第49話まだまだ一緒に居たい4年目の彼女

 激しく襲われたこともあり、俺がベッドの上でぐったりしているときのことだ。

 夏樹が何やらゴソゴソと動き出した。

 最初こそ気に留めていなかったのだが……。

 何か冷たい感触がアソコに伝わってくれば気になるものだ。

 俺は下腹部辺りを弄っている夏樹の方を見た。


「夏樹さん?」

 俺の目は丸くなった。

 それもそのはずで、夏樹が金属でできたアソコ専用の拘束具を俺に着けようとしていたのだから。


「こうすれば、絶対に浮気できないでしょ?」


「いや、その、だからと言って……、アソコ用の拘束具は……」

 ジリジリと夏樹から逃げようとしたのだが、夏樹はすぐに距離を詰めてくる。


「私のプレゼント貰ってくれないの?」


「さ、さすがにそれはちょっと……」


「あのさ、さすがに湊のアソコを拘束したまま留学に行かないよ。あくまでお遊びの一貫だからね?」


「いや、わかってる。わかってるんだけど、それでもなんか嫌な予感が……」


「嫌な予感って大袈裟すぎない?」

 

「くっ、こうなったら!!」

 元気な状態なら拘束具はつけられまい。

 俺は自分で強めな刺激を与えてしおれていたブツを元気にさせた。

 しかし、夏樹はすぐに手と口を巧みに使って俺の元気を奪っていった。

 そして、通常サイズに戻った俺のアレは、夏樹によって拘束されてしまう。


「彼女に管理されてるとか変態な彼氏だね」

 どこか危うい笑顔をしている夏樹は俺に着けた拘束具を撫でてくる。

 過激な漫画や動画くらいでしか出てこないような、ちょっと特殊な拘束具を夏樹に着けられてしまった。

 それはそれはもう、恥ずかしくてドキドキが止まらない。


「夏樹が留学に行っている間、ずっとつけとけってことはさすがにないよな?」


「……さあ?」


「おまっ、ガチで外してくれないまま海外に逃げるとかしたらキレるからな!」


「はいはい。ちゃんと後で外してあげるから。にしても、あれ。この状態で元気になると、どうなるんだろうね」

 夏樹は意味深にほくそ笑む。

 そして、俺の胸をわざとらしく夏樹は撫でてくる。

 

「うっ……。ちょっ、待った。マジでいたっ……いから……」


「どこが痛いの?」


「分かってくるせに……」

 痛みに耐えながらそう言うと、妖艶な笑みを浮かべている夏樹は俺の胸にある突起物をつねってくる。

 じんわりとした痛みの中にほんの少しの快感が俺の感情を掻き立てる。

 痛みから逃れるために、俺は必死に気持ちを落ち着けようとする。

 しかし、夏樹はそれを許してくれない。


「んっっ、ちゅっ、れろっ、ちゅぱっ……」

 夏樹は執拗に俺の胸のある部分を吸ったり舐めてくる。

 気持ちはより一層と昂ぶってしまい、押さえつけられている部分にジンジンとした激しい痛みが走る。

 しっかりと痛いこともあり、俺が顔を歪めていると……。

 夏樹は危うい笑顔で楽しそうに言う。



「凄く情けない顔で可愛いよ?」



 しばらくの間、俺はSっ気溢れる彼女にもてあそばれた。


   ※

 

 俺の反応を楽しんで満足した夏樹は拘束具を外してくれた。

 俺は睨むように夏樹の目を見る。


「ったく、このドSな変態彼女め……」


「私のこと嫌いになった?」


「いや、まあ、別に嫌いにはならないけどさぁ……」

 などと押し問答をしていると、夏樹は寂しげな顔で俺に笑ってくる。


「あーあ、本当に明日から会えなくなるんだね」

 夏樹とのお別れまであと少しだ。

 より一層と悲しい気持ちがどっと押し寄せてきた。

 その感情を散らすために俺は夏樹に文句を言ってしまった。


「てか、留学するって、もっと早めに言ってくれても良かったんだぞ?」


「それは本当に悪かったと思ってるよ。ごめんね」


「さてと、19時も過ぎたことだし家に帰ったらどうだ?」

 留学前だし、俺じゃなくて両親と一緒に過ごすべきだ。

 俺は夏樹を家に帰らせようとしたのだが……


「帰りたくない」


「わがまま言ってないで帰れって。俺も凄く心配だけどさ、夏樹のご両親も俺に負けないくらいに心配してると思うぞ」

 帰った方がいいと言うと、夏樹は無言で真正面から俺に抱き着いて来た。

 俺は抱き着いてきた夏樹の背中をぽんぽんと優しく慰めるように叩く。

 すると、夏樹は弱弱しい声で俺に話し始めた。


「あー、もう、なんで留学なんて選んじゃったんだろうね」


「そりゃあ、自分の夢を叶えるためだろ」


「そうだけどさぁ……」


「俺達は別れる気はないんだし、半年くらい会えなくても平気だって」

 俺も正直なところ不安でしょうがない。

 でも、それを表に出さずにこれから留学に行く夏樹を勇気づける。


「……うん」


「留学から帰って来たら、もっとイチャイチャしよう」


「いっぱいエッチしてくれる?」


「ああ、俺も鍛えておくから期待しとけ」


「……帰って来たら、湊の後ろ弄っていい?」


「そ、それは……、いや、わかった。1回だけなら許す!」

 勇気づけるために俺は夏樹に身を差し出すことにした。

 苦渋の決断だったが、これも夏樹を勇気づけるためである。


「わがままでごめん」


「そんなの前から知ってるから気にするな」


「ねぇ、私のこと好き?」


「好きじゃなかったらこうして抱き合ってない」

 俺は夏樹をより力強く抱きしめた。

 夏樹もそれに応じるがように俺に強く抱き着いてくる。


「ここ1カ月、湊は私に構いっぱなしだったけど迷惑じゃなかった?」


「めっちゃ楽しかったよ」


「そっか。私も凄く楽しかったよ。朝から夜まで湊と一緒で、一緒にご飯を食べたり、ダラダラしたり、たっぷりエッチできて本当に凄く満足な1カ月だった」

 会えなくなるから必死にイチャイチャした1か月。

 それを思い出すだけで、なんだか笑えてしまった。


「ったく、本当に馬鹿な1カ月だったよな」


「ふふっ、だね」


「で、だ。留学から帰って来たら、ちゃんと同棲しないか?」


「いいの? 友達を部屋に呼べなくなるよ?」


「夏樹と一緒に過ごした1カ月を味わった今、宅飲みなんかよりも夏樹と一緒に暮らしてる方が楽しいことに気が付いたからな。飲み会なんて居酒屋でもできるし、どんちゃん騒ぎができる宅飲みも友達の家かレンタルルームですればいいだけだ」

 最近、夏樹と一緒に暮らしていて本当に楽しかった。

 少し前までは自由な一人暮らしを失うのが嫌で、夏樹を家に泊めるのすら嫌だったけどさ……。

 今となっては自由な一人暮らしなんかよりも、夏樹と一緒に暮らしたい気持ちの方が強いんだからしょうがない。


「じゃあ、私が帰ってきたら同棲しよっか」


「ま、最近はもうほとんど同棲状態だったけどな」

 しんみりとした雰囲気は楽し気なモノへと変わっていく。

 俺と夏樹は楽しく色々な話をする。

 しかし、やはり時間という存在は厄介なものだ。


 いつまでも夏樹と一緒に居ることはできない。


「元気出たか?」


「うん、凄く出た」


「じゃ、そろそろ帰ろうな? 親御さんも俺みたいに心配してるだろうし」


「だね……」

 夏樹は名残惜しそうに俺から離れていく。

 そして、夏樹は家に帰るための準備を始めた。


「家まで送ってく」


「珍しいね。いつもは玄関までなのに」


「そりゃあ、俺も夏樹と別れるのが寂しいからな。ちょっとでも一緒に居たいって思っちゃ悪いか?」


「湊って、私のこと好き過ぎじゃない?」

 くすくすと夏樹に笑われてしまった。

 そんな彼女に俺はデコピンしながら笑う。


「帰りたくないって、駄々こねて俺に抱き着いて来たお前には言われたくないぞ?」

 パパっと外に出ても恥ずかしくない服に着替える。

 そして、俺はもう少しで会えなくなる夏樹を家まで送り届けるのであった。

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