第53話見られながら一人でスル
夏樹と会えなくなってから約1か月が経過した。
慣れとは怖いもので、遠距離恋愛の寂しさは徐々に薄れつつある。
このまま時間が経つにつれて、互いの気持ちが少しづつ離れていってしまうかもしれない。
その不安もきっと……徐々に薄れていってしまうのだろう。
どんなに熱々なカップルといえども、遠距離恋愛は続かないと言われている。
その理由がハッキリと認識できるようになってきた。
このままじゃ不味い。
夏樹との関係を冷やしてたまるものか。
そう思った俺は、バイト先から貰ったお給料で夏樹が部屋に欲しい欲しいと言っていた姿鏡を購入する。
そして、姿鏡の前で服を脱いでパンツ1枚だけになり、鏡に映った自分の肉体を写真に撮った。
「筋トレ頑張ってるけど、ちょっと変わったように見えるよな?っと」
俺の写真をメッセージと一緒に夏樹に送った。
そう、彼女との仲が冷え切らないようにも、必死に夏樹のために頑張っているんだぞ? というアピールをすることにしたのだ。
体の写真付きのメッセージを送ると、夏樹から電話が掛かってきた。
『写真見たよ。わりと筋トレ頑張ってるじゃん』
「だろ?」
『余計な脂肪が落ちてきたのか、顔つきも明らかにスッキリとして男前になったんじゃない? あと、目もとが凄く凛々しくなった気がする』
「目元はよく言われる。なんか、いつも気怠そうな顔してたけど、最近は本当に元気そうだね~って」
なお、目元がすっきりしたのは筋トレの影響よりも、夏樹に精気を搾り取られることがなくなったからだと思われる。
どうやら、俺は夏樹にとんでもないデバフを掛けられていたらしい。
ほんと、最近はびっくりするくらいに体が軽くてしょうがない。
『ほんと、羨ましい。私なんか、髪や肌がガサガサになってきたし、ニキビも久しぶりにデキちゃったからね……』
「それは困ったな。って、長々と話してるけど、大丈夫なのか?」
『うん、今こっちは夜で自室にいるから平気』
夏樹はゆっくりとできる場所にいるようだ。
ということは、久しぶりに顔でも見せて貰おう。
「久しぶりに夏樹の顔が見たい」
『はいはい』
夏樹がそう言うと、通話はビデオ通話に切り替わった。
通話回線を利用した国際電話ではなく、アプリを使ったネット回線用いた電話なので料金の心配はない。
カメラ越しに見る2週間ぶりに見る夏樹の顔はちょっとやつれていた。
うん、顔を見たいって言って正解だったな。
「あー、疲れてるなら疲れてるって言っていいからな?」
『そんなに元気なく見える?』
「それなりに見えるぞ」
『まあ、この1カ月間海外で過ごしたけどさ、私が思っていた以上に言葉が通じなくてね……。私が英語で話しかけても、何を言ってるかわからないんだけど? みたいな顔を良くされるのがしんどい』
苦笑いで夏樹は話してくれた。
「あんまり落ち込むなよ?」
『ん、ありがと』
「にしても、髪の毛がちょっと伸びてきたな」
『上は気にならないけど、下の毛はちょっと気になってきたね……』
留学中に伸ばして欲しいとお願いしたのは1カ月前だ。
上の毛も伸びれば、下の毛も当然伸びるわけで……。
今の状態がどうなのか想像をしてしまい、ちょっとパンツの中にあるアレが元気になってしまった。
「……ちょっと見てみたい」
『湊って本当に変態だよね』
「俺のお尻を狙ってくるお前には言われたくない。で、見せてくれたりは……」
『はいはい。後で写真を送ってあげる』
夏樹は嫌そうな顔をしているが、結局は見せてくれるようだ。
どんな感じなのか期待で胸がわくわくが止まらない。
すると、そんな俺に夏樹は気恥しそうにお願いをしてくる。
『私も見せるんだから湊のも見せてよ』
「いや、それはちょっと……」
とある理由もあってか夏樹には見せたくない。
『なんで?』
「……は、恥ずかしいから?」
『ふーん。そんなに見られると不味い状態なんだ』
鋭い目つきで夏樹は俺を睨んでくる。
くっ、夏樹が帰ってくるまでは隠し通そうと思っていたけど諦めるか……。
「あー、あれだ。ちょっとデカくなった」
『……は?』
「夏樹を満足させるにはサイズも大事だと思って、試しにマッサージをしてたら効果が普通に出てな……。帰って来た夏樹を驚かせたくて、アソコを見せたくなかったんだよ」
見せたくなかった理由を赤裸々に教えた。
すると、夏樹はニヤつきを隠すかのように口元に手を当てる。
『湊が大きくなったって言うあたり、本当に大きくなったんだろうね……」
「で、見たいのか?」
『ううん。帰国したときに驚きたいから今は見ないでおく』
半年後の楽しみは取っておくのもいいのかもしれない。
俺も夏樹のアソコを見るのを我慢するのもありな気がしてきた。
「じゃ、俺も今は我慢しとこうかな」
『……ま、湊の好きにして』
「あと5か月か……」
ちょっと変わった夏樹とイチャイチャする想像をしてしまい興奮が止まらない。
ドクンドクンとアソコは
夏樹の温もりを感じられないせいで途中で萎えてしまうため、夏樹とお別れしてからはまだ1度も出していないというか、出せていない。
だけれども、今なら確実にイケる気がした。
気が付けば、ビデオ通話をしている夏樹にバレないように、スマホを持っていない方の手をパンツの中に突っ込みアレを擦るように弄っていた。
『なんか顔色が赤いけどそっちはまだ暑いの?』
「い、いや? 10月になってからだいぶ涼しくなってきたな……」
『ところで、さっきから画面が小刻みに揺れてるけど何してるわけ?』
「べ、別に何も……」
『ふーん。怪しいね』
不自然な姿を見せたからか、夏樹に怪しまれてしまった。
しかし、それがまた俺の興奮を煽る。
久しぶりに萎える気配がまったくないこともあり、俺はここぞと言わんばかりに手を動かし続けた。
「別に怪しくはないって」
『パンツに手を突っ込んで動かしてるのに?』
「え?」
なんでバレた?
焦りで体中から冷汗がぶわっと噴き出た。
鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった俺を夏樹はケラケラと笑う。
『湊がパソコンで隠れてエッチな動画を見てないか調べるために、湊のパソコンを私のパソコンで遠隔操作できるようにしてあるでしょ?』
「ま、まさか……」
俺はパソコンデスクの方を見た。
すると、モニター上部にくっつけているWEBカメラのライトが点灯していた。
『彼女とのビデオ通話中に隠れて、パンツの中に手を突っ込んで一人でシテるとか凄く気持ち悪いよ?』
夏樹に全てバレていた。
俺の顔は恥ずかしさで真っ赤に染まっていく。
夏樹はそんな俺を軽蔑するような視線で見ながら言う。
『でも、私は優しいから変態な湊が一人でシテるとこ見ててあげるね』
夏樹は容赦ない言葉で俺の醜態を責めてくる。
けれども、それが堪らなく俺の胸を高鳴らさせた。
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