第59話すぐに我慢できなくなる彼女

 夏樹との3回戦は俺の敗北で終わった。

 極厚のアレは使わせて貰えなかったこともあり、5分も経たずに果てた。

 出した後も夏樹は弄るのをやめてくれないどころか、1回戦で姑息な策を使ったのをまだ根に持っているのか、いつも以上に果てたばかりの俺のアレを弄ってきた。

 泣きに鳴かされた俺のアレを舐めて綺麗にしている夏樹。

 そんな彼女に文句を言った。


「どうせ今日はまだまだするんだから、激しい責めは最後の方にした方が……」

「無理」

「……だろうな」

「で、今日はあと何回くらい出せそうなの?」


 まだ今日は3回しか出していない。

 前と違って量も増えた。

 とはいえ、しっかりと確認できる量が出るのは……。


「確認できる量が出るのはあと3回くらいだろうな」

「そっか。それにしても、アレはデカくなったし、量も増えたし、粘り気も強くなったし、味も濃くなってびっくりしてる」

「満足度は?」

「前より高いよ。男優になったら絶対に引っ張りだこレベルだと思う」


 何とも言えない褒められ方で俺は苦笑いしてしまった。

 すると、夏樹が俺にムッとした顔で釘を刺してきた。


「男優になったら怒るからね?」

「いやいや、ならないって」

「てか、このブツは絶対に自慢したらダメだよ」

「なんで?」

「女子が欲しがるレベルだから。特にこの凶悪な頭の形を味わったら、もう二度と普通ので満足できなくなると思う」

 

 とまあ、休憩中に馬鹿らしいことを話していた時だった。

 俺のお腹がぎゅるると音を立てるようになった。


「私もお腹減ったかも……」

「じゃあ、夕ご飯だな。実は今日は夏樹が帰ってくるということで、美味しいお肉を用意してあるから期待してくれ」

「いいお肉?」

「母さんがふるさと納税で貰った返礼品のお肉を貰ってきたんだよ」


 俺は冷蔵庫からお肉を取り出して夏樹に見せた。

 山形牛のステーキ用にカットされた本当にいいお肉だ。

 それを見た夏樹の目はキラキラ輝きだした。

 海外では食事が美味しくないと俺にずっと文句を言っていたからな。

 久しぶりに美味しい物を食べられるのが嬉しくてしょうがないんだろう。


「お義母さんにお礼言っとかないとね……」

「気にしなくていいと思うぞ」

「あのさ、義母を無下にはできるわけないでしょ? てか、今しよ……」


 夏樹はそそくさと俺の母さんに電話を掛けた。

 海外留学から無事に帰ってきたことを報告し、お肉の件でお礼を言いだした。

 ほんと、マメだな~とか思いながら、横で夏樹と母さんの話を聞いていたときだ。

 ついでにと言わんばかりに、夏樹は母さんにあのことを話しだした。


「湊の部屋で同棲をする予定なんですけど……、同棲しても良いですか?」


 そういや、留学から帰って来たら一緒に住もうって約束してたっけ。

 てか、あれだ。俺が心変わりしていて、やっぱもうちょっとだけ別れて暮らさないか? って言われる可能性を潰そうとしたんだろう。

 なんてことを考えていたら、夏樹は俺にもお母さんの話が聞こえた方がいいでしょ? と言わんばかりに電話をスピーカーモードに切り替えた。


『ええ、大丈夫よ。お金を払ってるのは私だけれども、契約者は湊にしてあるから、私じゃなくても管理会社に連絡して入居者情報の変更手続きはできるはずよ』

「わかりました。湊にお願いしてみます」

『あと、同棲するのはいいけど二人ともしっかりと大学の単位は取ること。あまりにも単位を落とすようなら同棲は解消してね。まあ、二人とも真面目だから大丈夫でしょうけど』


 それから少しの間、母さんと夏樹は色々と話した。

 最後の最後に母さんがとんでもない注意をしてくる。


『避妊はちゃんとするのよ?」

「……気を付けます」

『ええ、二人ともまだ若いんだから慎重にね。それじゃあ、何かあったら気軽に電話してね?』

 

 母さんとの電話は終わった。

 そして、夏樹は横で大人しく聞いていた俺に言う。


「ということで、早く湊とちゃんと同棲したいから管理会社に連絡してよ?」

「了解。一応、俺も夏樹の親に同棲の許可を貰いに挨拶したいから、都合のいい日とか教えてくれると助かる」

「じゃあ、明日くる?」

「……いや、明日は家族水入らずで過ごせって。今日でさえ、家族よりも先に俺とイチャイチャしたくて、嘘ついてまで俺の部屋にやって来てるんだからさ」


 夏樹はそれもそうだねと頷いた。

 さてと、お腹も減ったしいい加減にお肉を焼いて食べよう。

 今日は夏樹を労うために俺が料理をするつもりだ。

 さすがに裸のままで料理するのはあれだなと思い、服を着ようとした。

 すると、夏樹は部屋にあるクローゼットから、普段は自分で使っているフリルのついた可愛いエプロンを取り出した。


「私、湊の裸エプロンがみたい」

「……恥ずかしいから無理」

「私はしてあげてるのに?」

「わかった。わかったから、そんな怖い顔するなよ……」


 彼氏の裸エプロンをご所望する変態な彼女のため、俺はエプロンだけを身に纏った。

 普通じゃあり得ない格好を好きな子に見られるのは凄く恥ずかしい。

 顔を真っ赤にして、俺は夏樹の方を睨んだ。

 夏樹はそんな俺を見てニコニコと満面の笑みをしている。

 ったく、男を恥ずかしめるのがホント好きな奴め……。

 屈辱を味わいながら、俺は夏樹のために料理を始める。

 まあ、料理といってもお肉と付け合わせの野菜を焼くだけなんだけどな。


「付け合わせは玉ねぎでいいか?」

「にんじんがいい」

「じゃあ、時間が少しかかるけどグラッセを作るか……」

「へー、グラッセ作れるようになったんだね」


 夏樹のいない間、俺はそれなりに料理をするようになった。

 胸を張って俺は自慢するように言う。


「筋トレの効果を高めるために、ヘルシーで高たんぱくな食事を作ってたからな?」

「……」

 

 夏樹はどこか上の空だ。

 酷いことに反応はなく、俺の方をただボーっと見ているだけである。


「おーい、何も言ってくれないのか?」

「あ、ごめん。湊の裸エプロンがエロくて興奮してた。こう、そこそこ筋肉質な男がフリルの付いた可愛いエプロンを身に着けてるとか、ほんとエロくてね……。うん、コスプレした私を襲いたくなる湊の気持ちが分かった気がする」

「お、おう」

 

 今の俺の裸エプロン姿がドストライクなのだろう。

 夏樹の目が獲物を見るかのように鋭くなる。

 あ、これは……。

 夏樹は俺のお尻を揉みながら告げる。



「ご飯の前にもう1回しよ?」



 スルのはご飯を食べ終わった後で……と言おうと思った。

 しかし、夏樹はもうやる気満々で、我慢はできなさそうだ。

 夏樹は花より団子ではなく、団子より花なようだ。

 俺は冷蔵庫から取り出した良いお肉をそっと冷蔵庫へ戻した。


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