか?」


 ちょっと焦る… なんだっけ、出る杭は打たれる?的な… あんまり目立ちたくないのよね…


「んーでもね、1人であんなに綺麗に仕留められる人って、とても貴重なのよ。普通はパーティを組んで討伐するから。キリアちゃんはパーティは?」

「そうなんですね…あたしはソロで良いです。信用出来ない人と組んでも疲れるだけなので。」

「そう…じゃあ、戦闘奴隷とか良いんじゃない? 絶対裏切らないし、主人の言うことは絶対なのよ。ソロだと厳しい時もあるしね」


 奴隷…やっぱり居るんだ。でも戦闘奴隷かぁ…


「そうなんだ…やっぱりソロだと限界あります?」

「そうね…最初はそんなに難しくない依頼だから大丈夫だと思うの。でも、ランクが上がるにつれ、依頼も難しくなるのよ」


 そっか…ん〜どうしようかなぁ… 考えが纏まらないので、とりあえずご飯食べよ。


「お待ち!オークのステーキだ!アリアは…」

「言わなくていいわ!!」

「おう…」

「おじさん、ありがとう。いただきます。」


 オークってファンタジーな魔物よね?


  オーク 二足歩行の猪。

  味は地球の豚肉に似ている。


 猪なのに豚肉なのね… でも美味しいからなんでもいいわ!ほんっと美味しい。こっちに来て、まともな食事!これからは自炊を頑張るぞ!

 新たな?決意をしたところで、ランドさんが降りて来た。


「あ、ランドさん。」

「おや、食事中でしたか。」

 

 ん?何か用があったのかな?


「もう少しで終わるので!」

「急がなくて大丈夫だよ」


 何故か微笑ましい眼差し。え、なんだろ… なんか恥ずかしい。


「ごちそうさまでした。お待たせしました」

「いえいえ。この後の予定は?」

「今日の泊まる宿を見つけたら、何も無いです」

「じゃぁ、僕のオススメの宿を紹介するから、ちょっと付き合ってもらっても良いかな?」

「あ、分かりました」


 どうしたんだろ?


 ギルドから少し歩いて宿に着いた。熊の妖精って言うんだって!どんな!?ちょっと気になるよね〜

 熊の獣人さんが旦那さんで、人族の奥様がいるんだけど、その奥様が妖精みたいに儚い感じで… 宿の名前に納得しちゃったのよ…


「いらっしゃいませ…あらランドさんじゃない!」

「お久しぶりです。今日は人を連れて来ました」

「あらあらあら!それはそれは!うふふ… 一泊2食付きで銀貨3枚よ」


 どうしたんだろ…何かあったのかな?


「キリア、どのくらいを予定してる?」

「あ、じゃぁ1週間でお願いします」

「はい。銀貨21枚よ」

「ここは僕が。」

「……え?いやいや、あたし払いますから!」

 

 なんか払ってもらうのに着いて来た感じになるし!って言うか、ここは僕がって?なんで?


「キリアさんと仰いましたか? 私、テレサよ。こうなったらランドさんは頑固なので、大人しく貰ってやってね」ってウィンクされた…


「あ、はい…」

「ふふっ混乱してるね。じゃ女将、また後で来るよ」


 んー?どゆことー??

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