第39話とんでもないモノを撮らせてくれる4年目の彼女

 俺が早いか遅いかの勝負をしてから1時間が経った。

 今現在、何をしているのかというと……。

 夏樹にパソコンに保存してあったお宝画像や動画を消されている最中だ。

 これから先、ガチで俺は夏樹以外で発散するのは禁止らしい。


「ふーん、湊はこういうのが好きなんだ」

 パソコンのモニターに表示されているのは胸の大きい女性の画像。

 裸の上にお尻が隠れるくらいの丈があるパーカーを羽織った夏樹は、さっきから俺のお宝画像の鑑賞会をしている。

 正直に言うが、めちゃくちゃ恥ずかしいので本当にやめて欲しい。


「さっさと消してくれ……」


「やだ」

 俺の悲痛な叫びは夏樹には届かない。

 夏樹は俺のお宝画像を見るのをやめてくれず、俺がどんなので発散してたのか彼女に知られていく。


「女の子に責められる系が多いね」


「マジでたまたまだ。だから、俺のために張りきらなくて大丈夫だからな?」


「はいはい。で、全部削除するけど文句はないでしょ?」

 夏樹は俺の趣味趣向の鑑賞会を終わらせる気になったようだ。

 本当に消してもいいか、俺に確認を取ってきた。


「文句言ったら助かるのか?」


「別に助からない」


「だと思った。なら、一思いにやってくれ……」

 今までお世話になったデータ達とのお別れ。

 俺はしんみりとした気持ちで夏樹に削除を頼んだ。


「削除っと」

 夏樹はカチカチとマウスをクリックし、色んなデータを消していった。

 そして、保存してあるデータだけではなく、俺がお世話になっているWEBサイトのお気に入り登録も削除していく。

 さらにさらに、それだけでは飽き足らずに夏樹は俺を脅してきた。


「定期的に今消したようなモノを見てないか確認するから」


「定期的にって、今ならまだしも留学に行ったら無理じゃ……」


「私のパソコンでこのパソコンを遠隔操作できるように設定しとく」


「そんなに俺がお前以外の女の子のあられもない画像を見るのが嫌なのか?」


「私が知らないイケメンの画像見てデレデレした顔してたらどう?」


「めっちゃ嫌だな」


「でしょ?」


「まあ、そうだけど……」

 夏樹の言い分に納得はできた。

 でも、想像だけでスるのはちょっと物足りないというか、厳しい気がする。

 ちょっとした不満を口にしようと思ったときだ。


「ん」

 夏樹は机に置いてあった俺のスマホを手に取り、俺に渡してきた。


「スマホがどうしたんだ?」


「私の写真欲しくないの?」


「……え?」


「私以外でするのを禁止にしておいて、何もしてあげないのは最低でしょ」

 夏樹はベッドに移動しながら言った。

 どうやら、今消したデータの代わりを夏樹は俺にくれるらしい。

 俺はごくりと生唾を飲みこんで、スマホのカメラを起動する。

 すると、ゲーミングパソコンの前からベッドの上に移動した夏樹は裸の上に羽織っていたパーカーを脱いで、カメラを構える俺の前であられもないポーズを取る。


「……っっ」

 夏樹はベッドの上で小さな吐息を漏らしながら、足をMのように広げて大事なところを指で大っぴらにして見せつけてきた。

 明らかに俺が使のを想定した格好をする夏樹に釘付けになる。

 まじまじと見ていたら、夏樹が恥ずかしそうに頬を赤らめながら言った。


「で、この格好は使?」


「たぶん……。にしても、本当にいいのか?」

 俺は何枚も写真を撮る。

 シャッター音が鳴るたび、夏樹の顔はどんどん赤く染まっていく。


「凄く恥ずかしい。でもさ……」


「……湊のためなら我慢できるから、ってか?」

 言われた時、夏樹は酔っていたので冗談交じりな発言だと思っていた。

 でも、そんなことは全然なかった。

 とんでもない格好を俺に見せつけるのが恥ずかしくて、顔を真っ赤にしている夏樹は俺に話を付け加える。


「そ、私は湊のためなら何でも我慢できる。ただ、恥ずかしいことは恥ずかしいし、嫌なことは嫌だから、嫌な顔をすることもあるけど、そこは許して」


「いや、まあ、それはそうだろ……」


「で、どうする?」


「どうするって?」


「湊のためにもっと色んなポーズしてあげた方がいい? ってこと」


「……た、例えばどんな格好をしてくれるんだ?」


「こういうの」

 夏樹はベッドの上で体を動かして女豹めひょうのポーズを取った。

 スタイル抜群な夏樹の女豹のポーズは堪らなく俺の男心をくすぐってくる。

 俺はすかさずに色んな角度から夏樹を写真に撮った。


「……っっっ!!!」

 写真を撮られている夏樹は、苦悶の表情で俺を睨む。本当は恥ずかしくて、こんなことをしたくないという感情が伝わってくる。

 嫌なことでも俺のためなら何でも我慢できるから、という夏樹の言葉に嘘偽りはなかった。

 それが俺をドキドキとさせておかしくする。

 

「競泳水着を着てそのポーズをしてくれると嬉しいな~、なんて」


「湊の変態……」

 夏樹は蔑んだ目をする。

 でも、それでも夏樹は俺のために一肌脱いでくれる。

 夏樹は嫌そうな顔をしながらも、白のラインが入っている青色の競泳水着に着替えてくれた。

 そして、俺はさらに調子に乗ってポーズのリクエストもしてしまう。


「その恰好でY字バランスをお願いできたりは……」


「ほんと変態……」

 文句は言うけど夏樹は細い足をあげてY字バランスをして見せてくれた。

 俺はどんどん魅力的な夏樹を写真に撮っていく。

 角度を変えて何枚も撮っていると、青色をした競泳水着のある一部分の色が変わっていることに気が付く。

 俺が色の変わった部分にそっと指を這わせると、夏樹は驚いて体を震わせる。

 そして、夏樹は顔赤らめて見え見えな嘘を吐いた。


「……汗だから」


「汗にしては随分とべたついてるんだな」


「あのさ、寒いからさっさと写真撮ってくれる?」

 汗をかいているのに、なぜか寒いというおかしなことを言い出した夏樹。

 汗が汗ではないと認めるかのような発言にツッコミたくなったが、からかい過ぎて機嫌を損ねるとせっかくの撮影会が終わってしまうかもしれない。

 それはもったいないので、俺はグッと我慢した。

 

「腕をあげて脇を大胆に曝け出すようなポーズをして貰えたりは……」


「……ん」

 夏樹は不愛想な顔をしているものの、俺の言う通りに動いてくれる。

 競泳水着を着て色んなポーズを取る夏樹を俺は写真に収めていった。

 そして、満足して写真を撮るのをやめたときだ。

 競泳水着を着ている夏樹は俺にまたがってくる。



「ねえ、も撮らない?」



 夏樹の口からでたのは『撮ってもいいよ』ではなくて『撮らない?』という言葉。

 どうやら、夏樹は撮られることに恥ずかしさとは別のを見出してしまったらしい。

 撮影会が思った以上に楽しくて時間を忘れて楽しんでしまった。

 気が付けばすでに時刻は午前3時を過ぎている。

 今日は疲れたと言って寝ようと思っていたが、そんな雰囲気じゃない。

 俺に跨る夏樹の目は恍惚こうこつで、呼吸は荒く、もどかしそうに体をくねらせている。

 


 どうやら、俺は今日も朝まで寝かせて貰えないらしい。



 



 

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