第3話

「右と左、どっちに行こうかな? んー、何となく左にしよう」


 魔物も出ないし、のんびりと歩いてたら後ろから馬車がきた。


「お嬢さん、この先の町に行くのかい?」


 商人らしき人に声をかけられた。え、すっげぇ甘いマスクしてんすけど… 鑑定してみよ。


  名前 ランド  種族 人族  年齢 18

商人  人格 最良 未婚


 え?人格とか出んの? 未婚って…誰か、吹き出さなかったあたしを褒めろ。

 そして、なんか種族のとこ、グレーになってる…


「そ、そうです。あとどれくらいかかるか分かりますか?」

「そうだなぁ… 歩きなら3時間ってとこかな。」

「そうですか。ありがとうございます。」

 結構、遠いんだなぁ。 気長に歩くか。

そう思っていると

「乗ってくかい?」

「え、いいんですか?」

「女の子1人で歩かせられるほど、薄情じゃないよ?」

「あ、ありがとうございます。じゃあよろしくお願いします」


 こうして商人さんと一緒に町へ向かうことになったけど…

ちょっと不安なんだよね…


「あ、あたし、キリアって言います。」

「これはこれは。僕はランドです。」

「商人さんですか?何を扱ってるんです?」

「商人じゃなかったら、何に見えますか?調理器具とかなんでも扱ってますよ。」


 ふふっと笑われてしまった…

「商人さんっぽい人と会うの初めてなんです。ぜひ後で見せてください!」

「ずいぶんと田舎… 失礼。」

「あ、大丈夫です。田舎なのはどう頑張っても変わらないので。田舎って言っても山奥だったんです。外から人が来ることはほとんどなくて」

 って言う設定で… 嘘ついてごめんなさ〜い。


「なるほど… ここら辺で休憩していきましょう。」


 乗せてもらってから1時間ちょっと行ったところかな? 町まであと半分?

町はどんな所かな?楽しみだ!


 ランドさんが馬に水をやり終わって、こちらに来た。


「早速だけど、商品見るかい?」

「本当ですか!? やった!」


 お鍋、フライパン、お皿、カトラリーをとりあえず1人分。 あ、これって…

 

「これは魔道具ってやつです?」

「そうだよ。コンロだね。」


 魔道具のコンロ!


「おぉ…いくらです?」

「一口だと、金貨3枚だよ。買うの?」

「欲しいです!全部合わせていくらですか?」

 魔道具だって!これなら野営しても、あったかいご飯にありつける!


「金貨3枚と銀貨1枚だよ」

「えっと…はい!」

「!! キリアは収納待ちなのか。町に行ったら隠しておくことをお勧めするよ。」


 びっくりしてると思ったら、こんなことを言われた…

収納持ってると危ないのかな?


「危ないんですか?」

「そう。僕ら商人にしたら、喉から手が出る程。あとは国かな。」

「国?」

 なんで国が欲しがるのかな?


「何故って顔してるね。」

「えぇまぁ…」

「まぁ君は関わりがないだろうけど、国が戦争とかやる時、食糧や武器なんかを収納させられるかな?」


 げっ!戦争に、利用されるってことか…

これは、なんとしても避けなければならない問題だ!


「…そうなんだぁ。それなら収納に変わる物ってあるんですか?」

「ふふっ。本当、嫌そうな顔するね。まぁ見つかれば、多分って話しかな。 収納に変わる物はあるよ。マジックバックが」


 いや、ホント嫌だし…面倒くさい…。

おぉ!マジックバック!流石ファンタジー!是非とも手に入れねば!

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