第69話触れずに倒したい彼女

 夏樹との同棲生活が始まってから3日。

 とうとう、俺の膀胱炎も完治しお医者さんから『もう特に気を付けることはないよ』とお墨付きをもらった。

 病院帰り、俺はちょっと大人のお店へ寄り道する。

 それもそのはずで、安全に遊ぶためのさやが家にはないからだ。

 別にコンビニで買っても良かったのだが、久しぶりにするわけで……。

 すぐに出したら絶対に夏樹に怒られる。超極厚とまではいかないが、夏樹にばれない程度にちょっと厚めなのを買うためだ。


 で、目的地であるド○キの18と書かれた暖簾で区切られているコーナーに入ろうとしたのだが……。


 入り口付近には夏樹がいた。


「……なんでいんの?」


 そう話しかけると、夏樹は怖い目で俺をにらむ。


「なんか悪いことしそうだったし、勘で待ち伏せしてた」

「待ち伏せって……。そういや俺のかばんにGPSタグ付いてるもんな……」

「で、湊はなんでここに来たわけ?」

「久しぶりだし何回もすることを考えて、一応補充しておこうと思ってな」

「ふーん。また私に内緒で分厚いのにしようとしてた感じ?」


 俺のことはなんでもお見通しな夏樹が怖い。

 さすがの俺も厚いのを買うのは無理そうだなと諦めるのであった。


   ※


 極薄なアレを買った俺と夏樹は家に帰ってきた。

 夏樹はシャワーを浴びる間もなく俺のベルトに手をかけて脱がそうとしてくる。

 膀胱炎を患ったこともあり、ある地域発祥の何日間もかけて、ゆっくりと仲良くするアレを行うつもりではあった。

 まあ、欲求やばめな夏樹には向いていなかったようで、普通に1日目で予定が崩れ去ったのは言うまでもない。

 で、結局のところ俺は自分のアレを使わないで口やら手で頑張って夏樹を満足させてはいたのだが……。


「湊も一緒じゃないのは本当に物足りなかったんだよね」


 一人だけ満足することに対し、やっぱりご不満だったようだ。

 真昼間から餓えた獣のような爛々とした目をしている夏樹。

 そんな彼女はいじらしく俺の下腹部を触りだす。

 刺激はとても弱いが、それでもまぁ禁欲期間が長かったわけで……。


「ちょっとヤバいかも……」


 普段よりも気持ちいいってわけではないのだが、最後の最後に感じるあの独特な込み上げてくる感じが凄いする。

 別にいつもよりも特別に気持ちがいいというわけではないし、すぐに出すのはなんかやっぱり勿体ないと思うのは俺も夏樹と同じだ。

 手加減をと頼むと、夏樹はクスリと笑う。


「こんなのでいきそうになるなんて情けないね」

「しょうがないだろ。久しぶりなんだから……」

「じゃあ、直接弄るのはやめてあげる」


 といって、夏樹は俺のパンツにそーっと指を這わせたり、焦らすように撫でるのではなくて俺の胸に手を伸ばした。

 久しぶりかつ、なんだかんだで夏樹に弄られまくっていることもあり、それなりに反応はしてしまう。

 しかしまぁ、直接的なものと違ってもどかしくてしょうがない。

 焦らしに焦らされ、執拗に胸を弄ってくる夏樹にお願いする。


「そろそろ本番を……」

 

 だがしかし、夏樹は悪い顔で俺をイジメる。


「ダメだよ。すぐ出ちゃいそうだし、今はゆっくりと楽しむターンだから」

「そういうこというと、俺もお前が気持ち良くなりそうなタイミングでやめるぞ」


 そっちがその気なら、俺も寸止めしてやる。

 夏樹はSであり俺に責められるのも普通に好きなMでもある。


「私はそういうの嫌いじゃないけど?」


 普通にOKなようだ。

 結局、俺は夏樹に焦らすように弄ばれた。

 で、長い長いもどかしい時間を過ごした後、夏樹が自分の服を脱ぎ捨てた。

 やっと本番が始まるのかと期待に胸を膨らませると、何やら思いついたのか夏樹は顔を少し下げて物思いに耽りだした。


「どうしたんだ?」

「今なら、湊のアレを弄らずに果てさせられるんじゃないかなって」

「いや、散々弄っただろ」


 どんだけねちっこく胸を弄られたことか。

 なんて思っていると、夏樹の視線は俺のお尻の方へ向いていた。


「そっちは弄ってないでしょ?」


 一番効く場所を触れずに俺を倒したくてしょうがなくなったらしい。

 溜まりに溜まっている今がチャンスと夏樹はやる気を見せる。


「いや、俺をどうにかこうにかしたいのはわかるけどさ」

「ダメなの?」

「そこまで本気にならなくてもいいだろ……」


 呆れるように言うと、夏樹は少し興奮気味に食い下がる。


「大人のビデオみたいなことをしたいって思うとき湊もあるでしょ?」

「……あー、わかる」


 フィクションとはわかっていても、それに近しいことをしたい。

 男なら誰しも思ったことがあるはずだ。

 そして、男だけでなく女もそう思うことがあるのも自然だろう。

 俺のアレを直接に弄らずにフィニッシュさせたい夏樹はものすごく真剣な顔で俺に頼み込んできた。


「何でもするから。だから、ね?」


 お願いするかのようだが、夏樹はもう何が何でも弄る気しかない。

 俺を逃がすまいと凄みのある顔で迫ってくる。

 ここで逃げたら何をされる分からないし、俺は渋々と夏樹に従うことにした。

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