第70話悪戯しあう二人
同棲生活を始めてからというものの、春休みも相まってか四六時中暇さえあれば夏樹に絞られまくっている。
どうやら、本当に180日できなかった分を取り戻す気らしい。
ヘロヘロになりながらも、頑張ってはいるがこのままでは確実に死ぬ。
デートしに外へ出ることでする機会を奪おうと考えるも、夏樹は今は金欠で遊びに行ける余裕はない。
夏樹を悶々とした気分にさせない方法を俺は必死に考えた。
で、思いついた。
「ちょっと友達と遊ぶから静かにしてくれると助かる」
そう、パソコンで離れた友達とボイスチャットをつなぎながら、一緒にゲームをすればいいのだと。
さすがの夏樹も俺が誰かと遊んでいたら、手を出してくるわけがない。
と思ってたんだけどな……。
『おいおい、いつもよりエイムガバガバだけど調子悪いのか?』
あまりにもゲームが下手な俺にツッコミを入れるゲーム友達。
俺は身をよじりながらいう。
「机の下で甘えん坊な猫が暴れててな……」
留学から帰ってきてから、マジで面倒くさい子になった夏樹。
そんな彼女は俺に構って貰えなくて暇なのかゲームを楽しんでいる俺のズボンを脱がし、舐めるという暴挙に出たのだ。
友達とボイスチャットをしつつも、俺は『やめような?』という目で机の下にいる夏樹をにらんだ。
すると、夏樹は気持ち良くなかった? と言わん顔で再び俺を気持ちよくさせようとしてくる。
ゲームとはいえ、結構真面目に友達と遊んでいるわけで……。
これ以上は迷惑をかけまいと、俺は友達に謝る。
「悪い。やっぱ、今日は調子悪いからこれくらいで落ちる」
見るからにマウス操作がバグったように変だった俺を見ているからか、友達はなんも疑うことはない。
『おう。お大事な~』
で、通話を切り、もう一度、本当に通話が切れているか確認した後、机の下で俺に悪戯してくる悪い彼女に話しかける。
「夏樹さんよ。人がゲームしてるときに悪戯はやめませんか?」
「……やら。らって、ひまなんらもん」
夏樹は咥えたままなこともあり、活舌悪く俺に言う。
もごもごと口を動かしながら喋る夏樹を見て俺は笑ってしまった。
「ほんと、面倒くさい子になったよな」
1年前は素っ気ない態度で媚びるようなことはなかった夏樹。
そんな彼女は今、かなりの甘えん坊になってしまったのだから。
夏樹はもごもごと頬張るのをやめ、俺の目を見つめながらぼそっとつぶやく。
「湊のことが好きなんだからしょうがないじゃん……」
溢れ出る想いを自分でも抑えようとしてはいる、と言わんばかりな夏樹がカワイイ。
あくまで自分は悪くないというスタンスを見せつけてくるところが、本当に俺の男心を掴んで離さない。
夏樹といると飽きないなぁとか思っていると、俺にボソボソと文句を垂れてきた。
「湊の方こそ、私にもっと甘えてくれてもいいのに……」
もう十分俺は夏樹に甘えてると思うが、まだまだ俺に甘えられたいらしい。
よし、そういうことなら……。
「じゃあ、膝枕してくれ」
オーソドックスな感じで甘えてみることにした。
俺がお願いすると夏樹はゲーミングPCが置いてある机の下から這い出て、ベッドの上で正座する。
そして、太ももをポンポンと叩いて『おいで』と俺を呼ぶ。
流れるまま、俺は夏樹の太ももに頭をのせる。
夏樹のむちむちとした柔らかい肉感のふとももの寝心地は最高だった。
ただ言葉を交わさずとも幸せな気分ではあるが、ちょっと手持ち無沙汰な俺は膝枕してくれている夏樹に話しかける。
「今度はゲーム中に邪魔しないでくれよ?」
「……頑張る」
頑張るじゃなくて、しないという言葉を俺は求めていた。
なので、ふざけんな! と夏樹の太ももにぐりぐりと顔を押し付けて抗議した。
「ふふっ、ごめんって。さすがに邪魔してばっかだと嫌われちゃうから、次はしないってば」
俺にぐりぐりとされている夏樹はくすぐったそうに笑いながら言った。
その反応がかわいくて、俺はより一層と嫌がらせかのように太ももに顔をぐりぐりと押し付けて遊んだ。
で、そんな風に遊んでいると、仕返しされてしまう。
ちょうど俺が夏樹の太ももと太ももの間に顔を強く押し付けていたとき、夏樹は閉じていた太ももをパッと開いた。
「うっ……」
間抜けな声をあげて、俺は夏樹の太ももの間に顔を落とした。
そして、夏樹はパッと開いた太ももを俺の顔を挟み込むようにして再び閉じた。
むにむにと太ももで顔面を押しつぶされる。
「く、苦しい……」
わりと強めに押しつぶされている俺は助けてと産声をあげた。
「私の太ももにぐりぐりとしてきたお返しだからね」
もうちょっとだけ苦しめちゃうから。
なんてかわいい感じで夏樹は言った。
「……もうしません。だから、助けて下さい」
「ん、よろしい」
夏樹は力を抜いた。
で、太ももに挟まれていた俺は無事に抜け出せそうになった。
しかしまぁ、これで終わるのも面白くないなぁ……。
そう思った俺は夏樹の股というかパンツに向かって顔を突っ込んでみる。
「すけべ」
罵られる。
しかしまぁ、夏樹に罵られるのも嫌いじゃない。
「スケベなのはお互い様だろ?」
といって、俺は夏樹のパンツへぐりぐりと鼻を擦るように押し付けた。
で、まあ、よほどいいところに触れたのだろう。
「んっっ…」
夏樹はくすぐったそうにしながらも、どこかうれし気な吐息を漏らす。
俺に責められて顔を赤らめる夏樹を想像してしまい、俺は止まれなくなる。
ゲーム中に机の下でいたずらされた俺はその仕返しにと言わんばかりに、夏樹への悪戯を始めるのであった。
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