第64話お預けを食らい悶々としてる彼女は可愛い
夏樹が日本に帰って来て4日が経った。
再び眠れないような日々が続くかと思っていたのだが――
そうはならなかった。
理由は単純なもので、俺が膀胱炎になってしまったからだ。
朝まで大人のお遊びをした翌日の昼頃、トイレに行くとアソコに激痛が走った。
下の方の病気を放置したら夏樹に怒られるの間違いなしなので、すぐに病院に行くと膀胱炎と診断された。
夏樹にイジメにイジメられたアソコには細かな傷がたくさんあったこともあり、診て貰った初老の医者に苦笑いされながら釘を刺された
『元気なのは良いけど、あんまり羽目を外し過ぎないようにね』と。
とまあ、眠れない日々が訪れなかったわけなのだが、
夏樹はこれから毎日のようにヤる気満々だったこともあり、俺が膀胱炎になったことに対して虫の居所が悪くてしょうがないようだ。
現に、俺の部屋に食料の入った買い物袋をぶら下げてやって来た夏樹の一言は、ただいまでもお邪魔しますでもなくて、こうである。
「薬飲んだ?」
うん、夏樹からの膀胱炎を早く治せという圧が凄い。
「ちゃんと飲んだって……」
昨日、薬を飲むのを忘れていて夏樹にはこっぴどく叱られたこともあり、今日は朝起きたらすぐ薬を飲んだ。
次に薬を飲むのを忘れたら、『おむつ穿いて、私と赤ちゃんプレイして貰うからね?』と夏樹に脅されてるからな……。
「そ、ならいいけど」
「にしても、まさか膀胱炎になるとはな……」
「次は気を付けてよ? 私もたくさん水分補給をさせたり、湊がちゃんと行為が終わった後に、おトイレしてるところを見てあげたりして、病気にならないように気を付けるけどさ」
夏樹から二度と俺を膀胱炎にしまいという鋼の意志を感じる。
もしも、次になったときは怖そうだなあと苦笑いしていると、夏樹は物凄い剣幕で俺を脅してきた。
「あのさ、ちゃんと聞いてる?」
「き、聞いてるって」
「そういえば、今日はもうおトイレいった?」
「行ったぞ?」
まだ起きてから1度もトイレに行ってないとのだが、それを言ったら怒られそうな気がしたので、俺は何食わぬ顔で嘘を吐いた。
だが、もう俺の両親よりも俺のことに詳しい夏樹である。
嘘はお見通しでじっとりとした目で俺に言う。
「トイレ行こっか」
「……なんで?」
「本当に湊が今日トイレに行ったのか確かめるために」
「どうやって調べるんだよ……」
「濃さ」
起き抜けは色が濃いことが多い。
それをもってして、俺が今日トイレに行ったかどうかを確かめるつもりなようだ。
「……すみません。まだ今日は1回もトイレに行ってないです」
「また、私に嘘をついたと」
「いや、だって、トイレ行ってないって素直に言ったら夏樹に怒られるし……」
「へー、私のせいにするんだ」
「そ、そういうわけじゃ……」
嘘がバレなかったことなんてほとんどない。
それなのに、俺は嘘を言ってしまうあたり学習能力がないなぁ……とか思いながら、機嫌の悪そうな夏樹に何を言われるのか身構える。
ただまぁ、今日の夏樹はちょっとだけ優しかった。
「てか、早くおトイレ行って来たら?」
「おしおきがないだと!?」
「あのさ、さすがに病人相手に酷いことしないから」
「お、おう」
今日はやけに優しいな。
夏樹の態度に違和感を感じていると、夏樹はうっとりとした表情で俺に言う。
「まあ、治ったら、たっぷりとおしおきしてあげるけどね?」
だと思った。
さてと、夏樹がうるさいのでトイレに行くか……。
※
俺がトイレから戻ると、夏樹が粘着シートの付いたコロコロでカーペットを綺麗にしていた。
「で、今日は何時くらいに家を出る?」
今日は夏樹と少し遠出してお買い物をする予定だ。
留学から帰ってきた夏樹と俺は本格的に同棲を始めることにした。
それにあたって、食器、収納棚、替えのシーツ、ちょっと大き目な机など、同棲に必要なモノをしっかりと買い揃えようってわけである。
「なるべく早くで」
「……やけに急かすな」
「湊の部屋に居たら、ちょっとムラムラしてきた」
「ほんと、凄い性欲だよな……」
夏樹は俺が膀胱炎になったのが判明した日から、俺の部屋に泊まっていない。
曰く、俺と一緒のベッドで寝ると襲いたくなるからだそうだ。
てか、女性の性欲のピークって30代を過ぎてからって言うし、今でこれって言うのが本当に恐ろしい。
「しょうがないでしょ? 日本に帰って来たら、湊といっぱいできると思ってたのに、何故かお預けを食らってるんだし」
ムカムカとした感じで言う夏樹が可愛い。
夏樹が悶々として苦しむ姿をもっと見たい。
ゆえに俺は恥を捨てて、夏樹にとある提案をする。
「俺の病気もあと数日は良くならないだろうし、この機会を生かしてポリネシア地方で伝わるアレな行為がしてみたいです」
「あー、湊が言ってるのって5日掛けてスるアレのこと?」
さすが夏樹。
どうやら、俺が提案した行為のことはシッカリとご存じだったようだ。
「ダメか?」
「……ダメじゃないけど」
夏樹はどこか歯切れの悪そうだ。
そう、夏樹は俺とはしてないがガッツリと一人で慰めはしている。
ポリネシア地方に伝わるアレは最終日までは我慢しなくちゃいけない。
夏樹は自由に発散できなくなるのに抵抗感があるのだろう。
どうしても、俺とデキなくて悶々としている夏樹の可愛い姿が見たい俺は、夏樹を焚きつけるようなことを言った。
「ま、夏樹には無理だったか……。悪いな変なお願いしちゃって」
「は? 半年は我慢できたし、5日くらいは我慢できるに決まってるでしょ?」
夏樹はムッとした顔で強がって見せる。
こうして、俺と夏樹は5日を掛けたアレな行為をすることになるのであった。
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