第58話着々とアレなカップルになる二人

 ベッドの上では夏樹にやられたい放題だ。

 体を鍛えるに連れて、俺も夏樹をやりたい放題したいという感情をより強く意識するようになった。

 夏樹は海外では運動という運動をしていないらしい。

 つまり、なまった体で日本に帰って来ているわけで……。

 

 夏樹をやりたい放題にするチャンスは今しかない。


 しかし、夏樹とヤル頻度は激減したし、夏樹でイケなくなるのを恐れた俺のセルフのアレは非常に優しい感じであった。

 で、凄く出るのが早くなってしまったのだ。

 夏樹は出した後も容赦なく刺激を与えてくることもあり、夏樹を泣かせる前に俺が泣かされてしまうのは明らかである。

 何かいい策はないかと考えた末に俺はとあるモノを見つけてしまった。

 超極厚のアレの存在である。

 試しに着けてみたら、これがまぁ、かなりの刺激を抑えられる優れものだった。

 こうして、秘策というか姑息な策を手に入れた俺は夏樹に勝利できたのだが……。

 極厚を使っていたのがバレた俺はとんでもない目に遭わされようとしている。

 そう、コンビニで極薄を買って帰ったら、夏樹が俺の後ろを弄る用意をしていた。


「……あのー、それは?」

 

「悪い子にはお仕置きが必要でしょ?」

 ギロリと夏樹が俺を睨んだ。

 蛇に睨まれたかのような俺は身動きが取れなくなる。

 元より、留学前に1回だけなら弄らせてあげるという約束もしてしまっている。

 今日ばかりは諦めるしかない。


「いえ、なんでもないです……」

 俺は現実を受け止めることにした。


   ※


 夏樹をたばかったことにより、酷い目に遭わされた。 

 前回よりも太いのを突っ込まれたうえ、振動するヤツも突っ込まれた。

 緩くなったらどうしてくれるんだ?

 ベッドの上で異物感の残るアソコを気にしながら、さっきまで悦に浸りながら俺を責めていた夏樹に文句を言う。


「再会したばっかりなのに、こんなのはあんまりじゃないか?」


「姑息なことをした湊が悪いんだけど?」


「いや、そうだけどさぁ……」


「てか、なんで極厚のアレを使ったの?」


「たまには俺も夏樹をひぃひぃと泣かせたかった。あと、普通に夏樹と長く楽しみたかったんだよ。ほら、男って出すとすぐに弱体化しちゃうから……」

 勝ちたかったことと、長く楽しみたかったことを打ち明けた。


「なんでそのこと正直に私に話さなかったわけ?」


「言ったら譲歩してくれるのか?」


「え、別に何もないけど?」

 だから言わなかったんだからな? と俺は表情で夏樹に訴えかけた。


「さてと、これで留学前に約束した1回弄らせる権利も無事に消化できたな」

 海外留学に行くのを不安そうにしていた夏樹を励ますために、帰って来たら1回は弄っていいよと言った約束を果たしたと俺は口にした。

 こうでもしないと、させて貰ってないけど? って普通に惚けられるしな。


「さっきまでのはお仕置きだから、あの約束とは別だよ?」


「え?」


「あと1回は弄らせて貰うから」


「いや、それはその……。はい、わかりました」

 逆らってもいいことはなさそうだし、俺はしょうがなく現実を受け止めることにした。

 変態な彼女を持つと大変だなぁとか思いながら体を休めていると、夏樹が俺の後ろをまた弄り始めた。


「まだスルの?」


「どのくらい柔らかくなったかチェックしてるだけ。今日はもう弄らないよ」

 弄るのガチ勢っぽいような物言いが俺を恐怖させる。

 このままだとガチで夏樹に開発されそうだ。

 さ、さすがに日常生活に困るレベルなことは……し、しないよな?

 今日はもう弄らないよとか言ったくせに、よくよく思えば普通に弄っている夏樹に俺は言っておく。


「壊れたら、ちゃんと責任取って貰うからな」


「つまり、責任取るなら湊のを壊してもいいってこと?」


「じょ、冗談だよな?」


「……まあね。さすがに好きな人を困らせるまではしないよ」


「てか、いい加減に弄るのやめてくれないか?」

 後ろを弄るのの2回戦が始まりそうなくらいガッツリと弄り出していたので、俺はうねうねと動いていた夏樹の手を払いのけた。


「で、次はいつ弄る?」


「……あと1回だけだからな?」


「はいはい」

 微塵も俺の言うことなんて聞いてくれなさそうな雑な返事をされた。

 でも、どうやら夏樹はちゃんと俺の話を聞いてくれてはいたらしい。

 俺を弄っていた手を洗った後、大きなスーツケースの中からアニメや漫画のきわどいキャラのドえろいコスプレグッズを取り出して俺に見せつけてきた。


「でもさ、弄らせてくれるなら、これ着てあげるよ?」


「どこでそんなの買ってきたんだよ……」


「海外で仲良くなったコスプレ衣装を作るのが好きな子に、材料費を渡して色々と作って貰った」

 きわどいアニメキャラのコスプレをした夏樹を汚すのを思い浮かべてしまった。

 正直凄くそそられるが、対価はそれなりに重い。

 別に犠牲を払わなくても、今の夏樹はちょろいので頼めばしてくれるだろう。


 しかし、それは俺に都合が良すぎる。


 夏樹は何でもしてくれるし、何でもさせてくれると言ってはいるものの、本当にそうしたとき、そこに愛はあると言えるだろうか?

 好き勝手に彼女にして欲しいことを押し付けるのは、俺が思い描く理想のカップル像からはかけ離れている。

 ゆえに、俺は覚悟を決めることにした。

 てか、夏樹の執着を見るに、どうせ弄られることから逃れられないと思う。

 なら、それをたくさん利用しようじゃないか。


「コスプレ5回で1回弄る権利でどうだ?」


「3回で1回」


「いいや、5回で1回は譲れない」


「4回で1回」


「俺は譲る気はないぞ」

 断固として俺は自分の意志を貫こうとした。

 ここで弱気を見せたら、夏樹にあっという間に付け入られる。


「……じゃあ、4回で1回。ただし、コスプレ中は湊も長く楽しみたいだろうから、極厚のアレを使うのありってのは?」


「それはありだな」


「あと、写真撮影も動画撮影もしていいよ」

 

「わかった。それでいい」

 交渉が終わると、俺と夏樹はくすくすと笑ってしまう。


「ぷっ、私達なんてこと話してるんだろね」


「ま、楽しいから別にいいだろ?」

 誰もが抱えている人にはちょっと言えない性癖。

 それをぶつけ合える相手が居る。

 それは紛れもなく幸せで楽しいことに違いないのだから。





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