第47話彼氏を味わう4年目の彼女
時刻は23時を過ぎた。
夏樹との戦いは休憩時間も含むがとうとう14時間を越えようとしていた。
俺が出した回数は9回。
俺の体はもう限界を迎えていて、出るものは本当に水っぽくて微々たる量だ。
一方、夏樹はというと……。
「絞る回数はしっかりとコントロールしないと24時間耐久は無理かもね……」
ケロッとした元気そうな顔で、次回のことを考え始めていた。
今回の反省点を次へと活かそうとする姿勢に俺は苦笑いしてしまう。
そして、俺は疲れ果てた体で夏樹に恐る恐る聞いた。
「もう、今日は終わり……だよな?」
「……あと1回で10回だし、もう1回くらいなんとかならない?」
「俺はキリの良い回数なんて目指してないから……」
「そっか。まあ、私も湊に死なれたら嫌だし今日はこれくらいにしとこうかな」
「お、お前のことだし暴走して襲ってくると思ってたのに意外と素直だな……」
意外とあっさりとした幕引きに俺は驚きを隠せない。
すると、夏樹は弱点の弱点である部分を指で撫でながら苦笑いする。
「マッサージ機の振動で
「遠慮なく押し当てたもんな。大丈夫か?」
「前に弄りすぎて痛みを感じたときは、次の日には治ってたから平気」
「なら良かった」
「……あのさ、もう1回しない?」
ジンジンする敏感な部分を指で撫でていたら気持ち良くなってしまったのか、夏樹は切なそうな目をしながら俺の俺を弄り出した。
「本当にこれで最後だからな?」
「ん、わかった」
夏樹はそう言って、ベッドの枕元に置いてあった箱から随分と減ったアレを取り出して封を開けるのであった。
※
最後の1回を始めたのは23時だったはずだ。
なのに、今現在の時刻は午前3時を過ぎている。
精魂尽き果てた俺は夏樹を今までにないくらいに怖い顔で睨む。
「よくもやってくれたな?」
「あー、うん。ごめん」
「しかも、シテル途中で俺のがあまりにも弱々しくて抜けちゃったとき、こうすればもっと元気になる? とか言って、濡らした指まで突っ込んできたし……」
「まあ、元気になったでしょ?」
悪びれないどころか得意げな顔をしている夏樹に俺は怒りを覚えた。
そして、俺は夏樹に復讐を誓う。
「留学から帰って来たら覚えとけ。今度は俺がお前を泣かしてやるからな!」
弄られたくもない後ろを弄られた。
留学から帰って来たら、お前のも滅茶苦茶にしてやると宣言する。
すると、夏樹はくすくすと笑いだした。
「怒ってるのか怒ってないんだか良く分かんないね」
「凄く怒ってるぞ」
「いや、怒ってるなら『変なとこを弄る彼女とは付き合ってられるか!』とか言うもんじゃないの?」
「そ、それは夏樹のことが好きだからしょうがないだろ……」
「はいはい」
「はぁ……、てか、今日はもう本当に終わりだからな?」
お昼ご飯が遅かったとはいえ夕食は食べていない。
お腹の空いた俺はお昼に食べきれなかった残りのピザを俺は手にしながら、夏樹に口酸っぱく言う。
「うん、本当に終わりでいいよ。私も足腰がパンパンだし」
「そりゃあ、あんだけ暴れたらな……」
「今日は私ばっかり動いてたね。うん、半年後の湊には期待してるよ」
「んぐっ……、何を?」
口に入っていたピザを飲み込んでから夏樹に聞き返した。
「私が居ない間は筋トレを頑張るんじゃないの?」
「……はい、頑張ります」
夏樹が海外留学に行っている間、筋トレをしてませんでした~とかやったら酷い目に遭いそうだ。
まあ、本格的にちゃんと鍛えよう。
だって、今日なんて夏樹がずっと一人で動いていると言っても過言じゃないくらい、俺は動いてないしな……。
「ねえ、私もピザ食べたい」
と言われたが、ピザは今俺が食べているので最後の1枚だ。
仕方がないので、俺の歯形のついたピザを夏樹の口に運ぶ。
もぐもぐと夏樹は俺の手にある食べかけのピザを食べていく。
夏樹は全部食べ終えると、わざとらしくピザを持っていた俺の指を齧ってきた。
「俺の指まで食べないでくれ」
「……いやら」
「お腹空いてるなら他にも何か食べるか?」
「ううん、もう大丈夫だよ」
「さてと、シャワーを浴びて寝るか……」
「面倒くさいからシャワーは明日でいいんじゃない?」
と言われたので、俺は夏樹の方に近寄ってくんくんと鼻を鳴らした。
いい香りと言いたいところだが、玉のような汗を流しながら俺の上で暴れ狂った夏樹からは――
ちょっとツンとした匂いが漂っている。
「汗臭いからシャワー浴びた方がいいぞ」
夏樹は失礼なという顔をした後、腕をあげてくんくんと脇の匂いを嗅ぐ。
そして、何とも言えない顔で俺に頷いてきた。
「だね……」
お風呂場に行こうと俺は立ち上がろうとする。
しかし、夏樹は俺の腕を引っ張って立たせてくれない。
「なんだ?」
「私だけ湊に匂いを嗅がれるのフェアじゃない」
「……わかったわかった。ほら、好きなだけ嗅いでくれ」
というと、夏樹は俺の首筋に鼻を押し当てるようにして匂いを嗅いできた。
夏樹よりも汗はかかなかったけど、それでもきっと……まあまあ臭いと思う。
実際にそうだったようで、夏樹は俺の匂いを嗅いで少し不快そうな顔になった。
「くさい……、ほんと凄い匂い……」
臭いと言っておきながらも、夏樹は俺の匂いを嗅ぐのをやめない。
それどころか、舌でぺろっと俺の首筋を舐め始めた。
「なにしてんの?」
「会えなくなる前に湊の味を覚えとこうと思って」
「お、おう」
俺が少し狼狽えていると、夏樹は体を屈ませて、より男らしい匂いを漂わせている部分を舐めだした。
「んあっ……、れろ、ちゅっ……。ああ、もう、ほんとくさいし、ほんと最低な味してる……」
夏樹は不快そうな顔で文句を言うのだが、しばらくの間は俺を舐めるのをやめなかった。
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